ここから本文です

早慶有名私大の新卒がなぜタクシードライバーに?親ブロックも説き伏せた決め手とは

4/3(火) 12:11配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

面接は私服でもOK、相次ぐ内定辞退を克服

国際自動車がドライバーの新卒採用を始めたのは2010年。前年に、従業員の超過勤務で、国土交通省関東運輸局から321両の認可取り消しの行政処分を受けたのがきっかけだった。社内改革は急務だがノウハウがない。高齢化して人手不足が続くタクシー業界で生き残るには若い力が必要だったのだ。

しかし、2010年の採用は1人。その後もいくら内定を出しても、“ワケあり”のイメージが強いタクシードライバーという職業に親や大学のキャリアセンターから猛烈な反対に遭い、辞退する学生が後を絶たなかった。

社長や副社長が大学に足を運んで説明したり、毎月「オープンカンパニー」として学生や親を営業所に呼んで質問を受けたりするうちに、徐々に理解が得られるようになってきたという。面倒なエントリーシートをなくし、アルバイト先から面接に直行できるよう私服での就活もOKにした。

結果、2015年111人、2016年84人、2017年131人と新卒ドライバーの採用者は大幅に増えている。大卒で就職後3年以内に離職する人の割合は約30%だが、国際自動車の場合は半分の15%。採用段階から「赤裸々に」話し合うことでミスマッチも少なく、入社後、総合職への変更もできるが、希望者はあまりいないそうだ。

新卒ドライバーの不満や意見を受けて、多くの改革も進めた。以下はその一部だ。

1.車両にガラスコーティングを施し、洗車の時間を減らした

2.【業界初】つり銭をドライバーが用意する慣習を撤廃し、「つり銭貸出システム」を導入

3.【業界初】「運送約款」を変更し、車内でセクハラ・モラハラがあれば損害賠償請求できるように、また、口頭で注意しても行為が止まなければ輸送を中断できるようにした

4.車内専用の臭い消しスプレーを開発

1と2はドライバーの負担を軽減、3は女性ドライバーを守るため、4は女性ドライバーが増えたことで「おじさんドライバーの臭い」に気づいた結果だという。

入社式で西川洋志社長は配車アプリの乱立や、自動運転の開発を挙げ、「タクシー業界の中で大きなうねりが襲ってきている」と表現した。そしてこう問いかけた。

「我々は非常に重要な仕事をしています。人命を預かり、かけがえのない輸送を行っている自負を持っています。 IT、IOT、AIに人が使われてはいけません。目指さなければならないのはお客様とのコミュニケーションが取れる乗務社員であること。一番大切にしているホスピタリティはずっと続けていかなければなりません」

(文・写真、竹下郁子)

3/3ページ

Yahoo!ニュース特設ページ