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ペットも高齢化進む 飼い主に代わり“施設”で優しく介護 千葉市のNPO法人

3/15(木) 11:13配信

千葉日報オンライン

 人間と同じようにペットも高齢化が進み、寝たきりや認知症になる犬や猫が増えている。高齢化に伴い直面する「介護問題」に応えようと、千葉市中央区のNPO法人が地道に活動を続ける。職員は老犬に優しいまなざしを向け「きょうも元気?」と話し掛ける。

(社会部 町香菜美)

 飼い主が年老いてペットの面倒を見るのが大変になるのと、ペット自身が年を重ねて介護が必要になる「二つの高齢化」。NPO法人ハーネス夢サポートの老犬ホーム「あしあと」が介護問題に向き合っている。

 「ごめんね、ちょっと起こすよ」。同ホーム「あしあと」では、職員の女性が慣れた手つきでシバイヌの武蔵君(推定年齢18歳、雄)におむつをはかせる。武蔵君は安心した様子で小さく息を吐き女性に身を任せた。「この子は今は寝たきりの状態。たまに向きを変えたりマッサージをします」

◆寝たきりに認知症

 現在同ホームでは、小型から大型まで約20匹の犬を預かっている。認知症で同じ所を回る徘徊(はいかい)や夜鳴き、寝たきりの老犬などが生活している。

 預ける理由として最も多いのが高齢の飼い主が入院して飼えなくなるケース。預け先が見つからず保健所に連れていくことも。夜鳴きが始まり住宅街で飼えないといった“介護ならではの悩み”もあるという。

 武蔵君の飼い主、高田裕子さん(52)=四街道市=は仕事と介護の両立に限界を感じ「あしあと」に武蔵君を託した。高田さんは「犬の認知症は知らなかった。投げ出した気持ちになるが、誰にも頼れなかった」と感謝する。

◆24時間態勢で

 2015年4月に同ホームを立ち上げた理事の末木節子さん(57)は、犬の散歩で知り合った飼い主から悩みを打ち明けられた。「老犬を預ける場所がない」。もともと高齢者の訪問介護を手掛けていたが「人間と同じように犬を介護する場所が必要」と考える。

 同ホームには動物トレーナーや看護師、介護士の資格を持った従業員6人が勤務。夜勤も常駐し24時間態勢で緊急時に対応。提携動物病院院長が定期的な往診をする徹底したケアを心掛けている。

 特に力を注いでいるのが食事だ。犬種や状態に応じて多彩なメニューを用意する。介護食をはじめミキサーで細かく砕き、湯で柔らかくするなどして工夫。病気で食後に吐いてしまう犬には専用の台座を製作し、食事できるようにした。

 「動物は自分で訴えられないので、少しの変化でも気付く必要がある」。末木さん自身も愛犬をみとった経験があり、介護の苦労は人一倍理解している。「最期がつらい思い出になってしまうのではなく、飼い主も自らに休憩を。独りで悩まず専門機関を頼って」。飼い主とペットを思いやり、支援を申し出る。

 問い合わせは老犬ホーム「あしあと」(電話)043(239)5534。

◇ペットの高齢化

 一般社団法人「ペットフード協会」(東京)の前年の調査によると、全国の一般家庭で過去10年間に飼育された犬の平均寿命は14・19歳で、猫は15・33歳。2011年の調査と比べると犬は0・29歳、猫は0・93歳と長寿に。高齢期とみられる7歳以上が、犬は微増傾向で飼育犬全体の60%、猫は45%前後で横ばいで推移している。近年、ペットの犬猫が高齢化しているのを裏付けるデータで、人間と同様に今後、高齢ペットの介護などの問題が深刻化するとみられるが、千葉県内の老犬ホームはそう多くない。