ここから本文です

お使いのInternet Explorerは古いバージョンのため、正しく表示されない可能性があります。最新のバージョンにアップデートするか、別のブラウザーからご利用ください。
Internet Explorerのアップデートについて

アガサ・クリスティ原作×三谷幸喜脚本 「あと50作品やりたい」

4/13(金) 11:00配信

サンケイスポーツ

 「キャストを見て犯人が分かるってふうにはしたくないなと思った。たぶんこの中に国生さゆりさんがいたら絶対国生さんが犯人で、石野真子さんもたぶん…そういう感じの人が一人もいない。あっ、ちょっとこの人は怪しいですけど、草刈民代さん。いずれにしても、キャスティングで犯人が分かるってことはまずない」

 脚本の三谷幸喜さん(56)は、出演者のボードを掲げながらニコリともせず、いつものように淡々と話し始めた。

 映像化不可能とされた作品を実写化する「黒井戸殺し」(14日後9・0、フジテレビ系)。アガサ・クリスティ原作×三谷脚本のコラボが再び実現する。

 野村萬斎演じる名探偵・勝呂武尊(すぐろ・たける)が、大泉洋演じる医師・柴平祐を相棒に事件の謎に迫る。クリスティが1926年に発表した「アクロイド殺し」の日本初の映像化。6作目の長編小説であり、エルキュール・ポアロシリーズの3作目にあたる。

 豪華なキャストは向井理、松岡茉優、秋元才加、和田正人、寺脇康文、藤井隆、今井朋彦、吉田羊、余貴美子、遠藤憲一、ほかに浅野和之、佐藤二朗、斉藤由貴。

 「限られたところから犯人を導き出す。全員に物語の中で容疑がかかる。より楽しんでいただけるキャストだと思う」

 自信を持ってコメントを続ける。高視聴率だった「オリエント急行殺人事件」(2015年1月放送)以来3年ぶりの三谷×クリスティ作品。当時から萬斎と「次はアクロイド。勝呂をシリーズ化したいね」と話していたという。クリスティへの思いが熱い。

 「学生の頃からアガサが大好き。読み直すとよくできている本だと改めて思う。そして、いじったり脚色したりしてはいけないものなのだと感じる。今回も昔のシドニー・ルメット監督や最近のケネス・ブラナー監督の映画よりも一番原作通りにやったと自信を持っていえる」

 可能な限り原作通りに…ドラマとしてはどうだろう、まったりしすぎなのではないか。もし、視聴者がそう感じたら「それはクリスティのせいで」とここでも真面目な顔で、「僕は関係ないし、原作通りだし、という言い訳もできる」とニヤリとした。

 物語は昭和27年3月、唐津佐奈子(吉田)が死亡しているのを村で唯一の医師である柴(大泉)が発見したところから始まる。

 「3時間の中で殺人事件は1回しかないのに、それでもお話がこんなに持つんだよという…日本のサスペンスものってちょっと人が死にすぎる気もする。あとはどうやって犯人をあぶり出していくのか」

 面白いことは間違いないが、「でも、読み込んでいくと『クリスティ、ちょっとここは失敗したんじゃないか』と思うところもある。矛盾を感じたところは補完させていただいたり、精度を上げさせてもらったりというところはある」と三谷。ユーモアを交えながら、よどみない。

 萬斎と大泉は、三谷作・演出による舞台「ベッジ・パードン」(11年)で仕事をともにしているが、テレビドラマでは初共演。キャスティングでも三谷の面目躍如たるエピソードが生まれる。

 「舞台で息の合ったコンビネーションだなと思ったので、大泉さんを希望はしたが、『大泉さんがいいですよ』とは言わなかった。心で念じた。でも少しずつ誘導して大泉さんに(笑)」

 キャスティング権はないと言いつつも、もう一人。「あっ、斉藤由貴さんは希望した記憶が…柴(大泉)の姉役でキーパーソン。クリスティの全作品の中で最も印象深い登場人物で、この人からミス・マープルが生まれたのではないかと思うくらいのキャラ。これを誰が演じるかで作品のイメージがだいぶ変わってくる。詮索好きでおっちょこちょい。悲しみ、母性もあり、由貴さんはぴったり」と三谷。

 一昨年の暮れからキャスティングをスタート。スタッフにファンがいたのか!? 三谷脚本のNHK大河ドラマ「真田丸」(16年)色の強い出演者がそろったという。

 「最後、犯人が分かった時点で他の人はどうでもよくなるドラマが多い中で、脚本家としては思いを募らせる作品。犯人じゃない人も意味のある登場人物でなければいけない。全員にきちんとした物語がある作品」

 これらの出演者たちが代わる代わる事件の容疑者として浮上していく中、勝呂(萬斎)ただ一人が鮮やかに解決していく。長時間ドラマの減少、視聴率低迷などが叫ばれて久しいが、三谷は最後まで熱く語る。

 「『八つ墓村』『犬神家の一族』などの金田一耕助シリーズがあるが、横溝正史さんが書いた小説で未発表の作品があって、それが発掘されて、映像化されたイメージがあればいいなと最初プロデューサーに言った。戦後すぐの農村が舞台。時代の置き換えもうまくいった。きれいな絵が撮れていると思うし、ミステリーとしてもしっかりした骨格で仕上がっている。ひとえにクリスティの力。うまくいけば第3、4弾も。頭の中にはやりたいものがあと50作品くらいあるので、ぜひごらんになっていただいてシリーズ化を進めていきたい」