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中古市場から見えてくる「2017年の注目ソフト」─発売から1年経過するも高い人気を誇る2作品とは【特集】

3/13(火) 12:00配信

インサイド

2018年に入り、早くも2ヶ月が過ぎました。今年はまだ10ヶ月ほど残っているものの、1月に発売された『モンスターハンター:ワールド』は、売り上げ・人気ともに2018年を代表する1本として数えられてもおかしくない活躍ぶりを見せています。

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ゲーム作品の人気ぶりは、例えば売り上げから探ることもできますし、アンケートの実施で把握することもできます。切り口が変われば、浮き上がってくるタイトルが異なるものになる場合も少なくありません。それは、ゲームが多様性を持つ娯楽である裏付けのひとつとも言えるでしょう。

今回は、中古市場という視点から2017年の注目ソフトを振り返ってみたいと思います。需要と供給のバランスが価格に反映されるのは新品も同様ですが、ユーザーの関心により敏感な反応が求められる中古市場では、どのようなタイトルが一際大きな人気を博したのか。理由への推察も含めて迫ってみたいと思います。

なお本記事は、中古ソフトの購入を勧めるものではないため、あくまで一般的な市場の平均的な価格を元にしており、店舗名などは記載しない方針で進めています。あらかじめご了承ください。

◆中古市場の価格について
まずは前提として、中古市場のゲームソフトがどのような要因で価格を変動するのか、いくつかポイントを押さえておきましょう。といっても、基本的には一般的な商品と同様に、需要と供給のバランスが軸になっています。

ただ、注意しておきたいのは、「安い=つまらない」という方程式が必ず当てはまるわけではない、という点です。どれだけ面白い作品でも、大量の在庫が市場に流れると保管するスペースもかさばるため、ストックしておくだけでも負担になります。

また、ゲームを遊ぶ人を一定人数と考えた場合、遊んだ人が多いタイトルほど新たに遊ぶ人は少なくなるので、販売機会は減少する一方に。そうなると、在庫をさばくために販売価格を下げる、といった形になることも少なくありません。多くの人が遊ぶほど面白いゲームだからこそ、中古市場では安い販売価格になることもあるのです。

逆に、「高い=面白い」も100%ではありません。特に、定価を超えるようなプレミアソフトは、希少価値が価格に反映されている場合がほとんど。もちろんゲームの内容が面白い場合も多々ありますが、入手のしにくさが価格のキモと言えます。

プレミアソフトは、その希少性から在庫量も少なくなりがちで、1店舗に1本あるかないか。占めるスペースが微々たるものなので、店舗が保持し続けていても物理的な負担は軽微です。無論、そのソフトを欲しがる人が一定数いなければプレミア価格は維持されませんが、慌てて捌く緊急性がないため、負担の少なさも価格の落ちにくさを支える一因でしょう。

プレミアソフトとの対比として考えると、「大人気で大量に出回ったソフトの中古価格が低くなりやすいカラクリ」が分かりやすいかと思います。残念ながら「つまらない=人気がないので安い」というケースもありますが、価格と面白さが必ずしもリンクしているわけではない、という前提を踏まえていただけると嬉しく思います。

ダウンロード販売の発展が中古市場に与える影響

◆プレミアソフトは減りつつある?

希少価値が高く、新品ではもう手に入らないプレミアソフトは、中古市場で手に入れるしかありません。ですが一時期と比べると、プレミアがつくタイトルは近年少なくなっています。といってもこれは、「ゲームの面白さが全体的に下がった」という話では決してありません。

プレミアソフトを購入する理由は様々ですが、大きな動機としては「所持していたい」という所有欲と「遊んでみたい」というプレイへの欲求が二大巨頭でしょう。ファミコンやスーファミ、プレステ時代などは、全体的なソフトの本数が数多かったこともあり、中には面白いのに評価されず埋もれてしまうことや、突き抜けすぎた内容で広まらなかったものなどが多々ありました。

