ここから本文です

ホンダジェット世界一の裏に、ジョブズばりの細部へのこだわり

2/25(日) 18:34配信

ニュースイッチ

キーワードは協働する「職域侵犯」

 小型ビジネスジェット機「ホンダジェット」の2017年の世界出荷機数が前年比約87%増の43機になり、米セスナ・エアクラフトの「サイテーションM2」を抜き、軽量小型ジェット機の機種別で初の年間首位となった。

 ホンダジェットは、ホンダの創業者・本田宗一郎氏の飛行機への憧れをかたちにすべく、30年にわたり開発が続けられてきた賜物だ。

 ホンダジェットの開発には「自動車メーカーによる民間航空機市場への参入」以外にも、数々の常識を打ち破るチャレンジがみられる。通常は外注されるエンジンの内製にこだわった。そのエンジンは、機内の空間を広げ振動や騒音を防ぐために、胴体ではなく「主翼の上」につけた。

 ホンダジェットの開発リーダーでホンダ エアクラフトの藤野道格CEO(最高経営責任者)は同機の開発の狙いを「それまでの小型ビジネスジェット機の限界性を超えて利便性や快適性を高めること」と話す。そこには、他社の既存機を真似ることはしない、という気概と、新たな市場を拡大していく決意が表れている。

 開発プロセスにおいて藤野氏は、スティーブ・ジョブズばりの「細部へのこだわり」を見せていた。隅々にまで目を配り、部品一つ一つにまで神経をとがらせる。開発チームは少人数で、極力専門分化をせずに協働する「職域侵犯」をしていった。

 最初に「構造」、次に「空力」というように、航空機開発に必要な要素に、それぞれ「すべての人員」が投入された。「空力」に関わる開発を行っている段階では、たとえ機体のシステムを専門とするメンバーであっても、「空力」に「職域侵犯」し、協働する。その結果、プロジェクトのメンバーとなっているプロの設計者たちは全員、自身の専門の枠を越えて、航空機開発に必要なあらゆる専門能力を身につけていったというのだ。

 藤野氏自体が「職域侵犯」の極致とも言えるだろう。同氏は「リーダーはまず自分自身で全部を理解し判断できるような知識レベルに達していることが基本です」と語る。

 リーダーをはじめ、プロジェクトに関わる全員が、程度の差はあれ「すべて」を理解していることで、斬新で理にかなったアイディアも生まれやすくなる。また、何か問題が起きた時でも、臨機応変に対処できる。どんな種類のトラブルであっても、誰かが少なくとも応急処置をすることができるだろう。

 人数が限られたプロジェクトで、いかに〈革新〉をつくり出し成果を上げるかという点で、ホンダジェットの成功は格好のモデルケースになる。

最終更新:2/25(日) 18:43
ニュースイッチ