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『シェンムー』の魅力と問題を語る――『シェンムーI&II』発表記念

4/14(土) 11:04配信

IGN JAPAN

『シェンムー』の魅力と問題を語る――『シェンムーI&II』発表記念 - Part 1

セガフェス2018にて『シェンムーI&II』がPS4向けに発表された。元々はドリームキャストのゲームである1999年の『シェンムー 一章 横須賀』(以下『シェンムーI』)と2001年の『シェンムーII』は僕のオールタイムベストゲームだ。現在開発中である『シェンムーIII』に備えて『シェンムーI&II』のプレイを検討している人向けに、そもそもどういうゲームなのか、どういった魅力があるのか、現代プレイする上でどういった懸念点があるのか、解説していきたい。

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オープンワールドの先駆けとしての『シェンムー』
『シェンムー』は頻繁にオープンワールドゲームの元祖と呼ばれる。それは部分的に正しく、また、部分的に間違っている。本作が発売した1999年、オープンワールドと呼べそうなゲームは確かにほとんどなかった。『ファイナルファンタジーVIII』に初代『サイレントヒル』が発売した年で、『シェンムー』のスケールやグラフィックスは他のコンソールゲームをはるかに凌駕していた――少なくとも、技術的には。
フル3Dのリッチな環境において、インタラクションのとれるオブジェクトや中に入れる建物の数はプレイヤーにまるで「思うままに生活できる箱庭」の錯覚を与えていた。『シェンムー』の舞台である80年代の横須賀は閑静な住宅街の「山の瀬」と「桜ヶ丘」、商店街の「ドブ板」、それから「新横須賀港」という4つのエリアから形成されていた。そこには300を超えるNPCキャラクターが生活し、それぞれ独自の見た目や設定があり、話しかけるとフルボイスで主人公の芭月涼とやりとりをする。

本作には時間の概念があり、現実世界の5分がゲームの約1時間に相当する。昼間は八百屋で野菜を売る青井おじさんが夜になるとスナックでお酒を飲んでいる。放課後にランドセルを背負って帰宅する達也くんが、別の日には朝からガチャガチャの前にしゃがみ込んでいる。時間や曜日、または物語の進行に合わせて彼らとの会話は細かく変化し、何度も話しかけるとキャラクターの裏設定が垣間見える。あくまで芭月涼の冒険にフォーカスの当てられたゲームであるが、『シェンムーI』に登場するキャラクターは涼の役に立つために用意された駒ではなく、涼と関係のないところで日々の生活を送っている。これを同じレベルで実現したゲームは本作の発売からそろそろ20年が経とうとしている今も、僕の知る限りでは存在しない。
天気がリアルタイムで変化する「Magic Weather」というシステムも当時は新しかった。『シェンムー』の物語は12月3日からスタートし、最初こそは雨や雪の日が多く、雪が連日降ればちゃんと積もる。冬も峠を越えると晴天が続くようになり、春になると桜が咲く。ゲームのオプションで横須賀の気象データに基づいた当時の実際の天候を選択することもできるが、天気がランダムに変化していく「Magic Weather」も捨てがたい。ランダムでありながら、極めてリアルな変化を見せるからだ。例えば、朝は晴れていたのが、徐々に曇り出して、やがて大スコールが横須賀の屋根を叩くような日がある。晴天が何日も続くと積雪量は徐々に減っていき、雨が降り出すとキャラクターは傘を差す。同じカットシーンでも、プレイする度に天気や時間帯が異なることによって、自分が唯一無二の体験をしていると信じることができた。


『シェンムーI』はプレイヤーの快楽を前提とした箱庭である以前に、ライフシミュレーターなのだ 。 いち早く3D技術にこだわり、『バーチャファイター』や『バーチャレーシング』でリアリティを追求した鈴木裕 。 彼が初めてコンソール専用のソロプレイゲームを作ることによって、そのこだわりは前代未聞の次元に行きついた 。 『シェンムーI』はプレイヤーの快楽を前提とした箱庭である以前に、ライフシミュレーターなのだ 。 オープンワールドを本格的に普及させた『グランド・セフト・オートIII』(2001年)は『シェンムー』から影響を受けて作られたという根拠はなく、似ているというよりもむしろ対照的なゲームである 。 町のディテールやNPCの個性、天候のリアリティといったところに焦点を当てる『シェンムー』と、プレイヤーが思う存分にはちゃける土台を何よりも作り込んだ『GTAIII』 。

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最終更新:4/14(土) 11:04
IGN JAPAN