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<北朝鮮内部>「韓国との対話は金正恩将軍の勝利」 国内で宣伝始める 隠された非核化 幹部も知らず

3/15(木) 5:16配信

アジアプレス・ネットワーク

北朝鮮国内で、幹部と住民を対象に「南北対話の始まりは金正恩将軍の勝利だ」とする宣伝が公式に始まっていることが分かった。北部の咸鏡北道の複数の取材協力者が3月13日以降に伝えてきた。 (カン・ジウォン/石丸次郎)

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この取材協力者によると、党などの幹部対象に講演が行われたのは3月9日で、題目は「すぐれた外交的見識を持つ偉大な将軍様」。地区の初級幹部以上を集めて40分に渡って行われたという。


内容については、講演に参加した高級幹部に聞いたとして、「(韓国政府の特使との)今回の会談は、経済封鎖によって共和国を圧殺するための敵どもの卑劣な策動を打ち破るための、金正恩将軍の偉大な業績だというものだったそうだ」と述べた。南北、および朝米の首脳会談については、まったく説明がなかった模様だという。


また、幹部とは別に住民を対象とした学習も行われた。北朝鮮では全住民が職場や地域、学校などに組織され、週一回の「生活総和」と呼ばれる自己批判集会への参加を義務付けられているが、3月10日の「生活総和」の時間に、「強大国の経済封鎖を打ち破っている我が国に全世界が注目している、という内容の学習会議が行われた」と、取材協力者は述べた。やはり韓国の特使が来たことだけに言及があったという。

◆非核化なんて知らない

以下は、この取材協力者との一問一答。


――住民たちの反応はどうか?
「ここの人間は、具体的なことは何も知らされないから、『ふ~ん、そうなのか』という程度で、関心を持つ人あまりいない。経済制裁が緩めば、中国への輸出がまた活発になるはずだと期待する人はいるだろう。外貨稼ぎ会社の人間もそう考えるだろう」

――核兵器をなくすと意思表明して4月に南北首脳会談、5月までに米国大統領と会談することになったが、住民は知っているか?
「核武力をなくすだって? それは知らない。朝鮮は核強国だと言ってきたのに核を放棄するだろうか? この度の学習会議でも、一切核放棄に関する内容はなかった。ここの人間は知らないはずだ。幹部会議の内容を教えてくれた人も相当高い地位だが、そんなことは言っていなかった。まだ知らないはずだ。トップの連中はすべて秘密でやるから」

また、咸鏡北道の別の都市に住む取材協力者は、14日の通話で同様の住民対象の学習集会が12日にあったと伝えてきたが、やはり「核放棄や南北首脳会談、トランプ大統領との会談についての説明はなかった」と証言した。

北朝鮮国営メディアは14日時点で、南北首脳会談や対米対話、非核化の意思表明について一切言及しておらず、文在寅大統領の特使に金正恩氏が「接見した」ことだけを伝えている。

※アジアプレスでは北朝鮮国内に中国の携帯電話を搬入して連絡を取り合っている。