ここから本文です

ピアノの可能性広げる 鍵盤男子、3月に横浜で公演

2/21(水) 16:08配信

カナロコ by 神奈川新聞

 黒鍵、白鍵を一気になぞるグリッサンド奏法を挟みながら、パーカッションを打ち鳴らすように鍵盤をはじいていく。打楽器の特徴も持つピアノの可能性に挑戦しているのが、昨秋に本格デビューしたデュオ「鍵盤男子」だ。大井健(34)と中村匡宏(32)が、一台四手で織りなす超絶技巧。3月13日には「ホテルニューグランド」(横浜市中区)でホワイトデーコンサートを行う。

【鍵盤男子】デビューアルバムを動画でPR

 10歳まで横浜で暮らしていた大井は、ドイツに留学してメンデルスゾーンの子孫に師事。13歳のときに英国でオーケストラと共演するなど、英才教育を受けた。中村は国立音楽大学大学院を首席で卒業後、世界最高峰のウィーン国立音楽大学大学院で学び、交響曲などの作曲も手がける。

 2011年に2人で活動を開始。17年秋にアルバム「ザ・フューチャー・オブ・ピアノ」でプロ始動した。収めたのはオリジナル曲のほか、ラヴェルの「ボレロ」や、英のバンド・オアシスの「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」のカバーなど、多彩な11作。カバー曲は思いもよらないアレンジで編み上げられ、原曲とはまた違う輝きを放っている。

 クラシックの世界に身を置いてきた2人は、その閉塞(へいそく)感を抱え込む。打開するため、真剣に学んできたからこそできる“遊び”を探った。鍵盤の上で互いの腕を交差させる。プリモ(高音)とセコンド(低音)に分かれることが多い連弾のポジションを、演奏途中で交代する。聴覚だけでなく視覚も刺激されるステージは、観客が持っている概念を軽やかに覆していく。

 オリジナル曲「スパイラル・スイッチ」では、2人の熱を受け取った観客が立ち上がってタオルを振り回す、ロックコンサートのような盛り上がりも見せる。
♩   ♩   ♩
 中村は作曲科で学んだ。ピアノ科にいた大井との出会いは「運命だった」という。大井も2人の出会いで「抱えていた思いを実現できる可能性が増えた」と信頼は厚い。

 88鍵の表現について、中村の発想は柔軟だ。「伝えたいことと、伝えたいものの間にピアノがいる。もっと伝わりやすい伝達手段があれば、10年後は弾いていないかもしれない」。五線譜の中を泳ぐように動く指。未来のピアノを創造するタクトのようでもある。

 ホテルニューグランドでの演奏経験はあるが、3月は本格デビューして最初のステージになる。大井は「伝統を大切にしながら常に革新的な横浜は、僕たちの活動につながるところがある」と、“凱旋(がいせん)”公演を楽しみにしている。

 ディナー開始は午後6時、開演は午後7時。全席指定2万円。問い合わせは、ホテルニューグランド営業企画☎045(681)1841=平日午前9時~午後5時。