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開発陣に聞く「JOJO L-02K」(ACT1):テーマは「ジョジョニケーション」 ジョジョスマホで働いた“引力”とは

3/14(水) 6:05配信

ITmedia Mobile

 「時は動き出す」

 「ジョジョの奇妙な冒険」とコラボしたスマートフォン「L-06D JOJO」が発売されてから、約5年半がたった。OSがAndroid 4.0で止まっていることもあり、現役で使っている人はほぼいないと思われる。まさにジョジョスマホのユーザーにとっては、DIOのスタンド「世界(ザ・ワールド)」によって時が止められたかのような状態が続いていた。

「JOJO L-02K」の実機写真

 しかし、その時を再び動かしたのが、NTTドコモ プロダクト部 第二商品企画担当の鹿島大悟氏と、プロダクト部 第一商品企画担当の津田浩孝氏の2人だ。2018年3月、ついに第2弾のジョジョスマホ「JOJO L-02K」が発売される(発売は3月下旬の予定)。2人のジョジョ、そしてジョジョスマホに対する熱量は、モハメド・アヴドゥル(第3部のキャラクター)のスタンド、マジシャンズレッド(魔術師の赤)が放つ炎をも上回るといっても過言ではない。

 L-06D JOJOが好調に売れたことから、JOJO L-02Kの開発もすんなり決まったのだろう……と思いきや、そう簡単なことではなかったそうだ。そこには、前作から5年以上がたち、ドコモやスマホを取り巻く環境が変わっていることが関係している。さまざまな困難を乗り越えて発売を迎えるJOJO L-02Kは、どんな経緯で開発が決まり、何を目指したのか? 前モデルから何が変わったのか? 複数回にわたってインタビューをお届けする。

 開発機のデザインや中身は既にお伝えしているので、あらためてご覧いただきたい。

【訂正:2018年3月14日19時6分 初出時に、L-06D JOJOのOSをAndroid 2.3としていましたが、正しくはAndroid 4.0です。おわびして訂正致します。】

●企画は当初から山あり谷ありだった

―― なぜこのタイミングで第2弾のジョジョスマホを開発することになったのでしょうか。あらためて、経緯をお聞かせください。

津田氏 スマートフォンが成熟して、頭打ち感が出ていることを、昨今特に強く感じています。その中で、数は少なくとも、特定のお客さまに喜んでいただける。そういった商品にトライしていきたいという狙いがあって商品化しました。……というのは建前で、私と鹿島の2人で主に企画を進めてきたのですが、「われわれがやりたかったから」というのが正直なところです。

 2012年に出させていただいた「L-06D JOJO」があるので、お客さまから見れば、第1弾の成功があって、その下敷きの上で第2弾がある。比較的順調に話が進んだプロジェクトに見えたかもしれませんが、実際にはそうではなく、企画当初から山あり谷ありでした。

鹿島氏 前回はドコモのラインアップにiPhoneがないという違いもありました。

―― L-06D JOJOが発売されたのは、ちょうどドコモがiPhoneを導入する1年前でしたね。実際、どのあたりで苦労されたのでしょうか。

鹿島氏 まず、「やる」というところに到達するのに時間がかかっていますね。

―― 前回も、上層部がなかなかジョジョの良さを理解してくれなかったという苦労があったとうかがいました。でも、L-06D JOJOが売れたことを考えると、今回はそれほどハードルが高くなかったのでは?

鹿島氏 そんなことないと思います(笑)。結局は同じか、僕の感覚からすると、それ以上のプロセスを経ています。

―― でも、前回は「成功」と言っていいんですよね?

鹿島氏 とはいえ、L-06D JOJOの後にも何台かコラボモデルは出たんですけど、ピタッと止まって、Disney Mobile以外の企画端末は出せていませんでした。ですので、そういうもの(コラボモデル)はご時世的にないよね、という考えが下敷きになってしまいました。また違う種類の“壁”を突破しなければならなくなりました。

―― その壁はどうやって突破したのですか?

