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吉高由里子『正義のセ』は『99.9』や『アンナチュラル』と違うが少しだけ『HERO』!

4/13(金) 15:15配信

トレンドニュース(GYAO)

日テレの水曜ドラマに、吉高由里子が帰ってきた。
坂口健太郎と共演した『東京タラレバ娘』(2017年)以来だ。当時はアラサー脚本家だったが、今回は豆腐屋の娘で“熱血女検事”竹村凛々子を演じている。
2年目の新米検事でありながら喜怒哀楽を抑えきれず、検事としてはダメ出しをされることばかりだ。それでも不器用ながらもまっすぐな正義感は誰よりも強く、情熱を持って仕事をしている。
原作はベストセラーとなった阿川佐和子作の「正義のセ」シリーズ。
ドラマ化され旬の俳優陣をそろえ、原作がどう料理されていくのか楽しみな作品だ。

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■魅力的な俳優陣

凛々子とタッグを組む事務官・相原勉役は安田顕。
北海道のTEAM NACS所属で、大泉洋『水曜どうでしょう』に準レギュラーで出演したことで全国的に知名度を上げ、この10年で数々のドラマに出るようになった。役柄によって顔の表情・顔つき・姿勢など、風貌を次々に変える“ザ・役者”というべき存在感を放っている。加えてどこか暖かさを備えた演技は、人気の理由の一つだろう。
去年の『小さな巨人』でも、長谷川博己・香川照之などの怪演が炸裂(さくれつ)する中、独特のポジションを確保していた。

横浜地検港南支部の支部長・梅宮譲には、ドラマの定番俳優・寺脇康文が抜擢(ばってき)された。安定感のある演技がドラマ全体のアンカー役となっている。
同支部の先輩検事官・大塚仁志は三浦翔平。2011年の『The Last Message~海猿~』では、第34回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞している。
港南支部のエースで、仕事の早さと冷静さは凛々子と正反対。一見凛々子に厳しいが、次第に変わって行くであろう関係性も注目だ。

実家の竹村豆腐店では、生粋の江戸っ子の父を生瀬勝久、明るく前向きおおらかな母を宮崎美子、恋愛や仕事のことなどに何かと相談にのる仲良しの妹を広瀬アリスが好演している。

■初回で垣間見えた路線

第1話では、ゲスト出演した石黒賢が、パワハラと傷害で告発された恩田役を演じた。被害者で告発者は『コードブルー』の浅利陽介。
容疑を全面的に否認する恩田。同僚の田中(六角慎司)も、恩田と同じ証言をする。具体的な証拠もなく、起訴は困難に見えた。

壁にぶつかった凛々子に対し、支部長の梅宮は「日本の刑事裁判で有罪率が99.9%なのは、われわれ検察が証拠を厳密に精査しているから」という。“罰すべき者を罰し、罰すべきでない人を罰しない”という姿勢は、前クール『99.9』と少し異なる。現場を正しく検証せずに検察がストーリーを作り、それに乗って裁判官が判断するから、冤罪(えんざい)など間違った判決がたくさん出るとした方向と別の見方をしている。

また1日時間をもらい事件の証拠を捜しに行くが、担当した病院の医師には、グラスを投げつけられたり、殴られたりしてできた傷を「証明するのは難しい」と断られてしまう。前クールの『アンナチュラル』では、解剖医が科学の力で次々に事実を暴いて行ったが、残念ながら現実はそう簡単ではないという道を同ドラマは選んでいる。直近の人気ドラマを引っ掛けるあたり、小技がワサビのようにピリッと効いている。

ところで凛々子は、被害者の声を聞くとすぐに同情し、被疑者が強く否定すると言葉を失う。感情的になり過ぎたり、胡麻化(ごまか)そうとする被疑者を論破する言葉の力も頭の回転力も持ち合わせていない。どちらかと言えば、グダグダした部分があり、考えていることがストレートに表情に出てしまう。さらにファッションやメイクに強い関心を持ったりせず、普通の女の子だが正義感だけかなり強いという、あまりドラマチックでない設定だ。

それでも行き当たりばったりで、空振りが多い証拠探しの末、散々振り回した事務官の相原とのコンビがうまく機能し、最後の最後に証拠をつかむ。諦めない姿勢の勝利だろうが、凛々子に否定的だった大塚も強力な援軍となってくれる。時間限定だが現場を精査する姿勢は、ちょっぴり木村拓哉の『HERO』路線だ。しかも凛々子と大塚の関係が変化しそうな雰囲気も、“『HERO』普通の女の子版”に見える。
“正義のヒーロー”までは行かないものの、“正義のセ”からの出発と言ったところだ。

いずれにしても、過去のヒット作と少しずつ差別化したり、面白そうな部分を取り込んだりする姿勢は好感が持てる。なにより最近ありがちなエキセントリック過ぎない主人公という設定は、より多くの視聴者を引き付けそうだ。
コメディタッチでありながら、“正義”という強いテーマでわかりやすいストーリーにしてある点も、今後のブレークを期待させる。凛々子がどう成長していくのか、ファッションに注目しながら、検事としての成長を楽しみにしたい。

文・コラムニストはたじゅんこ
監修・次世代メディア研究所