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映画『生きる街』 夏木マリさん舞台あいさつ「演じるのではなく石巻に暮らした」

3/11(日) 17:13配信

石巻かほく メディア猫の目

 東日本大震災を題材に、石巻市鮎川地区で主に撮影した映画「生きる街」に主演した夏木マリさんが先日、公開中のイオンシネマ石巻(石巻市茜平4丁目)で舞台あいさつした。

 チケットが完売し満席になった観客を前に、夏木さんは「石巻でできた映画。震災がベースだが、家族や古里についての話」と強調した。

 「生きる街」は、被災した石巻市の海沿いの町を舞台にした映画。夏木さんが演じたのは、津波で流された漁師の夫が、いつか戻って来ると信じて地元を離れずに生き続ける女性・佐藤千恵子。

 
 榊英雄監督と一緒に登場した夏木さんは、石巻での2週間の撮影を振り返りながら「演じるのではなく、石巻に生きて暮らした。いない人を愛するとはどういう気持ちか。人間としても貴重な時間だった」と語った。

 榊監督は「小さな家族だけれど、大きな人間の話。生きていかなければならない、という思いをすごく込めて千恵子を描いた。映画を見た後、誰かを思う気持ちがつながっていけば、うれしい」と話した。

 
 舞台あいさつには、キャストの一人で東松島市出身の俳優・鹿野浩明さんも参加。石巻高OBの鹿野さんは「卒業後、上京した。震災当時は何もできなかった。今、この映画を届けられて、夢のようであり感無量」と思いを伝えた。出演しただけでなく方言の指導にも当たり、夏木さんからねぎらわれる場面もあった。

 
 最後にゲストで登壇した亀山紘市長は「震災で多くのものを失ったが、人と人のつながりを通して生きる力、生き続けていく力を描いていただいた。今後の市の復興にもつながる」と感謝した。

 舞台あいさつ後、榊監督に「ありがとう」と握手していく女性の観客もいた。市内から足を運んだ60代の男性は「夏木さんが演じた女性に共感した。街や人が前向きに進んでいく力に感動した」と語った。

夏木さん、念願の普通のおばちゃん役

 
 舞台あいさつは、飾らない夏木さんのトークで盛り上がった。一つは千恵子のイメージづくり。

 「モデルにしたのは石巻地方の浜のお母さんたち。どの女性も全員エプロン姿だった。ずっと思っていたのは千恵子のような強さ、弱さを持った女性、普通のおばちゃんをやってみたかった。私の映画人生で妖怪といった役ばかりだったので。ノーメークで臨んだ」

 ユーモアを交ぜた語りに、客席からは笑いが起きた。

 セリフは石巻弁だったが、夏木さんならではの習得法を披露。「千恵子として生きていくには方言は大事だった。私の場合、台本を音符にする、譜面にする。ここは半音下がってとか、フラットにするとか」

 予定の時間をオーバーするほど熱い舞台あいさつになった。

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