津田氏 L-06D JOJOが一定の成功を収めたということは社内でも理解されましたが、一方でコラボモデルの成果を定量的に図りづらいところもあります。われわれが1万~1万5000台の商品を販売したとして、どのぐらいもうかるのか、会社の業績に貢献するのか? その規模は決して大きくはない。一方で開発に必要なリソースは大きいので、それだけのメリットを見いだせるかは、常に問われている状況です。

 世の中では、約5年前の(ジョジョの奇妙な冒険)25周年から大きなムーブメントになっています。例えば有名なブランドさんとコラボレーションをしていて、これだけの価値がある作品で、熱狂的なファンがいらっしゃる。そういった背景もあることを丁寧に説明していきました。

 前モデルについても、非常に長くお使いいただいているお客さまもいらっしゃいます。僕ら自身もユーザーで、動かなくなるまで使っていたんですけど、かなり限界が来ています。これだけ「次」を求めている人もいらっしゃる。そういった材料を積み上げながら、社内を説得していきました。

●なぜ2018年の発売になったのか

―― そもそも、なぜ2018年に発売することが決まったのでしょうか。結果としてこの時期になったのか、あるいは照準を定めていたのか。

鹿島氏 2017年が(ジョジョ連載の)30周年だったので、本当は2017年に出すつもりでプロジェクトは走らせていました。でも、いろいろな事情があり、集英社さんと話をした結果、これくらいの時期がベストとなりました。

津田氏 「引力」(※第6部のエンリコ・プッチがDIOに言われた言葉。出会いは引力であり、出会いには意味があることを意味する)じゃないですけど、結果的に全てうまくはまったなと思っています。先日発表がありました「荒木飛呂彦原画展」も2018年開催です。31年目ですけど、2018年にジョジョとして最大規模のイベントを行うということで、先方(集英社)のプロモーションプランとしてそこに照準を定めたいというのと、私たちにとっても「V30+」をベースにして開発すると、ちょうど3月ぐらいが現実的なスケジュールでした。

―― もともと「1月以降」の発売でしたよね? 早ければ1月に出るのかと思っていました。

鹿島氏 あれは……あまり意図はありません。

津田氏 じつは変更はなく、当初の予定通りです。あのタイミング(発表をした2017年10月)でJOJO L-02Kに限らず、年明けに発売するスマホの発売日は、一律で「1月以降」と統一していました。発表タイミングが先すぎて、正確な発売日をお約束できませんでした。

―― 企画はいつ頃から立ち上がったのでしょうか。

津田氏 その回答はなかなか難しいですね。さかのぼれば5年前に、L-06D JOJOが出る前から、「次もやるぜ」というのは、私と鹿島の中では当然意識していました。そこから、それぞれが違う業務を経験しながらアイデアを蓄積していきました。

鹿島氏 津田は同期なんですけど、僕が2016年4月にプロダクト部に異動する以前から一緒に“ジョジョ活”をしていました。社内や集英社、荒木先生との調整には1年以上かかりました。

津田氏 鹿島と足場を固めながら、これからジョジョをやるんだという既成事実を作りながらですね。

鹿島氏 今もやっていますけど、時間外に“部活”でもくろみを重ねてきました。

津田氏 結局ジョジョの話をしているだけというのはありますけど(笑)。

鹿島氏 (津田氏が)タブレット担当なので、タブではどうかという話も出ました。

●“ジョジョタブレット”も検討した

―― タブレットもアリだと思うのですが、そもそも、またスマホで出そうと思ったのはなぜですか?

