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ネットカフェ難民は貧困なのか?幸せの形にも変化も

3/15(木) 11:01配信

AbemaTIMES

 東京都台東区に位置する日雇い労働者が集う街、通称「山谷」。15年ほど前からここで暮らす源さん(仮名、60)は、工事現場での仕事が減り空き缶拾いなどで生計を立てている。

 山谷は明治時代にはすでに日雇い労働者の街として知られていた。人々は全国から仕事を求めて集まり、彼らが日本の高度経済成長を支えてきた。そこには仕事を仲介する“手配師”と呼ばれる人たちもいた。

 屋根がなくなったアーケード街で「夜ここでみんな寝てるんだよ。100人とか50人とか」と説明する源さん。雨露をしのぐホームレスが集中したことと老朽化が進んだことで、今年に入って全ての屋根が取り払われた。

 山谷にホームレスが集まる理由は、毎朝行われる日雇い労働の求職と、2千円台で泊まれる簡易宿泊所があること。日雇い労働の求職は体力のある若い人が優先されるといい、源さんのような人たちは仕事にあぶれる日々が続き、路上生活を余儀なくされている。目に見える貧困としては最下層に近い。

 東京都の調査によると、23区内のホームレスの数は、10年前は5000人ほどだったが現在では1000人ほどに減っている。彼らはどこに行ったのか。

 上野公園で週に1回行われている炊き出し現場を訪れると、先着200名の炊き出しに長蛇の列。ある男性は「1人で飯食ったって美味しくない。ここに来て皆で食べたほうがいい」と話す。現場を見るとホームレスの数は減っているように見えるが、炊き出しの主催者は「(ホームレスは)みんな亡くなった。昔は800人くらい人がいた」「そういう生活をするとやっぱり体にもあまり良くない」と指摘する。路上生活という過酷な生活で命を落とす人も少なくなく、中には「暖かいし飯も出る」と留置場に入るホームレスもいるという。

■生活はできてもお金が貯まらない現状

 山谷で暮らすホームレスの男性(30代)が「たまに漫画喫茶に泊まっている。大体(週に)1日か2日。飲み放題のジュースをずっと飲んで、雑誌を見ている」と話すように、比較的若い世代の日雇い労働者の中では、簡易宿泊所ではなくネットカフェで寝泊まりする人が増えているという。

 北千住にあるネットカフェで取材に応じてくれたショッカーさん(仮名)は、茨城県出身の33歳。ここで暮らし始めて3カ月が経つ。ネットカフェの料金は1泊で1977円、1カ月で約6万円。ショッカーさんは日払いの工事現場で1日約1万円を稼ぎ、ここを生活の拠点にしているが貯金はない。

 東京都が初めて行った実態調査によると、都内のネットカフェに長期滞在している人の中で、住む家がない人はおよそ4000人。その内3000人ほどが日雇いバイトや派遣など不安定な働き方をしているという。生活困窮者の支援を行うNPO法人・自立生活サポートセンター「もやい」の大西連理事長は「その中には山谷にある簡易宿泊所からネットカフェに移ってきた人たちもいる」と指摘する。「今はインターネットを使えないと日雇いの仕事もしづらくなっている。ネットカフェはインターネットが使えて携帯の充電もできて利便性が高く、(住みかが)変化していったというのはあると思う」。

 かつて、手配師が仲介していた日雇い労働はネットに情報が流れ、貧困は路上という目に見える場所からネットカフェという見えにくいところに舞台を移しているとも言える。

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最終更新:3/15(木) 11:01
AbemaTIMES