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いじめ受けた女性「貧困と直結」 壮絶な過去、赤裸々に語る

3/19(月) 10:05配信

福井新聞ONLINE

 「家は貧しく同級生からはいじめられ、先生にも冷たくされた」。50年前にいじめにあった福井県坂井市の女性(59)が、福井新聞の取材に対し、当時のつらい日々を赤裸々に語った。シングルマザーの母親から壮絶な暴力を受け、顔をはらして学校に行く毎日。現在の夫や子どもにも話さない過去を語る決心をしたのは「私と同じような経験をしている子どもたちを助けてあげてほしい」との思いから。裕福に見える社会の中で、貧困の子どもが増加している状況を憂い、重い口を開いた。

 ■給食食べるな

 女性は現在、坂井市に住む貴子さん=仮名。父親が事業に失敗し居場所を転々としたため、幼いころから母と弟の3人で住んでいた。「多分生活保護を受けていた。入学式のランドセルは古びていた」。自分だけ集金袋は配られなかった。同級生の男の子に「給食費を払ってないのに何で食べるんや」と冷やかされた。

 生活に余裕はなく、母親からは暴力を振るわれ、毎日鼻血を流した。顔をはらして学校に行くと、同級生は「どうしたの? その顔」とけげんな顔をした。クラス全員が自分を避けるようになった。

 貴子さんは「誰でも自分と違う者は、排除しようとする。仲間外れは仕方ないと思う。集団生活でいじめはなくならない。だからこそ周りの大人が支えてあげるべき」と訴える。

 ■記憶から消す

 同級生たちだけでなく、先生の心ない対応にも、何度も傷つけられた。親の職業を答えるという授業のとき、父親が行方不明だったため、手を挙げられずにいた。すると女性の先生からひどく怒られた。

 あるとき、運動会用として、白い布を渡され、鉢巻きを作ってくるように言われた。母親はほとんど家を空けており、貴子さんは家にあった赤い糸で鉢巻きを縫った。先生はクラス全員の前で「誰? こんな赤い糸で縫ってきたのは」と大声で言い放った。家庭環境を知っているはずなのに、熱で1週間休んでも様子を見にすら来なかった。

 高校を卒業し、仕事のため上京。文集やスナップ写真など、小学校時代のものは全部捨てた。記憶から消すためだった。当時の記憶は今の家族にすら打ち明けていない。

 ■誕生日ケーキ

 厚生労働省によると、2015年の「子どもの貧困率」は13・9%(7人に1人)。ただ大人1人で子どもを育てる世帯の貧困率は50・8%と極めて高い。

 「貧困といじめは深くかかわっている。きっと私と同じように苦しんでいる子どもがいる。生まれた境遇という理由で、人生に希望が持てないほど残酷なことはない」。貴子さんは、いじめや自殺のニュースを目にするたびに抹殺したはずの過去がよみがえってくるという。

 子ども時代に救いだったのは、近所のおばあちゃんの存在。身内でもないのにいつも貴子さんを気に掛け、誕生日にはケーキを持ってきた。祭りのときは出前を取ってくれた。貴子さんは「優しい人が世の中にいることを知ったから、私はまっとうに生きてこられた」と涙を浮かべた。

福井新聞社