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選択的夫婦別姓「世論は家族の多様性を承認している」弁護士や国会議員ら民法改正訴え

3/9(金) 10:47配信

弁護士ドットコム

結婚しても、結婚前の姓を名乗り続けたい場合には「別姓」を選ぶことができる「選択的夫婦別姓」の導入を早急に実現するべきーー。3月8日、選択的夫婦別姓を求める院内集会(「いつまで待たせる民法改正! 選択的夫婦別姓を求める院内集会」)が、東京・永田町の衆議院第二議員会館内にて開かれ、家族法学者の二宮周平さんらが民法改正を呼びかけた。

●日弁連・両性の平等に関する委員会委員長「法改正の機は熟した」

集会の冒頭、日弁連の「両性の平等に関する委員会」の横山幸子委員長は、「氏(姓)は、単なる記号ではなく、個人の人格にかかわるもの」と述べ、夫婦どちらか一方が改姓を強制される現行法は、人格権や両性の平等を定める憲法13、14、24条に反する恐れがあると指摘した。

2月に内閣府が公表した世論調査では、選択的夫婦別姓制度の導入を容認する人は、4割を超え、過去最多となった(容認42.5%、導入しなくてもよい29.3%、通称使用を認める24.4%)。このことからも、横山弁護士は「法改正の機は熟していると思います」と列席する国会議員を前に、速やかな法改正を訴えた。

●共産党・志位委員長、社民党・福島みずほ副党首「誰にも不利益のない制度だ」

現在の民法では、結婚に際して、夫婦どちらかの姓を選ぶことになる。「選択的夫婦別姓」制度では、現在のように同じ姓を望む人は、同姓を選ぶこともできるし、別姓を望めば、結婚前の姓を名乗り続けることも認める。あくまでも「選択的」な制度である。

共産党の志位和夫委員長、社民党の福島みずほ副党首はともに、選択的夫婦別姓は「誰にも不利益のない制度だ」と指摘した。

福島副党首は「認めても誰にも害を与えない。不利益を与えない。でも、選択的夫婦別姓が実現しないことで、大変な思いを抱いている人は山のようにいる」のが、現在の制度だと批判。さらに「選択的夫婦別姓を公約に、国会議員になりました。まだ実現していないのは本当に残念」だと悔しさをにじませた。

志位委員長も「憲法が定める個人の尊厳と両性の平等が問われている。反対しているのは自民党だけ。自民党の中でも賛成している人はいる。野党、超党派で力をあわせて法案を提出したい」と意気込みを語った。

●公明党「国会の場でしっかりと議論していくべき」

世論では選択的夫婦別姓制度の導入に向けた機運が高まっている一方、民法改正に向けた具体的な動きは見られない。

1996年、法務省の審議会が、民法の夫婦同姓規定の見直し、選択的夫婦別姓制度の導入を答申。2015年には、最高裁が民法の夫婦同姓の規定は「合憲」と判断したが、裁判官15人のうち、5人は「違憲」との意見を示していた。

また、最高裁はその際、「夫婦同姓の制度は我が国の社会に定着してきたもので、家族の呼称として意義があり、その呼称を一つにするのは合理性がある」としながらも、「この種の制度のあり方は、国会で論ぜられ、判断されるべき事柄にほかならない」とも指摘していた。

この点について、公明党の女性委員会の副委員長、佐々木さやか参議院議員は「公明党としては、選択的夫婦別姓を目指しています。2015年の最高裁判決にあったように、本来であれば国会の場でしっかりと議論していくべきもの」と述べた。

福島副党首と同様に、「25年前から自身の重点公約として、選択的夫婦別姓の導入を掲げてきた」というのが、立憲民主党の枝野幸男代表だ。

「私の思い入れもあって仲間と議員立法の提案をしてきた」。それが実現しなかったのは「反対に理屈がない」からだと主張。「理屈に対しては理屈を詰めていけば、おかしいと論証できるが、理屈にならない理屈にどう戦っていくのか」が課題だと述べた。

●二宮周平教授「改姓を強制する現行制度は人格権を侵害」

立命館大学法学部教授の二宮周平さんは、「氏」の歴史的経緯にもさかのぼり、現行法は「個人の尊重、個人の尊厳に反する」として、早急な民法改正を求めた。

「家族関係の成立によって氏が変動する。本人の意思によらず、改姓を強制する現行制度は人格権を侵害します。人格権を侵害してまで守るべき国の利益とは何か」

また「平等原則」の見地からの問題点もあげた。

「夫婦のどちらか一方は保持しますが、一方は改姓しなければならず、夫婦間で平等とはいえません。自己の意思による場合には、不平等を甘受する意思があるが、そうでない場合は平等原則に反します。また夫婦同氏を希望するカップルは婚姻ができるのに、別姓を希望するカップルは婚姻ができません。婚姻ができないことによる法的な不利益を被ります」

世論調査にも触れ「若い世代では容認派が多く、反対は少ない。ただ18~29歳の男性は反対24%と、若者の中で反対がもっとも多い。若い男性が自信を失っているのかもしれない。ぜひ励ましてあげたい」。

さらに、先の世論調査では、賛成する人は増えているが、法律が変わったら自分自身が別姓を選択すると答えた人は19.8%にすぎない。この点について「家族の多様性を承認するものだと思います。ひとの選択には寛容な社会です。排除の姿勢から寛容への転換ではないかと思います」。

●第二次別姓訴訟「主眼は、憲法14条の信条による差別」

2018年に入り、選択的夫婦別姓を求める提訴が複数あった。

1月には、結婚にともない妻の姓に改姓した「サイボウズ」(東京)の青野慶久社長が、夫婦別姓を選べない戸籍法は憲法違反だとして提訴。この他、東京と広島で3月14日、家庭裁判所に「夫婦別氏の婚姻届の受理を求める審判」を申し立てる予定だ。同じ弁護団はこの他、法律婚ができないことについて、地方裁判所に「婚姻届不受理処分・立法不作為に対する国家賠償請求」も提起する見通し。

後者の別姓訴訟で弁護団団長を務める榊原富士子弁護士は、2015年に最高裁判決のあった第一次別姓訴訟も担当。今回の新たな訴訟では、憲法14条が定める「信条の自由」に反すると主張していくと話した。

14条は「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と規定。

「別姓婚と同姓婚をする人とで、一方は結婚できるのに、一方はできないという差別がある。ここを主眼において頑張りたい」と決意を述べると、約150人が集まった会場からは拍手がわいていた。

【訂正】

当初、公明党・佐々木さやか議員の発言として「公明党としては、夫婦別姓を」と記載しておりましたが、正しくは「公明党としては、選択的夫婦別姓を」となります。本文を修正しました(2018年3月12日)

弁護士ドットコムニュース編集部