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文韓国大統領はなぜ米朝会談の道筋をつけられたのかー一変した東アジア外交の主役

3/13(火) 12:12配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

ピョンチャン(平昌)オリンピックが東アジア情勢を一変させた ー 。

将来、そう評価されるときが来るかもしれない。南北首脳会談と米朝首脳会談の実現に道を開き、核戦争の恐れが現実味を帯びた窮状を緩和したのだから。

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もちろん米朝首脳会談が本当に実現するかどうか、多くの変数がある。しかし、米朝の歴史的和解が実現すれば、大国間の利益の草刈り場になってきた朝鮮半島で、「南北コリア」という新主役による初の外交成果になる。ひいてはパワーシフト(大国の重心移動)が進む東アジアの政治枠組みに波紋を広げる一石になるかもしれない。

南北接触で信頼関係構築

膠着状態に風穴を開けたのは、中国でもなければロシアでもなかった。「何としても戦争だけは防ぐ」として、アメリカの軍事行動に協力しない姿勢を鮮明にした文在寅・韓国大統領、それにこのイニシアチブに金正恩・労働党委員長が乗った「南北協力」の成果である。朝鮮半島の近・現代史で、「南北コリア」が主役として、状況打開に取り組む初ケースでもある。

米朝会談については、トランプ政権も安倍政権も「対北制裁の成果」と自画自賛している。しかし実際は、戦争カードをちらつかせるトランプ氏こそが南北を接近させたのだ。核戦争になれば韓国、中国、日本という周辺国に数百万もの犠牲者が出るのを覚悟しなければならない。核戦争には勝者も敗者もない。

日本では評価の低い金、文の両氏だが、冬季オリンピックをはさんだ南北接触の中で、2人は信頼関係を築き、強めていった。平壌で正恩氏と会った大統領特使の一人は、「正恩氏が大統領の朝鮮半島構想を詳細に把握していて驚いた」と語っている。文政権を仲介役にすれば「平等な立場」(北朝鮮外務省報道官)で、アメリカと交渉できると北も判断したのだ。

遺訓と合致する文構想

文氏の「朝鮮半島構想」は、2017年11月発表された。南北の「平和共存と共同繁栄」を目的に、核問題解決と朝鮮半島の休戦協定(1953年)の平和協定への転換による戦争終結を同時に実現させる内容だった。この主張は、正恩氏の祖父、金日成主席および金正日氏の「遺訓」と一致する。

「北京の言うことに聞く耳を持たない」。平壌に、嫌気がさした中国は2017年秋以来、対北説得のさじを投げ「寝てしまった」。中国は制裁強化を従来以上に厳格に執行し、トランプ政権と協力して有事の際の「北の核管理」や「難民収容」に向けた中朝越境行動シナリオすら描いたほどだ。米中協調関係はこれまでになく強まった。

その間、文氏は何をしたのか。ソウル発共同通信社電は次のように分析する。

「文氏はトランプ氏が(圧力から)『関与』にかじを切るまで待たなかった。中国が北朝鮮を6カ国協議に復帰させるかどうか、また拉致問題の打開を狙う安倍晋三首相が動くか否かも見極めずに、文氏は打って出た」

そんな外交イニシアチブに対し、日本やアメリカのメディアは「(文政権)は韓国と日米の間にくさびを打ち込もうとする北の策にはまった」との批判を強めた。しかし文氏は、「南北関係の発展には米朝対話が必ず必要」と取り合わず、トランプ氏もそれに乗った。

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最終更新:3/14(水) 12:17
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