ここから本文です

お使いのInternet Explorerは古いバージョンのため、正しく表示されない可能性があります。最新のバージョンにアップデートするか、別のブラウザーからご利用ください。
Internet Explorerのアップデートについて

実は先進的?大手企業のサテライトオフィス活用はけっこう進んでいる

4/12(木) 10:00配信

アスキー

2018年3月5日、シェア型のサテライトオフィス「ちょくちょく...」を展開しているザイマックスはサテライトオフィス活用に関する座談会を開催した。座談会にはちょくちょく...の活用を進めているサントリー、日立ソリューションズ、富士通、リクルートホールディングス、住友商事が登壇し、働き方改革の現場の苦労を生々しく語った。
 2018年3月5日、シェア型のサテライトオフィス「ちょくちょく...」を展開しているザイマックスはサテライトオフィス活用に関する座談会を開催した。座談会にはちょくちょく...の活用を進めているサントリーホールディングス、日立ソリューションズ、富士通、リクルートホールディングス、住友商事が登壇し、働き方改革の現場の苦労を生々しく語った。
 

【もっと写真を見る】

第3のオフィスとして認知されるサテライトオフィス
 ザイマックスのちょくちょく...はシェア型のサテライトオフィスで、首都圏で31箇所を展開している。利用企業は約500社で、約7万ユーザーが登録しているという。今回のイベントについて司会を務めたザイマックス営業担当の十川氏は、「サテライトオフィスをどのように活用したらよいか悩んでいる方も多いので、ユーザー企業のみなさまに座談会という形でノウハウをシェアしてもらうことにした」と説明。サントリーホールディングス、日立ソリューションズ、富士通、リクルートホールディングス、住友商事などの人事・総務担当者がメインスピーカーとして働き方改革やサテライトオフィスの利用について語った。
 
 まずはサテライトオフィスの導入経緯がテーマ。たとえばサントリーホールディングスは、「事業所が都内に点在しているため、通勤や出張時の移動時間を活用できないかということで、シェアオフィスを使ってみることにした」とのこと。また、全社員3万5000人を対象にテレワーク勤務制度を昨年導入した富士通は、「グループ全体で利用できる社内サテライトオフィスを整備たところ、これがかなり好評だった。さらに、お客様先に行く場合に活用できるオフィスとして、ちょくちょく...のような外部サテライトオフィスを導入した」と経緯を語る。
 
■関連記事
 
 在宅勤務、グループのサテライトオフィスに加え、ちょくちょく...も併用している日立ソリューションズ担当者からは、「当初、在宅勤務は条件が厳しく利用者も少なかったが、対象者や業務、場所などを拡大してからは利用者も一気に増えた。ちょくちょく...に関しては社員から使いたいという声が挙がり、利用検討に入った」というコメントがあった。
 
 このようにサテライトオフィスは会社や自宅に次ぐ、第3のオフィスとして活用されている実態がある。ザイマックス不動産総合研究所が2017年に行なった調査では、約1/4の26.2%がテレワークを導入しているが、最初に着手するのは在宅勤務で、サテライトオフィスはその次の選択肢になるようだ。
 
 これに関連して「在宅勤務できれば、正直サテライトオフィスはいらないのでは?」を会場に質問したところ、参加者の9割が「×」を掲げた。富士通の担当者は「サテライトオフィスは、出張先の近くでも働けるよう、働く場所の選択肢を増やすために設置した。外部サテライトオフィスもその一環だ」とコメント。外部サテライトオフィスは、家の近所より客先の近くで利用することが多く、在宅勤務とは目的が異なるようだ。
 
導入効果は「移動時間の削減」だけじゃない
 続いて、サテライトオフィスの導入効果だが、これに関してはザイマックス不動産総合研究所がちょくちょく...会員に聞いたアンケートを披露した。まず1週間のテレワーク時間は2~4時間が20.8%、4~6時間が18.7%と最多。一般事務だと自宅の近く、営業部門だと客先・取引先の近くを使うことが多いという。また、導入効果としてはやはり「移動時間の削減」がトップだが、「集中して仕事ができた」「ストレスが減った」といった声も多い。逆に利用していない人に聞くと、「自宅近くにちょくちょく...がない」といった声のほか、「会社が好き」「利用する機会がない」といった声もあった。
 
 メインスピーカーの5社からは具体的なメリットや調査報告も披露された。営業部門を中心にちょくちょく...を利用する日立ソリューションズが利用者に聞いたところ、「資料作成やデータチェックで集中できる」「日立グループのサテライトオフィスが満員でも使える」「出張前後や急な仕事の依頼でも会社に戻れないでいい」といったメリットが得られたという。テレワーク全般で見ると、仕事の効率が上がったり、仕事と私生活の両立がしやすくなったほか、会社に対する満足度も高まったというメリットが得られたようだ。「子育てのために短期勤務だったメンバーも勤務時間を延長できるようになったり、単身赴任を解消したケースもあった」(日立ソリューションズ担当者)とのことだ。
 
 他社に比べて利用回数が格段に多いのはリクルート。ちょくちょく...の利用は、新宿、東京、池袋、横浜、渋谷、大宮などのターミナル駅の利用が2/3を占めており、4割が営業職となっている。「サテライトオフィスを拠点として、その回りの取引先を複数回るといった使い方をしている。特に営業所を廃止した横浜はサテライトオフィスを営業拠点として使っている」(リクルート担当者)。
 
