ここから本文です

紙はもう必要ないのか!? 紙離れで苦境にあえぐ製紙業界

3/5(月) 14:30配信

日刊工業新聞電子版

■原燃料高が直撃、価格転嫁追いつかず

 情報化の進展に伴う“紙離れ”が止まらない。日本製紙連合会(馬城文雄会長=日本製紙社長)がまとめた2018年の紙・板紙内需試算は前年実績見込み比0・9%減の2638万4000トンで、8年連続のマイナスとなる。内訳を見ると板紙は段ボール原紙がけん引し同0・8%増の1199万9000トンと堅調だが、印刷・情報用紙を中心とする紙は同2・3%減の1438万5000トン。板紙は16年から3年連続の増加になるが、07年から12年連続で減少する紙の落ち込みを埋めるほどの力強さはない。

 業績面で需要減退に追い打ちをかけるのが、原燃料費の高騰だ。特に大きく影響しているのは、原料の約6割を占める古紙相場の上昇。中国向け輸出価格に引っ張られて16年度下期から上昇カーブを描き始め、「17年度上期の古紙購入価格は想定より約2割上昇した」(阿達敏洋大王製紙専務経営管理本部長)という。

 製紙各社はコストアップに対応するため17年2月下旬から3月上旬にかけて、まず量が多い印刷・情報用紙で4月1日出荷分からの値上げを相次いで発表。これを皮切りに家庭紙のほか、産業資材の白板紙や段ボール原紙でも値上げを表明し、需要家と交渉を進めた。だが、価格転嫁が追いついていないのが実態だ。

 特種東海製紙の関根常夫取締役常務執行役員は「重油や電気代を含めて、原燃料費がおしなべて上昇している。クオーター(四半期決算)が進むごとに前年同期に比べ、原燃料コスト上昇によるマイナス幅が広がっている」と懸念する。

 中国政府では環境汚染を引き起こす企業・工場の排除とともに、主に欧米からの輸入古紙や廃プラスチックなどの資源ゴミに混入する異物の多さを問題視。環境負荷の増大につながることから昨夏以降、輸入ライセンスの更新見送りなどで徐々に規制を強め、17年末に全面輸入禁止とした。同国では廃業に追い込まれる製紙会社も出ている。

 これにより古紙需給が緩み、17年度下期を迎えて相場は落ち着きをみせているが、中国の資源不足が根本的に解消されたわけではない。インターネット通販市場の急拡大などで、中国における段ボールや古紙の需給は逼迫(ひっぱく)している。中国の正月である春節明けの2月末以降、部分的に資源ゴミの輸入が再開される可能性もあり、相場動向は予断を許さない状況だ。

1/2ページ