ここから本文です

渡部暁斗、けが隠した「本当の理由」 骨折は地元開催のW杯…「白馬がネガティブに伝わるのが嫌だった」

3/10(土) 7:00配信

withnews

 平昌オリンピックで2大会連続となる銀メダルを獲得したノルディックスキー複合の渡部暁斗選手(29)=北野建設=。オリンピックで全3種目に出場した後になって、大会前に肋骨を骨折していたことが判明しました。本人はけがについて一切口にせず、大会に臨んでいました。その理由には、渡部暁斗選手らしい「男気」がありました。(朝日新聞スポーツ部記者・勝見壮史)

【写真】これも五輪……忘れたくない メダル逃した選手がくれた「とびっきりの表情」

競り合いに敗れ、金メダル逃す

 「地力の差」

 2月14日にあった個人ノーマルヒル(NH)で、金メダルを取ったエリック・フレンツェル(ドイツ)との競り合いに敗れた渡部選手は、そう敗因を語りました。

 フレンツェルは同じ29歳で、渡部選手が最も意識している選手です。4年前のソチ五輪NHでも、一騎打ちの末に敗れていました。最後の上り坂前で、スパートをかけたライバルについていけず、再び銀メダル。その後の個人ラージヒル(同20日)、団体(同22日)ではメダルを逃しましたが、ひと言もけがのことを口にはしませんでした。

言うつもりはなかった

 けがが発覚したのは、最後の種目となった団体後に、日本の河野孝典コーチがテレビ取材に対して明かしたからでした。私がそのニュースに気付いた時には、すでに渡部選手本人に真意を確認できる状況にありませんでした。

 「本当は言うつもりはなかったんですけどね……」

 取材した同僚記者によると、2月24日、帰国した羽田空港で報道陣から骨折のことについて問われると、渡部選手は笑ったそうです。

 けがをしたのは、2月2日に長野県白馬村であったワールドカップ(W杯)の公式練習。ジャンプの着地直後に前のめりに転倒しました。私はその現場を取材していました。五輪を控え、心配する報道陣に対し、「影響ありません」と答えていたことを覚えています。

骨の1本くらい、くれてやる

 痛みはそれほどなかったそうですが、韓国入りしてから診断を受け、左の肋骨にひびが入っていることがわかったとのこと。平昌に入って、3日間はストックを突いて滑る距離の練習はできなかったそうです。

 「痛み止めを飲んでいたので、痛みはほとんどなかった。悔やんだって、骨がくっつくわけではない。骨の1本くらい、くれてやるっていう気持ちでした」

 渡部選手らしいコメントでした。実際、白馬でのW杯2戦は優勝と3位。今季はW杯開幕直前にも、今回とは違う箇所ですが、左の肋軟骨を骨折していました。それでも開幕2戦では3位と優勝。「けがは言い訳にはならない。自分は、それでも勝ってきたんだから」という言葉も納得できます。

1/3ページ

最終更新:3/10(土) 12:00
withnews