後に再評価されたり、一部のユーザーから強く求められるタイトルなどがプレミアソフトとなり、定価を上回る価格で販売。後からその存在に気付いたユーザーが、高値と知りつつ購入したり、もっと安く売っている場所がないかとリサイクルショップを巡ったりしました。

しかし、近年販売されるタイトルでプレミア化するものは、現状ほとんどありません。その理由はシンプルで、まず大きなポイントはダウンロード版の普及です。PS2辺りまではパッケージのみというケースが多く、原則的にゲームを遊ぶには現物を手に入れる必要がありました。しかし今は、多くのタイトルにダウンロード版があり、「遊びたい」という目的だけならば、家から出る必要すらなくプレイ可能。またダウンロード版ならば、売り切れもないので在庫の有無とは無関係です。

さらに今は、ゲームアーカイブスやバーチャルコンソールにより、PS2以前のタイトルも手軽に遊べます。過去にリリースされた全てのソフトがダウンロードで遊べるわけではありませんが、ファミコンやスーファミ、プレステにニンテンドー64など、レトロゲームと呼ばれる時代のタイトルもかなり手軽に楽しめる状況となりました。

そのため、『ファイアーエムブレム トラキア776』、『高機動幻想ガンパレード・マーチ』といったプレミアソフトは、ゲームアーカイブスやバーチャルコンソールのリリースをきっかけに価格が変動。その推移はそれぞれで異なりますが、一時期よりも手に入りやすい価格になったのは確かです。


もちろん、未だに現物を入手するしか遊ぶ機会のないものもあり、『夕闇通り探検隊』や『serial experiments lain』、『MOON』は今も高値で安定しています。また、バーチャルコンソール化を機に価格が変動した後、改めて高値に推移した『メタルスレイダーグローリー』といったタイトルもあり、一概に同じ動きとならないのもプレミアソフトのユニークな点かもしれません。

レトロ時代のゲームにもアクセスしやすくなり、最新ソフトはダウンロード版という選択肢が定着。こういった時代の変化により、最近は新たなプレミアソフトが誕生しにくい状況となっています。ソフト単体ではなく、いわゆる「限定版」にプレミアが付く場合もありますが、これも以前ほどの割合ではなく、定価を超えることはあまりありません。少し変わったところでは、ゲームソフトよりも設定資料集の方が中古価格が高い、というケースも。

とはいえ、定価こそ上回らないものの中古価格が高値で安定しているソフトは、今も数多く存在します。しかも希少性ではなく、相当数の販売実績を記録してもなお値崩れしていないタイトルが。それでは、“中古市場”という視点から見た人気作について、いよいよ触れたいと思います。

現在の中古市場から伺う2017年の注目作とは?

◆“中古市場”から見る2017年の注目ソフト・前編

相対的な規模の差こそありますが、その年を代表するようなビッグタイトルは毎年登場しています。例えば2016年ならば、人気RPGシリーズの最新作として、『ファイナルファンタジーXV』や『ペルソナ5』などがリリースされました。ちなみにこの2作品は、中古市場の観点で見るとかなり両極端です。

「売り上げの多さ=人気の大きさ」と仮定して話をするならば、国内・海外ともに販売本数に開きがあるため、より大きな人気を持つのは『FFXV』に軍配が上がる形となります。(もちろん『ペルソナ5』も、大ヒットと呼べる販売本数を記録しています)。


ですが、現時点の中古市場においては、『FFXV』よりも『ペルソナ5』の方が遥かに高い価格を維持しています(いずれも通常版で比較)。この価格差については、双方に様々な事情があるので詳しくは触れませんが、2016年を代表する作品として知られるタイトル同士でも、中古市場の価格に大きな違いがあることが分かります。また、高値安定の『ペルソナ5』は、客観的に見て明らかに高い人気を保持していると言えるでしょう。

「人気」という言葉が指す対象は、その切り口次第で大きく形が変わるもの。安く出回っているタイトルも、高値安定のタイトルも、それぞれの意味で「人気のある作品」なのです。


人気があるからこそ安くなっているケースとしては、2017年作品では『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』が代表的と言えます。PS4版と3DS版の合算ですが、発売から数日で販売本数200万を達成。翌週には300万本を突破するハイレベルなスタートを見せました。

