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真面目な人ほど損をする? ネットのステマ、パクり問題と「バレなきゃOK」の危うさ

3/23(金) 12:41配信

ITmedia NEWS

 先日、ゲーム攻略サイトが「コピペ」で情報を盗まれるという騒動がありました。きっかけとなったのは攻略情報として作成したマップ図版が、バレないようにトレースされて使われていたこと。その内容に関してはねとらぼの記事も参考にしてください。

ステマ撲滅宣言

 このような「バレなきゃ問題ない」というマインドはモラルハザードを引き起こし、最終的にはインターネット全体の不信をまねくことになると思っていて、個人的には大きな懸念があります。今回は「バレなきゃ問題ない」がいかに問題なのかを考えていきたいと思います。

●個人の熱意ではなく“金”で書かせる バレにくい「ステマ」という問題

 まずは「ステルスマーケティング」を考えてみます。私が編集者として先輩から初めてレクチャーを受けたとき、記事には2つの種類があることを学びました。1つは編集部が作り出す「編集コンテンツ」。これは編集者や記者が学んだこと、感じたことを編集部の責任で作り出すものです。もう1つは「広告コンテンツ」。これはスポンサーが付き、スポンサーの意向をくんだ内容で、スポンサーの責任で編集部が作るものです。当然ながらお金を出すスポンサー側が内容をコントロールできるため、特定のサービスや製品の利点を強調し印象づけるためのものになります。もちろんウソはいけませんが。

 この2種の記事は、明確に区別される必要があります。それはそうですよね。もし何か製品を推す記事があったときに、それがその製品を作り出した企業がスポンサーになっているか、単に編集者が好きで好きでしょうがない熱い記事なのか、ぱっと見は区別が付かないからです。そのため、良識ある編集部であれば後者の広告記事に必ず何らかのマーク、例えばITmediaならば「PR」「企画広告」などの表記が付いているはずです。

 さて、ここで問題になるのが「お金をいただいているにもかかわらず、編集部が独自で作り出したかのように見える」記事です。これは読者からは通常の記事に見えますが、実際は特定の企業や団体から書く内容を指示された上に、その見返りとして企業から金銭の供与があるわけです。しかも、表面上は証拠がなく、読者にバレにくいことが悩ましい手法です。通常の記事をいくら更新しても直接の収益を得ることはできませんが、この方法ならば記事をあげるたびにお金がもうかるわけです。

 読者から見えないところに隠れて宣伝活動することから、ステルスマーケティング(ステマ)と呼ばれます。これは良識ある編集部/ライターが絶対にやってはならない、読者への裏切り行為といえるでしょう。

 もっと分かりやすく言えば、例えばレストランやグッズのレビューサイトで、一般投稿者を装ったサクラがお金をもらって絶賛レビューをすることに近いと考えていいと思います。消費者白書(2017年)において「商品やサービスを検討するときに口コミを参考にする」と答えた人の割合は、20代女性は82.7%とされています。その口コミがステマに汚染されていた場合、その影響は計り知れません。

●まじめな人ほどバカを見る世界でいいの?

 私のメールボックスにも個人的に「これをあなたのサイトで紹介してくれないか」という依頼が来るのですが、そこには「事前に記事をチェックさせてください」「報酬は……」という文言が書かれていることもあり、完全に無視するようにしています。そしてその商品を推している他のブログやInstagram投稿を見て、それが「ステマ」だと気が付くわけです。しかし、普通に見ている人にはその区別は付きようがありません。これは大きな問題でしょう。

 それだけではありません。ステマが本当に問題なのは、「筆者が熱量を持って何かをお勧めする」という行為を萎縮させることにつながりかねない点です。かつてブログブームが起きたときには、十人十色の「好き」があふれていて、とても面白い時代だったと思います。しかし今では、熱量のある記事を見ると、冷やかすように「ステマ?」というような反応を見ることが増えました。自分ですらも、べた褒め記事を見ると一瞬構えて見るようになってしまっています。これは本当に悲しいことです。

 ステマが作り出した小さな染みは、多くの人に少しずつ「不信感」となって心に引っ掛かり続けるのです。そんな世界における最も愚かな行為とは「まじめにやること」かもしれません。そんな未来は、子どもたちに見せたくないというのが、私の正直な感想です。

●「バレなきゃ問題ない」で汚染されていくインターネット

 インターネットの世界は「信頼」でできていると思っています。自分が得たものと同じだけ、インターネットの世界に還元しようと考える人たちで作られた善意の世界が、今では現実世界と同様、性善説だけでは回らなくなっています。

 コンテンツなんて他人が作ったものをコピペすればいい、偽の評価を作り出せば現実世界で金になる──そう考えることは仕方がないかもしれません。しかし、それはこれまで先住者たちが積み上げてきた「信頼」を削る行為であり、いつかその信頼はゼロになってしまうでしょう。それだけは避けたいのです。

 特にステマは、読者側が判断することはほぼ不可能でしょう。まずは「ステルスマーケティングという手法が存在する」ということを知っておくだけでもいいと思います。2015年7月にはYahoo!ニュースがステマ撲滅を掲げました。まずはステマとは何かを知り、あなたがいつも見ているニュースサイトや雑誌が「編集コンテンツ」「広告コンテンツ」の区別をしっかり付けているのか、チェックしてみてもいいかもしれません。

最終更新:3/23(金) 12:41
ITmedia NEWS