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傑作!? 〆切りに追われる作家の“言い訳”エピソード

3/13(火) 21:00配信

TOKYO FM+

速水健朗と高橋万里恵がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「クロノス・フライデー」。3月9日(金)放送の「追跡」のコーナーでは、出版社「左右社」編集者の守屋佳奈子さんと、代表の小柳学さんが登場。発売中の「〆切本2」ついて伺いました。

職業柄、常に締め切りに追われる作家という仕事。明治から現代にいたるまでの大作家たちがそんな締め切りと格闘するエピソードや、逆切れするエッセイや手紙、日記などを集めたアンソロジーの第2弾「〆切本2」が好発売中です。今回はその中から、2人のお気に入りのエピソードを教えてくれました。

1つ目に守屋さんが紹介してくれたのは、昭和期の作家「柴田錬三郎」さんのエピソード。当時連載していた「うろつき夜太」が、締め切りに間に合わず連載を丸ごと落としてしまう事態が発生。その際、代わりに掲載されたのが以下の言い訳だったそうです。
「作者おことわり」というタイトルで始まった言い訳の内容は、「第1章を書き終わったところで、私の頭の中はカラッポになってしまった。(執筆中の)ホテルに編集者が押し入って来たとしても、案は出てくるものではない。これは20年に1度の非常手段です。何卒許していただきたい。これに横尾忠則氏(挿画を担当していた)がどんな挿絵をしてくれるか、今は神のみぞ知る。アーメン」と締めくくられたもの。小説の連載にエッセイを掲載するという裏技的な手法ですが、純度の高いエッセイが逆に新鮮で面白みのある内容です。

2つ目のエピソードは、昭和期の作家「梅崎春生」さんが、原稿を催促しにやってくる編集者に対して仮病を使ったという話。布団をしいて、枕元に薬を置き、かすれ声で「38.3度の熱がある」と編集者に嘘をつき続けていたら、その後本当に熱が出てきてしまったのだとか。

こうした締め切りに関するエピソードは編集者にとって悩みの種である一方、「不思議なもので(締め切りを過ぎて)待たされたほうが『お待ちした甲斐がありました』と言いたくなる作品に出会える」と小柳さん。作家側も「締め切りを過ぎている以上、クオリティの高いものを提出しなければ」という心理が働くのかもしれません。

数々の作家たちの締め切りエピソードを掲載する同作ですが、実は同作自体も当初発売予定の2017年4月から大幅にオーバーしていたのだとか。「最終的にはTwitterで締め切りをカウントダウンし、ライターにプレッシャーを与えていた」と守屋さん。

そんなお茶目な作家たちのエピソードを拾いあげた「〆切本2」は、“偉大な作家ですら締め切りを破ってしまうんだ……”と私たちも少し勇気をもらえる1冊です。ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

(TOKYO FM「クロノス」2018年3月8日(金)放送より)

最終更新:3/14(水) 9:49
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