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あの日から、笑ったことは一度もない。 震災PTSDのいま

3/11(日) 11:10配信

BuzzFeed Japan

震災から7年経っても、心の傷が癒えていない人たちがいる。なかには、新たに心的外傷後ストレス障害(PTSD)の診断を受ける人も、だ。【BuzzFeed Japan / 籏智広太】

これは災害があれば当然のことだ。ただ、津波に加えて原発事故の複合災害に見舞われた福島では、その分ストレス要因も複合的になり、PTSDを抱える人の割合が多くなるとみられている。

患者の人たちは、いまをどう生きているのか。そして、いま何が求められているのだろうか。福島県相馬市のメンタルクリニックを訪れた。

毎日のように蘇る、あの日

「震災前は幸せでした。でも、心のそこから笑えたと思ったことは、あの日から一度もないですね」

そうBuzzFeed Newsの取材に語るのは、相馬市に暮らす男性(61)だ。医師から、PTSDの診断を受けている。フラッシュバックなどの症状があるからだ。

いまでも毎日、遭遇した津波の光景が唐突に蘇るという。それも、1日に何回も。

「あのときの記憶だけは、いまもはっきりと覚えているんです。それはもう、恐ろしいことですよね。経験してみないと……わからないと思いますが……」

地震の直後。海際に住む母親の様子を見にいこうとして、渋滞に巻き込まれているさなかのことだった。

いきなり現れた、見たこともない黒い水の塊。目の前に並んでいた救急車やタクシーなどが飲み込まれていった。

「津波とは認識できなかった。みんな、巻き込まれてしまった」

男性はあわててハンドルを切り返した。奇跡的にも、濁流は車を高台に運んだ。避難していた数人とともに、波に飲み込まれていくまちの様子を、見つめた。

車から、人から、漁船から。何もかもが、流されている。その中には、赤ちゃんを抱えたお母さんもいた。あたりには、雪が吹きすさんでいた。

「同じ人間が、目の前で流されていくんですよ。本当に、寒かった。この世の終わりって、こんなものなのでしょうね」

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最終更新:3/11(日) 21:22
BuzzFeed Japan