もちろん発売直後は中古も高値でしたが、今現在の一般的な中古相場は、定価の半額以下です。これだけの販売数を記録すると、中古市場に流れる本数も相当なものとなり、相場が下がるのは避けられない事態と言えるでしょう。皆様ご存じの通り『ドラクエXI』のプレイ満足度は高く、これも「面白さと価格が直接リンクしない」という一例です。


このほかにも、『Horizon Zero Dawn』や『仁王』も、2017年を語る上で外せない作品です。過酷な世界を美しく描くと共に、手応え溢れるハンティングアクションを実現した『Horizon Zero Dawn』。一時は発売が危ぶまれていましたが、シビアながらも駆け引きの緊張感が心地よい ”戦国死にゲー”『仁王』。いずれも多くのユーザーを引きつけ、中古価格も安定して高めをキープし続けていましたが、ある時期を境に一転します。

この2作品の中古価格が下がった理由は、急激に人気が落ちたわけではありません。2作品とも、これまでのダウンロードコンテンツなどを収録した「Horizon Zero Dawn Complete Edition」や「仁王 コンプリートエディション」などが、後日発売されたため。本編とDLCを個別で購入するよりも割安な価格設定なので、とことん遊び尽くす人にとっては、完全版とも言える後発タイトルを購入する方がお得。そのため、本編のみの通常版の価格が下がったというわけです。なお、各コンプリートエディションは、今も4,000円台で安定しています。


記録的な流通本数に見合った価格に落ち着いた『ドラクエXI』、DLC同梱版が安定している『Horizon Zero Dawn』と『仁王』、いずれも紛れもない人気作品ですが、中古市場を通してみると、特に抜きん出ている2017年の作品が2本あります。それは、世界的に支持されている人気シリーズの最新作であり、ニンテンドースイッチと同時発売を飾った『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』と、ヨコオタロウ氏がシナリオやディレクターを務めたアクションRPG『ニーア オートマタ』です。

中古市場で抜きん出た人気を持つ『ゼルダの伝説 BotW』と『ニーア オートマタ』

◆“中古市場”から見る2017年の注目ソフト・後編

どちらの中古価格も高値を保っており、5,000円台を下回ることはほとんどないまま、発売から1年を迎えました。ちなみに『ニーア オートマタ』は、Steam版との合計ですが、世界出荷およびダウンロード本数が200万本に。『ゼルダの伝説 BotW』は、1月に発表された第3四半期決算の資料によれば、スイッチ版だけでも全世界670万本を達成(ダウンロード版含む)。これだけの売れ行きを見せたタイトルが、1年を経過しても5,000円台を中古相場で維持しており、その人気は非常にパワフルと言えるでしょう。

この状況を、「需要と供給のバランスが高いレベルで釣り合っている」とまとめることはできますが、1年が経過してもなお強い訴求力を持つ理由の一端をここで推察したいと思います。まず『ニーア オートマタ』は、個性的な作品を数多く生み出したヨコオタロウ氏の手腕が存分に発揮されており、設定や物語は人を選ぶ面こそあれ、相性の合うユーザーを数多く魅了する力を持っています。


また、ヨコオタロウ氏の代表作として知られている『ドラッグオンドラグーン』シリーズとも設定面で関連があり、発売前から注目度も高い一作でした。もちろん、『ニーア ゲシュタルト/レプリカント』の後継作なので、前作ファンからの期待も集めています。そして、『ニーア オートマタ』の開発をプラチナゲームズが手がけたのも、大きなポイントでしょう。

『ドラッグオンドラグーン』シリーズや『ニーア ゲシュタルト/レプリカント』もコアなゲーマーを中心に人気を博しましたが、アクション面についてはあと一歩及ばない印象もあり、その点についてはファンの間で様々な要望が出ていたほど。ですが本作は、『ベヨネッタ』などでアクションに定評のあるプラチナゲームズが開発しており、テンポの良さと爽快感を両立するゲーム性を実現しました。