 富士通がトライアル時に実施したユーザーアンケートではサテライトオフィスで行なう作業がメールチェックや資料作成など個人作業が6割を占めるという利用動向が明らかになった。利用に際しては7割のユーザーは不安を感じてないが、一部のユーザーは離席時の紛失やのぞき見が気になるようで運用ルールを整備する予定。とはいえ、トライアル利用で生産性が向上したという回答が98%に達したため、2月からは全社員に対して導入した。「残り2%の方も生産性が落ちたというわけではなく、サテライトオフィス以外の場所でテレワークをする場合とあまり変わらないというコメントだった」(富士通担当者)。
 
 2007年からテレワーク制度を導入しているサントリーホールディングスでは、サテライトオフィスで一仕事してから本社に出社したり、そのままサテライトオフィスで仕事を済ませてしまう人もいるため、利用時間が長い傾向にあるという。「総務省のテレワークデイや東京都の時差BIZなどの施策を全社挙げて試したところ、それをきっかけにサテライトオフィスで仕事をする人が増えた」(サントリー担当者)とのことだ。
 
 面白かったのは、「働きやすい会社ではなく、活躍できる会社にしたい」というサントリーのメッセージ。「われわれはテレワークやフレックス制度など時間や場所の制約を受けないで働けるインフラを整えている。こうした柔軟性を活用して、本人が働こうというモチベーションを持たなければ、働き方も変わらない。だから社員も『働きやすい会社だな』というより、『求められるものも多いけど、やりがいのある会社だな』と感じているはず」(サントリー担当者)というコメントが印象的だった。
 
気になる労務制度やコスト按分の課題はどう解決した?
 後半はザイマックスの営業が聞いた「よくあるお悩み」のコーナー。まずどこから手を付ければいい?」「どうやって社内利用を促進した?」「何か利用に当たりルールを決めた?」「人事労務制度は変えた?」「マネジメントはどうしてる?」など気になることだらけだ。
 
 利用促進に関してコメントした住友商事は、「サテライトオフィスの利用率が高い要因として、全社説明会等を通して、利用促進キャンペーンを強く打ち出したことが挙げられる」と語る。逆にリクルートは「利用を啓蒙する動画を作り、メールで配信したが開封率が2%だった(笑)」と失敗談を披露。組織長に理解を得られるよう、地道に説得と体験を重ねてもらったという。一方、日立ソリューションズからは、トライアル時に人事部門もちだった支出を現場部門に移した段階で利用率が一気に減ったという事例を披露。昨年から再び人事部門に負担を戻した結果、利用率はまた上がったという。働き方改革に会社としてどれだけコミットするか、予算面からも問われるようだ。
 
 また、人事労務制度に関して、利用制約を極力設けない運用を進めているサントリーホールディングスは、「2007年にテレワーク制度をスタートさせたときは、育児・介護の必要がある人に限っていたので、ほとんど使われなかった。特定の人しか使えない制度は、なかなか利用されない。誰でも当たり前に使えるよう、制度を変える必要がある」とコメント。一方、テレワークの導入に際しては、あくまで働く場所が変わるだけという前提で、評価や時間管理などの制度は一切変えてないという。「個人のモチベーションや会社へのロイヤリティの向上という意味合いはもちろんあるが、われわれは競争戦略として働き方を変えている」(サントリー担当者)。
 
 マネジメントに関しては、外販しているテレワーク対応の打刻ツールなどを用いており、積極的にITを活用しているという。「出退勤の連絡、業務の相談や雑談などのコミュニケーションをビジネスチャットで行なったり、今まで以上に積極的にコミュニケーションを取るようにしている。労働時間に乖離があった場合は、さらに細かく個人の労働時間管理を行なっている」(リクルート担当者)とのことで、労務管理については各社とも苦労しているようだ。
 
次のサテライトオフィスのトレンドは「子育て支援」?
 最後は育児中の女性のサポートがテーマ。今後のサテライトオフィスについてザイマックス不動産総合研究所が調べたところ、やはり「子育て支援付きオフィス」への関心は高く、キッズスペース付きのちょくちょく...も増やしているという。
 
 執務スペース横のキッズスペースには、子供を見守るスタッフ常駐しており、子どもが楽しく過ごせるイベントも用意しているという。子育て支援を担当する池田氏は、「ガラス越しにお父さん・お母さんが見えるので、作ったものをすぐに見せられ、親子で信頼関係が生まれています。第2・第3の幼稚園・保育園として、お子様が名前を付けてリピーターになってくれている」と語る。
 
 実証実験に参加したリクルートは、保育園の休業や家族の病気など、使う機会は意外と多かったと指摘する。「共稼ぎ家族から、子どもとの時間をとれるようになったという声をいただいた。親が見える場所でがんばって仕事しているのを見ているので、子どもが応援してくれたという声もあった」(リクルート担当者)と、キッズスペース併設オフィスの拡大に期待を寄せた。
 
 ザイマックス総研によると、今後都内ではオフィスの供給が増え、統合や移転が増える見込み。その一方で、テレワークやフレックス制、ダイバシティ重視など新しい働き方を進める企業が増えていくと指摘した。リクルートの馬立純一氏が「われわれも通勤時間をかけて出社し、会社でなにをすべきか考え直すべき時期に来ている。すぐにオフィス面積が必要なくなるとは思わないが、イノベーションを生むために、オフィスはどうあるかを検討していかなければならないと思う」とまとめ、働き方改革の苦労やメリットが垣間見えたイベントを締めた。
 
 働き方改革でとかくやり玉に挙げられがちな「日本の大企業」だが、座談会では制度や文化の面でさまざまなチャレンジを続けてきたことが浮き彫りになった。インフラやテクノロジーが成熟してきたことで、先進的な働き方への移行はどんどん加速していきそうだ。
 
 
文● 大谷イビサ/Team Leaders

最終更新:4/13(金) 14:01
アスキー