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完全養殖カンパチの販売軌道に 近大産の稚魚使い“完全国産”実現

3/13(火) 18:20配信

みなと新聞

 宮崎県延岡市で生産する完全国産養殖カンパチ「ひなた小町」の販売が軌道に乗っている。2017年5月に販売を始め、2年目の今年は昨年の2倍、8万尾の出荷を計画する。一般的に養殖カンパチの多くは中国産の稚魚を輸入し、国内で育てている。一方、「ひなた小町」は近畿大が人工ふ化した稚魚を使用。“完全国産”、安心・安全を武器に、スーパーでの取り扱いが進んでいる。

 生産を手がけるのは市内の養殖業者、黒田水産、結城水産、澤勝水産の3社が17年2月に立ち上げた生産者団体「ECO勘」。生産者が自主的に数社集まり、規格を決め、ブランド化に取り組む事例は全国的にみても少ない。

 ECO勘の発足の背景には、海外のカンパチ稚魚や餌代が上昇して生産コスト増を出荷価格に転嫁できなくなったのが要因。また、「このまま海外の稚魚を池入れしていては、魚病を持ってくる可能性がある」との危機感を養殖業者3社が同時期に抱いていた。

国産カンパチ、稚魚の過半が中国産頼み

 一般的に国内養殖カンパチは稚魚の過半を中国産に頼っている。2005年には、中国産カンパチの稚魚からアニサキス幼虫の寄生が確認され、問題となった。中国産の稚魚は近年、採捕状況の変動、病気などによるへい死、餌の高騰などで、稚魚の値段は高値安定となっている。

 一方、「ひなた小町」は近畿大が人工ふ化したカンパチの稚魚を宮崎の海で育てた完全養殖カンパチ。生産履歴が明確なため、食の安心・安全につながる。

 3社を結びつけたのは、水産用飼料添加物や混合飼料の販売会社。3社のカンパチ養殖に対する考え方や生産技術のレベルが同等だったことも、ECO勘が組織できた理由の一つだ。この飼料会社が各社の成育状況などの情報を提供、生産者同士で工夫し、出荷を調整している。

 生産するカンパチの品質を統一化するため、餌にも規格を設けている。餌は、地元で水揚げした冷凍のアジやサバ、イワシなどにビタミン剤などを混ぜた専用飼料。さらに、養殖方法などについても情報交換を行い、養殖技術のレベルアップを図っている。

 「ひなた小町」の出荷時期は5~12月で、2017年は4万尾の実績。18年は約8万尾を出荷する計画。養殖業者3社が養殖するカンパチの全てがひなた小町ではないため今後、増産も可能だ。ECO勘の黒田久幸代表は「生産から販売まで連携している。この関係をさらに強めながら、拡販していく」と強調する。

最終更新:3/13(火) 18:20
みなと新聞