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レース規定から解き放たれたポルシェ「919ハイブリッドEvo」が、スパでF1マシンよりも速いラップタイムを記録!

4/12(木) 10:00配信

Autoblog 日本版

レーシングカーは、クラスやシリーズに関わらず、常にルールやレギュレーションに縛られている。極めて規制の厳しいレースもあれば、ある一定の規制内であれば自由が許されるレースもある。要は、常に妥協が存在するということだ。昨季限りで、ポルシェはFIA世界耐久選手権(WEC)のLMP1クラスから撤退した。だが、そのLMP1マシンの活用をまだ諦めてはいない。今年、ポルシェはレギュレーションに縛られない「919ハイブリッド」のEvo仕様で世界各地のサーキットを巡り、ラップタイム更新に挑戦する「919 トリビュート・ツアー」を計画している。まずはその第一弾となるベルギーのスパ・フランコルシャンで見事に新記録を達成した。

今回達成された記録は1分41秒770。これは2017年にルイス・ハミルトンがメルセデスAMGのF1マシンでポールポジションを獲得したタイムよりも0.783秒速い。919ハイブリッドEvoのステアリングを握ったのは、34歳のスイス人ドライバー、ニール・ジャニ。全長7.004㎞のサーキットで、最高速度359㎞/h、平均速度245.61㎞/hをマークした彼は、ルイス・ハミルトンのタイムを抜いただけでなく、2017年にポルシェがスパ・フランコルシャンでポールポジションを獲得した時のタイムを12秒も縮めた。


もちろん、このラップタイム更新は大幅な改造がなければ成し遂げられなかっただろう。表面上、919ハイブリッドEvoは、昨年のマシンからヘッドライトを省いただけに見える。すでに最速のマシンだった919ハイブリッドは、2015年から2017年まで3年連続でル・マン24時間レースとWECチャンピオンシップでポルシェを優勝に導いている。

919ハイブリッドEvoは、消滅した2018年シーズン用に計画されていた改良をさらに拡大したマシンだ。フロント・ディフューザーとリア・ウィングはいずれも大型化され、さらに油圧駆動の可変エアロダイナミクスも搭載。ターニングベインとフロアも高さが固定されたサイドスカートとの組み合わせで最適化され、空力性能の向上に寄与している。これらの改造により、919ハイブリッドEvoは昨季WECのレギュレーションに準拠したマシンでスパ・フランコルシャンを走行した時よりも、ダウンフォースが53%も増大しているという。


パワートレイン自体は変わっていない。ポルシェのエンジニアがしたことは、単にそのバルブを少し開いただけだ。2017年のマシンでは燃料流量の規定があり、ターボチャージャー付き2.0リッターV4直噴ガソリン・エンジンの最高出力は500hpに留まっていだ。だが、今回はその規定から解き放たれたため、720hpを発揮。運動エネルギーと熱エネルギーの2つの回生システムも、エネルギー放出量が2017年にスパを走った時の6.37MJからフルブーストの8.49MJに引き上げられ、電気モーターの出力も400hpから440hpに向上した。この増加したパワーとダウンフォースをうまく活用するために、ミシュランが新しいコンパウンドのタイヤを供給している。

さらにポルシェは919ハイブリッドの乾燥重量を39kg削減し、849㎏にまで軽量化。そのためにエアコンディショナーやワイパー、一部のセンサー、エアジャッキなど今回の挑戦に不必要なものを全て取り外したという。エンジニアはもっと多くのリソースが使えたらさらに性能を高めることも可能だったと語っている。


今回の挑戦はスパだけで終わらない。ポルシェはこのマシンを、24時間レース開始前のニュルブルクリンク北コースや、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード、英国ブランズハッチで開催されるポルシェ・フェスティバル、米国ラグナセカで行われるレンシュポルト・ユニオンに持ち込むことを計画している。これらのサーキットで911ハイブリッドEvoが次々とラップ・レコードを書き換えても驚いてはいけない。


By REESE COUNTS
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

Autoblog Japan Staff

最終更新:4/14(土) 15:05
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