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日本語のロックを確立した、はっぴいえんどの『風街ろまん』

3/31(土) 18:00配信

OKMusic

好評連載中の『これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!』のアーカイブス。今回は“日本語ロック”の礎を築き、その後のJ-ROCK/J-POPへの源流となった、はっぴいえんどの『風街ろまん』('71)を紹介したい。

1971年の日本

はっぴいえんどの2ndアルバムとなる『風街ろまん』のリリースは1971年。ひとくちに1971年と言ったって、今から45年以上も前のことなので、若者からすれば想像もつかない昔のことだと思う。『風街ろまん』の紹介をする前に、この年に日本で始まったものを、少し取り上げると…仮面ライダーのテレビ放映がスタート(主演は藤岡弘、)、マクドナルドの1号店が銀座にオープン、サンヨー食品の「サッポロ一番 塩らーめん」発売、日清食品の「カップヌードル」発売など…う~ん、確かに古い。

一方、社会的にどうであったかと言えば、60年代の高度成長期がそろそろ終わりに向かい、70年代初頭は余裕のある生活(金銭的にも精神的にも)を謳歌しようという風潮だったと記憶している。事実、テレビ・コマーシャルで大きな人気を集めたのが“モーレツからビューティフルへ”(ゼロックス 70年)だったし、“♪気楽に行こうよ、おれたちは~”で始まる石油会社のコマーシャルも、まさに時代の風を感じさせるものだった。少し後の73年には“せまい日本、そんなに急いでどこへ行く”という交通安全標語が大いに流行ったものだ。

国内外のロック事情

ロックの世界では、既にビートルズは前年(70年)に解散しており、日本ではグランド・ファンク・レイルロード、レッド・ツェッペリンなどのハードロック・グループをはじめ、ユーライア・ヒープ、エマーソン・レイク&パーマー、ピンク・フロイドらに代表されるプログレッシブ・ロック(プログレ)、シカゴ、BS&Tに代表されるブラス・ロック、そして、デヴィッド・ボウイやT・レックスに代表されるグラム・ロックも、中高生を中心に相当な人気があった。ちなみに、僕はこの時、中2で、クリームやグランド・ファンクが好きなハードロック少年であった。60年代の終わりから70年代初頭にかけて、現在につながるさまざまな形態のロックが登場(革新的なグループが多かった)した時代であったのだ。

70年代初め、アメリカやイギリスの音楽事情がどうかと言えば、シンガー・ソングライターや土の香りのするロック(フォークロックやカントリーロック)に注目が集まっていた。もちろん、ハードロック、プログレ、グラムロック等のスーパースターたちの人気も相変わらず高かったが、リスナーにとって、ミュージシャンが身近に感じられる、私小説的感覚のロックに注目が集まっていたのも事実である。この年のヒット作をみても、ローリング・ストーンズ『スティッキー・フィンガーズ』、キャロル・キング『タペストリー』、ジェイムス・テイラー『マッド・スライド・スリム』、ジョン・レノン『イマジン』など、それまでのハードで反体制なものから、日常生活や自然を題材にした、パーソナルな音作りへとシフトする傾向が見られるようになった。今と違って、当時インターネットやケータイなどはなく、日本と若干タイムラグがあるのはご愛嬌であるが、そういうのどかな時代でもあったのだ。

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最終更新:3/31(土) 18:00
OKMusic