また、ファンが長年望んできたアクション面が強化されてゲーム性が向上したことで、物語への没入度も増しました。それは、ヨコオタロウ氏が描く個性的なキャラクターや心を揺り動かす物語をより力強く感じられることでもあります。これまでも充分に魅力的だった要素が、『ニーア オートマタ』でより伝わりやすくなり、大きく開花したのです。

『ドラクエ』のような国民的な作品ではないからこそ流行り廃りに左右されず、また個性的であるがゆえに類似作品が見当たらず、更にクオリティも高いとくれば、ユーザーから長く求められる結果となるのは自然な流れと言えるでしょう。


そして、『ゼルダの伝説 BotW』は、言うまでもないほど高い人気を誇るシリーズの最新作。それだけでも話題性は充分ですが、広大な空間とどこまでも登り到達できる高さを合わせ持つ“オープンエアー”をはじめ、これまでの過去作にはなかった要素を多数用意。シリーズ初体験のユーザーだけでなく、『ゼルダの伝説』ファンにも新たな刺激を提供し、世界的なヒットに結びつきました。

シリーズ人気が高いので、『ゼルダの伝説 BotW』が支持されるのも当然だろう。そう思われる方も多いでしょうし、この意見も無論間違いではありませんが、今回の事例として注目したいのは、ニンテンドースイッチと同時発売という点。つまり、本体の普及がこれからという状態だったことです。

ソフトの売れ行きは、直接的にはソフト自体の評価や、ブランドやシリーズに対する信頼感などで大きく左右しますが、対応ハードの普及度合いも重要です。ハード所持者は購入対象者とも言えるので、多いに越したことはありません。ハードの台数以上にソフトが売れる道理はなく、普及台数が多いのは大事な条件のひとつ。

『ゼルダの伝説 BotW』にはWii U版もあり、約一ヶ月で108万本を販売しました。これだけでもかなりの数ですが、普及が始まったばかりのスイッチ版の方が遥かに売れており、同じ期間で276万本を販売。発売されたばかりの新ハードでこれだけ本数を伸ばしたのは、多くのユーザーの予想を超える結果でした。ちなみに2017年末までの段階で、スイッチ版『ゼルダの伝説 BotW』は670万本を売り上げています。


また、中古価格が安定して高値を維持している背景のひとつとして、スイッチの普及状況も一因でしょう。スイッチが普及するに従い新たなユーザーが生まれ続けるため、長期的に新ユーザーの購入候補となります。そのため中古市場でも売れ続け、高値安定という結果を招いたものと思われます。

攻略順も縛らず、いきなりラスボスに挑むことも可能な『ゼルダの伝説 BotW』。ゲームとしてのルールやプレイ体験も一新し、ユーザーの期待に応えるどころか上回る仕上がりで登場したため、こちらも高い人気を獲得して然るべき1本です。

今後、更にスイッチが普及すれば、潜在的だった購入者が更に増えるので、『ゼルダの伝説 BotW』の伸びしろはまだまだ残されています。PS4の普及はある程度落ち着いてはいますが、今年の1月に発売された『モンスターハンター:ワールド』がPS4本体を牽引して更なる層を掘り起こしたので、『モンハン:ワールド』をプレイし終えて新たなタイトルを探すユーザーが『ニーア オートマタ』に流れる可能性は充分あります。現時点でも高い人気を誇っていますが、今後の展開も実に楽しみな2作品です。


2017年のソフトと言えば、『スプラトゥーン2』や『マリオカート8 デラックス』などもあり、こちらも中古市場で高値安定ですが、前作からの延長線上にあるため、現状の人気も順当な推移ともとれます。『ニーア オートマタ』と『ゼルダの伝説 BotW』は、新たな挑戦であったり体制を大きく変えて挑んだタイトルだったので、だからこそより注目したい作品でもあります。

発売から1年を超えてなお厚い支持を集める作品に敬意を払うと共に、あらゆる面白いゲームに祝福を贈りたいと思います。そして、2018年も素晴らしいゲームが市場に現れますように。


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最終更新:3/13(火) 12:00
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