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民法の大改正 自筆証書遺言はもっと身近に? 相続が「争族」に変わらないために

3/11(日) 19:40配信

ファイナンシャルフィールド

1月の「自筆証書遺言が法務局で保管できるようになる」という報道に、興味を持った人も多いでしょう。

私も実際、お客さまから問い合わせをもらいましたが、詳細についてはこれからです。

この内容は喜ばしい改正ではあるのですが、同時に困った問題が起こる可能性もはらんでいます。今日は、改正後もっと身近になるかもしれない自筆証書遺言についてお話します。

公正証書は自筆証書遺言よりも敷居が高い

専門家としては、まずは公正証書をお勧めしたいところですが、遺言を作成する自体、一般的になじみは出てきたものの、公正証書はまだ敷居が高いことは事実でしょう。

公正証書にするには、公証役場に行って(※)、公証人、証人立会いという一連の作業を外すことはできないからです。

相続財産に比例して作成料もかかりますから、これまで、遺言を遺す人は「お金がある人」と思われがちでした。

そこで、自筆証書遺言であれば誰でも書けるだろうと思ってみても、実際、聞いてみるのとやってみるのとは大違い。

全文を自分で書こうとすると、「やっぱり全文書くのはつらい」し「間違うと訂正の方法が面倒」などとなり、結局、公正証書に変えようとしても、「お金がかかるし、証人が必要なのも心配」と、遺言作成をやめてしまう原因にもなっていました。

しかし、自分の思いを誰にも邪魔されずゆっくりと書くことができる、お金がかからない、という意味では自筆証書遺言にするメリットがあるのは事実です。

自筆で遺言を書くと、本人の死後、家庭裁判所に「検認」の手続きをとる必要がありますが、この件数が昭和60年には3,301件、平成10年には8,825件、平成25年には16,708件に増加していることから、今後も自筆証書遺言を遺す人は増え続けるとみて間違いはないでしょう。

※例外として、遺言者が公証役場に出向けない場合には公証人の出張サービスがあります。

自筆証書遺言のメリット・デメリット

ここで自筆証書遺言作成の特徴を整理しておきましょう。

一番大きなデメリットとしては、自分で書いたゆえに、誰にも見つからず、しまい込まれたまま、見つかったときにはすでに名義替えなど終わってしまうというところでしょうか。

そして、全文をすべて自筆で書くのは面倒、これが大きなデメリットでした。

ところが、その2大デメリットを克服するのが、今回の民法大改正です。本文についてはすべて自書する必要はありますが、別紙財産目録については、署名部分以外は自書でなくてもよいものとする緩和方策がとられるようです。

その事項が記載された各ページには、すべて本人の自書と押印(同じ印鑑)でよくなるのです。

これまで、自筆証書遺言を書くときに、対象の財産が預貯金である場合には、金融機関名、口座番号等、不動産であればその地番等、明細を書いており、非常に煩雑でした。

また、平成30年1月16日法制審議会民法(相続関係)部会第26回会議によって、法務局に自筆証書遺言の原本保管をゆだねることができる改正案要綱が提出されています。

画像によって処理され、閲覧できることを考えれば、紛失等の心配もなく、自筆証書遺言があることを確認しやすくする大きな改革でしょう。

ただ、遺言者本人が保管を申請するとは書かれているものの、法務局に行けない状態の人もいるでしょうし、郵送や代理人での申請も可能となるのか、今後の決定事項には注目したいところです。

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