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ディストピアが現実に 中国「社会信用制度」で格付け低い国民1200万人の旅行に制限

2018/3/31(土) 10:05配信

The Telegraph

【記者:Jamie Fullerton】
 まるでディストピアをテーマにしたドラマの筋書きのような制度を中国が試験的に導入していることが分かった。「社会信用(ソーシャルクレジット)」制度というこの仕組みで、1200万人以上の国民が「不品行」の罰として国内旅行ができなくなっているのだ。

 当局が導入した制度は国民が社会規範や規則を順守しているかどうかを照合するもので、不品行によって国内線航空券の購入を禁じられた人々は試験運用の初期段階で900万人、ビジネスクラスの航空券に関しては300万人に上っている。

 この場合の不品行とは、電動自転車で歩道を走って通行をさまたげた、罰金の未払いなど、多岐に及んでいる。

 国家発展改革委員会(発改委、NDRC)のZhang Yong副院長は、今後2年間にわたって各省で試験運用していく予定だと述べている。

 この社会信用制度の基になっているのは、政府が使用している言い回し「一度でも信用を下げれば、いつまでも制約を受けることになる」という考えで、今月発表された当局の声明によれば、5月1日から国内の鉄道網にも試験的に導入されることになっている。

 同日以降は、NDRCおよび最高人民法院(最高裁に相当)が挙げている公共交通機関に関する違反行為──列車内の禁煙エリアでの喫煙、不正乗車、偽造乗車券の販売──などが判明すると、場合によっては、180日間、鉄道乗車券を購入できなくなる。この制度で罰せられた人々については、ネット上でも辱めを与えるため、鉄道乗車券の予約サイトで氏名が1週間公開される。

 Zhang氏によれば、NDRCは「不正を働いた人々を罰し、規則をちゃんと守った人に動機付けを与えるために賞罰を強化」していく考えだという。

 この制度は2020年前後に完全実施されることになっているが、人権団体は、これがアプリやソーシャルメディア(SNS)上での活動や、政府への忠誠心によって国民を等級付けする動きにまで広がるのではないかと懸念している。

 政府はすでに電子取引大手アリババ(Alibaba)の協力を得ながら社会信用評価制度「セサミクレジット(Sesame Credit、芝麻信用)」を開発しているが、この制度では、ユーザーがどのくらいの時間ゲームをしているか、ネット通販で何の商品を買っているかなどの行動が評価されるようになっている。

 スウェーデン国際情勢研究所(Swedish Institute of International Affairs)の研究員で、中国のインターネット問題に詳しいヨハン・ラーゲルクビスト(Johan Lagerkvist)氏は米テクノロジー情報サイト「ワイアード(Wired)」に対して、この制度は「適用範囲と程度が実に大規模で、個人の行動やどんな本を読んでいるかについても詳細に調べられる」と指摘。「(米インターネット通販大手)アマゾン(Amazon.com)のユーザーの閲覧購入履歴の追跡システムに、(作家の)ジョージ・オーウェル(George Orwell)が描いた政治的な仕組みを加えたようなものだ」と述べている。【翻訳編集】AFPBB News

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最終更新:2018/3/31(土) 10:05
The Telegraph

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