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「右寄り」の人を突き動かしているのは疾病恐怖 研究

3/10(土) 9:00配信

The Telegraph

【記者:Sarah Knapton】
 強い右寄りの意見を持つ人々は、疾病への恐怖や衛生に関する懸念に突き動かされている可能性があるとする研究論文がこのほど発表された。汗や口臭、尿の臭いなど、他人の体臭にすぐに嫌悪感を抱く人々は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領のように権威を振りかざすタイプの政治指導者に引かれやすいとも研究チームは述べている。

 今回使用された評価尺度は、実験参加者が自分や他人の体臭に対して抱く嫌悪感の度合いを測るために開発されたもので、研究チームはこの尺度を用いて、さまざまな国々を対象にネット上で大規模なアンケート調査を実施。同時に自身の政治観についても質問し、さらに米国では、2016年の大統領選で誰に投票したかについても尋ねた。

 研究チームは、実験参加者160人に体臭に対する嫌悪度を5段階で評価してもらい、回答をそれぞれの政治観と比較。その結果、嫌悪度が1段階上がると、権威主義的な指導者を肯定的に感じる度合いが7.5ポイント上昇するなど、関連性がみられることが判明した。

 論文の執筆者で、スウェーデン・ストックホルム大学(Stockholm University)で嗅覚と心理学の研究を行っているヨナス・オロフソン(Jonas Olofsson)氏は、「臭いに対する強い嫌悪感と、独裁者タイプの指導者、すなわち、過激な抗議運動を弾圧し、さまざまな集団を『それぞれの場所から出てこさせないようにする」ことができる指導者を待望する考えには確固とした相関性があった」と指摘している。

 同氏の説明によれば、さまざまな集団がそのルーツとなる場所にとどまり続けるような社会では、「異なる集団同士の接触が減り、少なくとも理論的には病気になる確率も減少する」。

 口臭や体臭といった強い臭気は、隠れた病気を示している場合があり、それを人々は無意識のうちに避けようとしている可能性がある。こうした感情があったからこそ、人の祖先は危険や伝染性のあるものを回避できた。嫌悪感は、人が生き延びる確率を伸ばすために進化してきた感情だと言える。

 一方で嫌悪感は、鼻にしわを寄せたり目を細めたりするなどの身体的変化を引き起こし、世界に対する知覚能力を低下させる。

 研究チームは、不快な臭いから遠ざかりたいという強い本能を持つ人々は、自分にとって「文化的になじみのない」集団が分離されている社会を好むため、右寄りの権威主義的な意見が助長される可能性が高いとの仮説を提示している。

 2016年の大統領選で誰に投票しようとしたかについての質問に対しては、「臭いに対し、より強い嫌悪感を抱く人々は、それほど敏感ではない人々に比べて、トランプ氏に投票した可能性がより高いことが示された」とオロフソン氏は述べている。

 同氏はまた、「トランプ氏が、多様性を持つ人々への嫌悪を示すことが多いことから、私たちはこの結果を興味深いと感じた」と述べ、「このことは、トランプ氏の支持者は、多様な人々に嫌悪感を示しやすいとする今回の仮説にも当てはまる」と続けた。

 今回の研究結果は、右寄りの権威主義的な政治見解は生来のものであり、容易には変えられないことを示唆していると解釈できると研究チームは述べている。

 同論文は、英国王立協会(Royal Society)のオンライン科学誌「ロイヤルソサエティー・オープンサイエンス(Royal Society Open Science)」に掲載された。【翻訳編集】AFPBB News

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最終更新:3/10(土) 9:00
The Telegraph

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