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長生き怖い…低所得層転落、移民送還で介護士不足。米国理想の老後はどこへ

2018/3/25(日) 10:00配信

THE PAGE

メディケイドなら出て行って?

CDC(米疾病予防管理センター)(米疾病予防管理センター)によると、2014年の時点で全米のナーシングホーム数は1万5600。営利目的の施設がうち69.8%、認可された床数は170万、入居者は140万人となっています。入居者の年齢層でもっとも多いのは85~94歳で総入居者数の3分の1を占めます。ナーシングホーム介護を必要とする65歳以上の人口は、ベイビーブーマーの高齢化とともに、2010年の130万人から、2030年には230万人(75%増)となり、これにあわせて、ソーシャルセキュリティ(公的年金)とメディケアの支出割合も現在の国内総生産8%から、2050年には12%まで上昇するとみられています。

ちなみにメディケアがカバーするナーシングホーム費用は最初の20日間が100%、その後の80日間は80%と100日目でおしまい。そこで起きてくる問題に「強制退所」があります。

2018年2月22日付のニューヨークタイムズ紙の記事では、足の切断処置後6週間入所していたナーシングホームからの退所を勧告された女性の話が紹介されていました。ナーシングホームはその女性に、ホームレスシェルターに行くか、1週間分のモーテル代なら立て替えると伝えてきたと言います。

記事によるとこうしたケースが増えているのだそうです。この傾向が近ごろ連邦政府当局の目に止まり、入所者を保護する連邦法の執行を強める方策を模索し始めています。近時のデータは2015年のものですが、米保健福祉省に同年提出されたナーシングホームに対する不服申し立て14万0145件のうち、9192件が退所勧告関連でした。

ある政策提言団体によると、連邦政府によるナーシングホームの規制はすでに強力ですが、執行力が弱いといいます。たとえ違反行為で施設が摘発されたとしても、そこそこの罰金処分を受けるだけなのが現状のようです。

そもそも、なぜこのようなことが起きるのか。ナーシングホームがメディケア患者から受け取る給付金は1日500ドルなのに対し、メディケイドでは200ドルとかなり差があることが理由のひとつとして挙げられます。罰則の脆弱さと相まって、施設側にとっておいしいメディケアの支給が終わった患者はお払い箱という風潮は、一朝一夕では解決されそうにありません。

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最終更新:2018/10/2(火) 15:39
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