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改ざんに揺れる日本 “先進国”アメリカの公文書管理制度とは?

4/14(土) 16:00配信

THE PAGE

 公文書で日本の政治が紛糾しています。森友学園をめぐる財務省の決裁文書改ざんをはじめ、加計学園の獣医学部新設に関する文書や陸上自衛隊の日報問題では、その存否や管理のあり方がクローズアップされています。

【写真】変貌するアメリカの政治報道 保守・リベラル両極への「分極化」進む

 日本の公文書管理への取り組みは海外に比べて遅れていると言われますが、情報公開の“先進国”といえるアメリカではどうでしょうか。アメリカ政治に詳しい上智大学の前嶋和弘教授に解説してもらいました。

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 日本では財務省の決裁文書改ざん問題が大きな争点となる中、アメリカの公文書管理や情報公開の制度はどうなのか。日本との比較で考えてみたい。簡単に言うと、公文書の記録とその公開のいずれにおいても、日本に比べてアメリカは積極的だ。

建国理念としての「言論・報道の自由」

 日本との比較を考えるのに、どうしてもアメリカという国家の成り立ちを考えざるを得ない。

 アメリカでは国家の根本に「言論・報道の自由」がある。18世紀のイギリスとの独立戦争で血を流しながら独立を勝ち取ったアメリカでは、植民地の独立派が結束するために自由な言論を戦わせた新聞は欠かせなかったためである。

 それもあって、建国間もない最初の連邦議会で人権条項(「権利の章典」)として10の憲法修正条項が提案された中でも、最初に来るのが「言論・報道の自由」であった。

 それ以降、「言論・報道の自由」はアメリカ民主主義の根幹にある。

公文書の「記録」残すルールづくり

 「言論・報道の自由」は、それだけでは理念である。政策情報へのアクセス確保を進めるためには、中央政府に当たる連邦政府の政策についての文書、つまり公文書をどのように記録していくかがポイントとなる。

 19世紀末まで、アメリカは西部開拓を進めることに時間を費やしていた国家建設・国家拡大の時代を経験したため、なかなか公文書の記録までは進まなかったが、20世紀に入ってから公文書に関する法律整備は進んでいく。

 まず、米国政府の省庁や機関はそれぞれ各自で資料を保管することになっていたが、それを一本化するため、1934年にアメリカ国立公文書記録管理局(NARA)が誕生し、「国立公文書館」を創立した。ワシントンや隣接するメリーランド州カレッジパークにある公文書館は日本をはじめ世界の研究者も多数訪れ、歴史研究の拠点となっていることでも知られている。

 また、連邦政府の記録を残すためのルールづくりが進み、1950年には「連邦記録法」が成立した。

 アメリカの政治制度は、中央集権ではなく、連邦政府と州政府が役割分担をして相互補完する連邦主義である。政策についての情報が分散しているのは、現在も昔も変わらない。

 ただちょうどこの20世紀中ごろまでには、いわゆるニューディール政策以降、アメリカは社会保障を国家が積極的に提供し福祉国家化していったほか、戦後の冷戦構造の中、世界の覇権国となっていった。各州にばらばらだった政策情報を連邦政府に一元化する必要性も増えたため、連邦政府が主導して政策情報をまとめる動きも高まっていった。

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最終更新:10/2(火) 15:29
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