ここから本文です

お使いのInternet Explorerは古いバージョンのため、正しく表示されない可能性があります。最新のバージョンにアップデートするか、別のブラウザーからご利用ください。
Internet Explorerのアップデートについて

「金委員長は駐韓米軍の撤退を提案する」河井自民党総裁外交特別補佐

4/2(月) 15:01配信

ニュースソクラ

「殊勝な中国の弟」金委員長が贈った「毒リンゴ」

 私は、文在寅大統領の北朝鮮に対する“融和的な”言動から早期の南北首脳会談開催の意欲を読んでいた。3月のワシントン滞在3日目の早朝に南北首脳会談開催合意のニュースが飛び込んできた。

 南北首脳会談は、北朝鮮の核とミサイルの脅威の解消に進展が見られなくても、史上初めての米朝首脳会談の先駆けの意味を含めた「政治ショー」として、あたかも半島の危機が解決に向かっているかのように演出されるだろう。

 「政治ショー」の舞台上では金正恩朝鮮労働党委員長が“南北融和劇”を文在寅韓国大統領と巧みに演じるだろう。その舞台裏では中国の習近平“終身”国家主席が“監督兼脚本”として、全体の運営を差配しているさまが目に見えるようだ。

 と言うのも、韓国大統領府特使団の記者発表文を見ると、中国の主張と瓜二つの内容なのである。昨年3月、中国の王毅外交部長は「双提案」を行った。

 一つは、北朝鮮の核・ミサイル開発活動の中断と米韓合同軍事演習の中断を同時に行う「双中断(Double Freeze)」。もうひとつが、朝鮮半島の非核化と半島の平和メカニズムを交渉により同時に成立させる「双軌並行(Two-truck Approach)」だ。

 韓国特使団の六項目からなる報道発表文には、「5.対話が持続する間、北側は、追加の核実験及び弾道ミサイルの試験発射などの戦略挑発を再開することはないことを明確にした。…」と、Double Freezeそのままの表現が盛られた。

 さらに、「3.北側は、朝鮮半島の非核化の意志を明確にし、北朝鮮に対する軍事的脅威が解消され、北朝鮮の体制の安全が保障されるのであれば、核を保有する理由はないという点を明確にした。」と、これまたTwo-truck Approachを思わせる書きぶりになっている。

 「双提案」は、朝鮮半島を再び自らの影響か下に収める中国の野望をきれいな紙で包んだ“毒リンゴ”であると、韓国の保守系有識者は警鐘を鳴らす。

 南北首脳会談で韓国がこの“毒リンゴ”を食べた瞬間から、中国と北朝鮮は6ヶ国協議のときのように主導権を握り、会議をだらだらと引き延ばし、韓国社会を親米と反米に分裂させ、米韓同盟の破綻が始まる。

 実際に中国は、南北首脳会談開催の一報が伝えられるや、「歓迎を表明する。南北双方が和解と協力のプロセスを推進し続けるよう望む」と、即座に歓迎の談話を出した。自分たちが思い描いていた「未来」を、本来は米国の同盟国である韓国を関与させて実現する。中国にとっては願ったり、叶ったりの展開だ。

 金正恩氏は習近平氏にとって“厄介者”であり、習近平氏は金正恩氏によってしばしば面子を潰されてきたと専門家たちは口を揃える。でも私はこの常識的な見方には一貫して懐疑的だ。

 北朝鮮が騒げば騒ぐほど、北朝鮮をたしなめる中国の価値が米国に対して高まる側面があるからだ。ワシントンをはじめ諸外国で講演を行なう際には、いつも「北朝鮮問題とは中国問題にほかならない(I am sure that the North Korea crisis is nothing but a Chinese problem.)」と強調してきた。

 北朝鮮が「強行」してきた挑発行為は、朝鮮戦争休戦以来の半島「秩序」を破壊したい中国のねらい通りであって、習近平氏にとり金正恩氏は“殊勝な弟”だとする見方が韓国内にある。

 中国は、北朝鮮危機解決の見返りとして、(1)米韓合同演習の段階的停止、(2)半島駐屯の米軍の削減、(3)半島からの米軍の撤退を米国に対して求めてきたと思われる。

 金正恩委員長が最終的に狙っているのは、(1)在韓米軍の撤退、(2)米韓同盟の解体、(3)北朝鮮主導による朝鮮半島再統一である。「中国にとってのあるべき未来」と完全に一致するのだ。


 日本の国家安全保障戦略や外交政策は、静止したり、単なる教義であってはならない。それは、常に更新されつづけなければならないし、変化する安全保障環境や新しい軍事技術の開発や国際的な規範に適合されつづけなくてはならないと私は信じる。

 自国とインド太平洋地域の平和と繁栄を守るために日本が果たすべき役割はこれから拡大する一方である。

 昨年11月6日に東京で開かれた日米首脳会談において推進することが合意された『自由で開かれたインド太平洋戦略』は、中東・アフリカの国々を含め、この地域の発展に長い目で見た互恵関係をもたらすだろう。日本の首相が提唱する外交戦略に合衆国の大統領が国際会議で歩調を合わせてくる…。米国から言われてそれに日本の内閣総理大臣が反応する時代は完全に終わった。

 私たちは、北緯38度線が対馬海峡に下りてくる時代のわが国を、インド太平洋地域を、そして未来を考えていかなければならない。もはや米国は答えを示してくれないのだ。

■河井克行氏(かわい・かつゆき) 1963年広島県生、85年慶大法卒。松下政経塾、米デイトン市国際行政研修生を経て、91年広島県議会議員。96年衆院議員で以来7回連続当選。2004年外相政務官、2007年法務副大臣。2015年首相補佐官、2017年自民党総裁外交特別補佐。

4/4ページ

最終更新:4/2(月) 15:01
ニュースソクラ