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「もう女性社員とは仕事できない」…MeTooを斜めに見る韓国社会の素顔

3/11(日) 14:31配信

ハンギョレ新聞

政治家らは「金目当て論・陰謀論」提起 一部のマスコミは被害者を扇情的に報道 女性排除しようとする「ペンス・ルール」取り上げ  専門家たち「全社会的な反省が必要 同等な人格という認識を根づかせるべき」

 激しい「#ミートゥー」(MeToo)の波に洗われ、性暴力に鈍感だった韓国社会の素顔があらわになっている。一方では危機感を表し、これに逆らおうとする動きも激しくなっている。勇気ある被害告白まで「金目当て論」「陰謀論」などと非難したり、「ペンス・ルール」を挙げて女性を排除しようとする動きが出ている。MeTooの機会を性平等構造の強化につなげていくためには、古い価値観の逆行に便乗するよりも、強固な性差別の慣行を破ろうとする省察と努力を全面化すべきだと指摘されている。

 MeTooの意味をけなしたり歪曲する試みは、MeTooまで政争の手段にしようとする動きは政界で顕著にあらわれている。

 洪準杓(ホン・ジュンピョ)自由韓国党代表は7日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と与野党5党代表の昼食会の席で、安煕正(アン・ヒジョン)前忠清南道知事の性的暴行疑惑について「イム・ジョンソク大統領府秘書室長が計画したという話もある」と「陰謀論」を漂わせた。同党の性暴力根絶対策特別委員会委員長を務めるパク・スンジャ議員も8日、「私たちにあった恥ずべきことはほとんど『タッチ』(接触)や酒席
の同席であった事であり、一晩を過ごすようなことはなかった」と話した。MeToo暴露の対象になった与党側を攻撃するためにMeTooの意味を歪曲したり、「強姦」だけを性暴力だと認める典型的な「加害者の論理」を駆使したものという指摘が出ている。

 MeTooに支持の意思を明らかにしてきた与党も「2次的加害」の疑いを避けがたい。安前知事の性的暴行疑惑が暴露されると、同党のユン・ジュウォン釜山市議員予備候補はツイッターに「ほしいという×や、与える×も同じだ」という書き込みを掲載し、党から除名処理された。民主党全羅北道支部のある関係者も6日、フェイスブックに「分かるような分からないような性(関係を)上納をしたんじゃないか」という文を掲載した事実が分かり、辞職届を出した。

 MeTooを扱ったマスコミ報道も「被害者保護」とは程遠かった。6日、MBNは安前知事事件を報道し、「キム・ジウンさんは安煕正前知事の熱烈なファンでした」と報道した。被害事実とは関係なく被害者の“前歴”に集中したのだ。明白な性暴力を「(加害者の)悪い手」、「セックススキャンダル」などと描写し、被害事実を縮小する恐れがある表現を使ったケースも発見された。チョン・スラ韓国女性民友会メディア運動本部事務局長は「好奇心を刺激したり、クリック数を高めるため、扇情的に報道することは明らかな問題」だと指摘した。

 MeTooの熱気が盛り上がるにつれ、会食などの集まりで女性と席をともにしないという男性たちも登場し始めた。男性の会社員のL氏は「もう女性社員たちとは話もできない」と愚痴をよくこぼしている。L氏は「MeTooをされそうで怖いから、女性とは接触を最小化しようと思っている」と話した。

 しかし、男性たちの間で性暴力の可能性を初めから遮断する代案として取り上げられている「ペンス・ルール」も、実際にはMeTooに逆行する動きだ。「ペンス・ルール」とは、マイク・ペンス米副大統領が2002年のインタビューで言及した規則で、「妻以外の女性と二人きりで食事しない」という意味だ。ホン・ソンス淑明女子大学教授(法学)は「米国では性差別・性暴力が起きると個人は解雇され、会社は数十億ウォンの水準の懲罰的損害賠償を負担する」とし、「韓国は性暴力に対する処罰が非常に微弱なのに、もう『ペンス・ルール』が言及される行動自体が荒唐無稽なこと」だと話した。

 実際はペンス・ルールが極端に作用するとかえって女性の解雇や隔離など性差別の強化につながる可能性がある。フェイスブックのグループ「汝矣島(ヨイド)の隣の竹林」である国会秘書陣は「今日、議員が『最近は周りで女の職員らは全部切って男たちだけ雇用しようなどと言っている』と笑って冗談(?)を言った」という書き込みを掲載した。ジェンダー政治研究所のイ・ジノク代表は「(ペンス・ルールを通じて)女性を日常から排除するというのは、結局現在の性差別構造をさらに強固にするということで、MeToo運動に対する最悪の反応」だと指摘した。

 結果的に女性を性的対象だけでなく同等な人格として見る認識の転換が、現実に根づかなければならないという指摘が出ている。キムミン・ムンジョン韓国女性民友会代表は「MeTooの告白で『性差別的な文化を変えよう』と要求する女性たちの声をありのままに受け入れなければならない」とし、「加害者に対する司法処理も重要だが、同時にMeTooに参加した公益通報者たちが再び自分の職場でしっかりと仕事ができるような社会的に支えなければならない」と話した。

ファン・クムビ、チェ・ミニョン、ソン・ギョンファ、パク・ジュニョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:3/11(日) 14:31
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