ここから本文です

通算出場“わずか1試合”の野球人生

3/14(水) 18:00配信

ベースボールキング

1度も打席に立てなかった男

 先日、JRA(日本中央競馬会)でヘヴィータンクという馬が話題となった。

 初出走が重賞レース(G2・弥生賞)という異例のデビューが注目を集めるも、結果は大きく離された最下位。さらに、その数日後にはその1戦限りで引退することが発表され、再び大きく報じられた。わずか1戦というキャリアでここまで話題になった馬は、過去にもいなかったのではないだろうか。

 この話題で思い起こされたのが、アメリカの野球映画「フィールド・オブ・ドリームス」(1989年)である。この映画で取り上げられたムーンライト・グラハムという選手は、公式戦1試合の出場のみで現役を引退した。

 グラハムは1877年生まれの実在する野球選手。1905年に念願のメジャーデビューを果たすと、その試合で8回から守備に就いた。しかし、9回表に直前の打者が打ち取られ、一度も打席に立つことなく試合は終了。結果、その試合がグラハムにとって生涯唯一の出場となり、“打席に立てなかった悲劇の選手”としてアメリカでは有名だ。

1球も投げなかった男

 グラハムと似た経歴の持ち主なのが、現在68歳のラリー・ヨーントだ。

 名前を聞いてピンと来た人も多いだろう。弟のロビン・ヨーントはブリュワーズ一筋で通算3142安打を放ち、資格初年度に野球殿堂入りを果たした名選手である。

 一方、兄のラリーは投手として1試合に出場しているが、実は1球も投げていない。

 ラリーはアストロズに所属していた1971年9月15日、ブレーブス戦の9回に出番が回ってきた。しかし、当時21歳のラリーは投球練習中に肘に痛みを感じ、マウンドでの投球練習でもその痛みが消えなかったため、1球も投げることなくマウンドを降りているのだ。

 ルール上、投手は最低打者1人に投げないといけないのだが、故障した場合はこの限りではなく、このルールが適用される形となった。しかし、ラリーの名前は既にコールされており、記録上は1試合に登板したことになっている。その後はマイナー生活を送ったが、再びメジャー昇格を果たすことなく、1976年に引退した。

1/2ページ