津田氏 最初から「ジョジョスマホ2」をやろうとは思っていなくて、完全にフラットな状態で検討しました。「スマートフォンじゃないセカンドデバイス」にすると、もっと振り切った面白いデバイスができるのか? とか。スマートウォッチなど、スマートフォンの次を模索するデバイスも出ていたので、有形無形のところも含めて、かなり鹿島と議論しました。

鹿島氏 僕の熱い思いとしては、スマートフォンと別の機器を持ち歩く2台持ちは、一般市場ではメジャーではないなと。これだけ前作でもこだわって中身のコンテンツを入れているんですけど、常に使ってこそ価値があるというか、体験をお客さまに伝えたいという思いからすると、常に持って歩いてほしいんですよね。そうなると、タブレットだと、コミュニケーションを中心にする上でやりづらいという思いもあり、やるんだったらスマートフォンだよね、と意見させてもらいました。

津田氏 ジョジョの奇妙な冒険は、通常のエンターテインメント作品と比べると、ファッション的なアイコンとしてファンの方は認識していて、身に付けたい、持ち歩きたい、見せたい、そんな「アイデンティティーを表現したい」という心理もあるよねと。そうすると、スマートフォンが一番マッチするかなと考えました。

 当然、スマートフォンでやり残したこともたくさんあって、アイデアは湯水のごとく出てきて、そこを形にしたいという思いもあります。じゃあ、究極のジョジョスマホを作るとどうなるのか? を考え始めたのが1年半ほど前ですね。

●ジョジョを介したコミュニケーションを実現させたい

―― 「コミュニケーション」がコンセプトという話もうかがいましたが、前回と今回でコンセプトは変わってきたのでしょうか。

鹿島氏 前回は、できること自体が僕もすごくうれしかったので、やりたいことをひたすら並べたという感じでした。世界観を伝えたいという思いが強くて、幅広いアイデアを入れたつもりではあるんですけど、今回は何か1つ軸を打ち立てた上で設計した方がいいと思い、ビジュアルも含めて、前回と差分が出るように組み立てました。

津田氏 あまり人様にお見せできるようなものではないんですけど、初期の検討資料があります。その中で「ジョジョニケーション」という造語を作りました。

鹿島氏 「ジョジョベラー」(※2013年に発売された画集「JOJOVELLER」)や「ジョジョニウム」(※ジョジョ第1部~第3部の愛蔵版コミックス「Jojonium」)とか、ジョジョ自体がこういう造語で展開していたこともあったので。

津田氏 ジョジョを介したコミュニケーションは、よくご存じない方からすると、「こいつら何すっとんきょうなことを言っているんだ」という感じになりますが、私と鹿島の間ではすごく自然なこと。私は関西支社に勤務していて、鹿島とは接点がなかったんですけど、こちらに転勤になったのが、前回のL-06D JOJOが出る少し前でした。そこで他のメンバーに引き合わされました。「おまえは会った方がいい」と。

―― 「スタンド使いは引かれ合う」(※スタンド使い同士が運命的に出会う法則を指した言葉)ですね。

津田氏 まさにそういった引力が働きました。ジョジョという共通項を通じて接点を持てますし、何気ない会話もジョジョのキーワードがちりばめられたような内容に自然となっていきました。そういった行為そのものをジョジョニケーションと定義して、それをもっと盛り上げられる端末を出せないかと。

 端末を持った方がジョジョファン同士、よりつなぎ合えるというか、盛り上がれるものを提供できると、価値があるんじゃないかと。

 「単純に次のジョジョスマホをやりましょう」とはならなくて、ジョジョの奇妙な冒険が、これだけコンサバを知らないというか、常に攻めの姿勢でクリエイティブなことをされている作品、作家さんなので。「同じことを2回やるだけだと意味がない」と集英社さんにも言われました。新しいトライをできないと意味がないという共通認識のもと、検討を進めて、どんどん新しい機能や使い方を考えていきました。

―― ハードルは、集英社さんに理解してもらい、その次が社内だったのでしょうか。

鹿島氏 並行してやっていましたね。「スマートフォンとして新しいことができないか」も求められていました。こういう端末をやらせてもらうにあたって、いいアイデアを提示できれば、やりがいも増えます。いろいろなメンバーとディスカッションをしながら具体化していきました。

 まさに「擬音モード」は、その中から生まれた機能の1つです。

→T0 BE CONTINUED...

(次回は、擬音モードをはじめとするコンテンツ、背面の描き下ろしイラストや、新しい見せ方にこだわったという壁紙に迫ります)

最終更新:3/14(水) 19:14
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