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値上げを決めたJR貨物。需要増の期待にどう応える?

3/15(木) 7:35配信

ニュースイッチ

ビッグデータやAI活用で進化目指す

 輸送料金を10月から約1割値上げすることを決めたJR貨物。旧国鉄の分割・民営化による1987年4月の同社発足後、初めての料金引き上げとなる。人件費や荷物を積み込むコンテナの価格が上昇し、「自助努力ではこれ以上のコスト吸収が難しい」(広報室)と判断した。

 荷物を運ぶ駅間の距離や重さによって輸送料金を定めている「貨物賃率表」を10月1日から改定し、約1割の値上げを行う。実際の輸送料金は、貨物の取扱量などに応じて取引先ごとに個別に決めており、賃率表はそのベースとなる。

 JR貨物の主要顧客である運送会社では、運転手不足が深刻化する中で、トラックによる長距離輸送を鉄道利用に切り替える動きが拡大。同社は、値上げ分を原資に、需要増に対応した取り組みを強化する。

 まず2018年度中に、IoT(モノのインターネット)やビッグデータ(大量データ)を活用した車両管理、保守の最適化に取り組む。機関車や貨車の検査記録をタブレット端末で入力して一元管理するシステムを導入。労働生産性の改善や部品交換の適正化による保守費用低減などにつなげる。運行中の機関車からデータを常時収集し、人工知能(AI)で故障を予測する技術も研究する。

 同社は10月の稼働を目指し、車両管理システムの刷新に着手した。従来は作業者が現場で作成した検査書類を上司が目視で確認していた。電子入力する新システムの導入により、検査データは社内で迅速に共有でき、記載漏れも防げる。年4万件程度の事務作業削減が見込める。

 車両情報の一元管理により蓄積したビッグデータを活用して、故障傾向や予兆管理などに効果を見込む。部品の交換時期や在庫の適正化で修繕費用の抑制も狙う。作業進捗(しんちょく)状況の可視化により、ボトルネック工程を把握し、生産性改善にもつなげる。

 運転中の機関車から車両データと運転操作データを取得し、これを元に最適なメンテナンスを行う状態基準保全(CBM)を視野に入れる。既存の機関車に遠隔モニタリング装置を搭載し、集中サーバーでデータを管理。各車両の劣化度合いや異状部位を常時把握するとともにAIで異状進行を予測して最適な予知保全を実現する。

 また今月17日のダイヤ改正を機に、鉄道輸送用コンテナの標準型を従来よりも100ミリメートル背が高いタイプに変更する。コンテナ容積は従来の標準型に比べて両側開き「20D」で約4・2%、妻側開き「20G」で約4・8%拡大する。

 積載荷物を増やせるほか、荷役作業軽減で増加傾向にあるパレット積み荷物にも対応する。

 ダイヤ改正で国鉄時代に製造した貨車「コキ50000形」が定期運用から外れる。これまで背高コンテナは輸送可能区間が限られていた。床面の高さが低い貨車「コキ100形」などに置き換わることで輸送区間に制限がなくなるため、標準サイズを拡大する。

 JR貨物は18年度中に、20Dを2650個、20Gを1300個の計3950個のコンテナを新しく作る。

 次年度以降も順次、更新を進めるが、すべてを置き換えるのは10年以上かかる見通しだ。

最終更新:3/15(木) 7:35
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