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「子どもが産めない」という不安をなくすため。福島への偏見と闘う市長がいる

3/11(日) 18:50配信

BuzzFeed Japan

津波、原発事故という複合災害に襲われた福島。当初から課題とされていた「心のケア」。震災から7年が経ち、少しずつ心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの問題が改善に向かっている一方で、いまもそこで暮らす人たちを苦しめているものがある。【BuzzFeed Japan / 籏智広太】

それは偏見や、差別すらも生み出す放射能による風評被害だ。そうしたものと戦うために、できることとは何なのだろうか。

ふるさとをなくす、ということ

「家を失くした、ふるさとを失くしたという喪失感は、当事者でしかわからないと思いますよ」

BuzzFeed Newsの取材にそう語り始めたのは、福島県相馬市の立谷秀清市長だ。

未曾有の複合災害におそわれた相馬市では、458人が死亡し、5584棟の住宅が被害を受けた。多くの田畑も被災し、漁業は大打撃を受けた。

また、福島第一原発から北へ約45キロの場所にあるということもあり、事故後はその混乱にも巻き込まれている。

「いままで築き上げてきたもの、さらに、自分のふるさとがみんななくなってしまったのだから。それに加えて、家族や親族、友人や隣人を亡くしたり、津波を目の当たりにしたりしている。被災者にとって、立ち直るのは相当厳しいことでしょう」

「持っていたものを失うことに対する喪失感、挫折感、絶望感は自分にもあるんです。俺の家は、相馬市原釜という海っぱただったんだけど、津波で流された。いまは防災緑地の土手になっちゃった。生まれ育った町、地域子どもの時に見た光景が、想像できないんですよね」

心のケアは、重箱の隅から隅まで

そうした中で必要なのは心のケアだーー。医師でもある立谷市長は、はやくから子どもたちの心的外傷後ストレス障害(PTSD)の対策に取りくんできた。

「学校が再開したのは4月18日。死者が出た小学校の子どもたちはやっぱり不安定だった。海という言葉を使うと、一斉に泣き出すということもあった」

「家がなくなった子、親を亡くした子もいる。そういう環境のなかで、PTSDは対策しなければいけない、大きな問題だと考えたんです」

臨床心理士を全国から募ってチームをつくり、スクールカウンセラーとして各学校に派遣。その後はチームをNPO法人「相馬フォロアーチーム」として組織を整備した。

「一人一人、重箱の隅から隅まで、米粒一粒一粒拾って、全部をやらなければいけないんですよ。漏れがあってはいけないんだから。被災した子どもたち全員を教育委員会と連携しながら、データベースに入れてやってきた」

「同級生に死者が出た子どもたちもいるでしょう。原体験として非常に強い衝撃になってしまう。大人と違って、障害の修復過程が心のなかでまだできていないのだから、サポートは重要です」

PTSDは「10年ほどは継続してフォローしなければならない重要課題」としている立谷市長。事細かなケアの結果、心の問題は少しずつ改善してきている、と見ている。

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最終更新:3/11(日) 21:54
BuzzFeed Japan