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読むのがつらくなる「ダメな文章」の特徴とは? マネしちゃいけない「ダメ文の書き方講座」

4/14(土) 12:05配信

ねとらぼ

 大学教員の筆者が、学生のレポートを読みまくる中で発見した「ダメな文章の書き方」……いわゆる「ダメ文講座」をこれまで2度にわたってお届けしてきました(【関連記事】参照)。

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◆ダメ文講座(第1回)のポイント

・読点を使わない、変なところに打つ
・文をねじれさせる
・並列関係を混乱させる

◆ダメ文講座(第2回)のポイント

・1つの文に複数の意味がある「多義文」
・「こと」ばかり繰り返す「ことこと煮込んだ文」
・読み手を疲れさせる「頭でっかちな修飾」
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 前回までの記事では主に単体のダメ文、すなわち「なぜ、その文がダメなのか」を分析しました。今回は「文」に加えて、文単位だとそんなにダメではないのに、その文がまとまると「全体的にダメ」になるパターン、複合的なダメ文についても考えてみます。

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書き手:植田麦
明治大学政治経済学部准教授。研究の専門は古代を中心とした日本文学と日本語学。
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●「こと」「的」以外にもある! ~省いたほうがいい「という」表現~

 前回の記事では、「文中に『こと』や『的』が多いと、読みづらくなったり内容を理解しづらくなる」例についての話をしました。特に、文章を書き慣れていないひとは「こと」を使いがちです。この「こと」以外で、あまり文章を書き慣れていないひとの頻用する表現が、「~という」です。

 サンプルをみてみましょう。

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最近、女性の社会進出と未婚率がリンクしているという意見をよく耳にする。そのため、総務省の統計局というところの公開しているデータをみることにした。
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 なんというか、間が抜けているように感じられます。これを例えば、

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昨今、女性の社会進出と未婚率の関連性についての議論が多く行われている。私はその関連性を確認するために、総務省統計局の公開しているデータを確認することにした。
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 とすれば、なんとなくかっちりした、レポートっぽい文章になります。なお、ここでは慣用表現を改めたり、和語を漢語にしたり、論理の飛躍を補う等の加工もしています。

 この「~という」は、メールやショートメッセージのやりとりくらいならばそんなに目くじらを立てることもない表現ですし、それ以外のケースでも最低限の使用ならば問題もないのですが、公的な書類やレポート・論文などでは、多用を避けたほうがよいものです。

 私事ですが、わたしが最初に論文らしきものを書き始めたときに、師匠からポツリと「植田くんの文章は、『という』が多すぎる」と言われたことがあります。さらに、「『~という』が多いと、文章が締まらない」とも言われました。みてもらった論文(もどき)を読み直して、「~という」をどうしたら省けるか、と考えたものです。

 文中にある「~という」をそのまま省くことができればいいのですが、そうもいかないケースも多々あります。その場合は、文の前後を置き換えるなどの操作をすると、うまくいくかもしれません。サンプルとして、以下の例を挙げます。

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飲食業は多く、職場としてはブラックだという印象をもたれがちである。
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↓ ↓ ↓
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印象として、「飲食業はブラックだ」と考えられがちである。
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 ここでは、「~という」の直後にある「印象」を前に持ってくることで、「~という」の省略をはかりました。

【ダメ文のポイント】
・「~という」を多用する

●この文章を読みたくない! ~読み手の意欲を減退させる文章~

 ここまでは、「文」の単位でダメ文をみてきました。ここからは「文」の集まり、「文章」の単位でダメな表現をみていきましょう。いわば「ダメ文章」です。

 世の中には、文の善し悪し以前に読む気が失せるもの、また読んでいて辛くなる文章があります。まずは、「こういう文章は読みたくなくなる」例を紹介します。

(1)段落が全くない

 1600字ほどのレポートで、最初に一文字分だけ段落下げをしたあと、残りを全て、段落なしで書き連ねてきたレポートを読んだことがあります。実例をお見せしてもよいのですが、わたしの不幸をお裾分けすることに意味はありませんから、やめておきます。

 追体験したい場合は、ニュースサイトなどから1600字くらいのテキストをコピーしてきて、それをWordや一太郎などに貼り付けて、段落を削ってみてください。

(2)テーマの前提を無視する、問題設定と結論がずれている

 ある自治体の公務員採用試験で、「体罰をなくすためにはどうしたらいいか」というテーマが出題されていました。そのテーマをレポートの課題として出したことがあります。

 提出されたレポートを読んでいるといくつか、「体罰は必要である」「体罰がいかに効果的か」と論じるものがありました。もちろん、このテーマの前提は「体罰は不要であり、排除するべきもの」であるはずです。

 わたしがこの課題を出したとき、ほかのテーマも提示していたので、書く側は「体罰をなくすためにはどうしたらいいか」以外のものを選ぶこともできたはずです。にもかかわらず、なぜわざわざテーマの前提を無視するような論を書かなければならなかったのか、不思議でなりません。

 このように、与えられたテーマの場合はもちろん、自分で何かしらのテーマを設定していても、なぜか最初に問題としていたこととはズレた結論を示してしまうものもあります。

 例えば、「過疎化の進む地域にある乗客数の少ない電車の路線を廃止して、代替として路線バスを運行するべきである」という問題を論じていたはずが、いつの間にか、「地域の過疎化を食い止めるためにはどうしたらいいか」を論じている、といったケースです。

 (1)は、今すぐにでも使える「ダメ文章」のテクニックだと思います。一方、(2)は、ある程度まとまった文章を書かないと、実体験も難しいと思います。いずれにせよ、こういうタイプの文章を書くひとは、文章を書き上げたあとに全く読み直しをしないのではないか、と思っています。

【ダメ文章のポイント】

・段落を作らずに文章を書き連ねる。
・最初に設定した問題点と、最終的に言いたいことをずらす。
・まとまった文章を書いたあとは、絶対に読み直さない。

●指示内容が分からない ~「それ」「その」「これ」「この」はなにを指示するのか?~

 わたしは勤務先で、文章表現に関わる授業を担当しています。これは主に1年生・2年生を対象としたもので、大学生として必要な文章表現能力を身につけてもらうための内容です。半期の授業を終えたところで最終レポートを出してもらうのですが、中には「ひとつひとつの文はそんなにダメでもないのに、文章全体を読むとよく分からない」、不思議なレポートに出会うことがあります。

 どうにも分からないので、「なぜ、分からないのか」と視点を変えて読み直してみたところ、あるポイントが浮かんできました。そのひとつが、「不明な指示内容」です。まずは、以下のサンプルを読んでください。

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報道によれば、昨年度の家計における年収および貯金の額の平均値は、昨年度より向上しているという。わたしはそれを確認することにした。
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 さて、この「それ」は何を指示しているでしょうか? 「報道(の事実)」でしょうか、それとも「昨年度の家計における年収および貯金の額の平均値」でしょうか、はたまた「昨年度の家計における年収および貯金の額の平均値は、昨年度より向上(したこと)」でしょうか。

 この文章の場合は、おそらくあとの文章を読んでいけば、「それ」の示す内容は分かります。が、「それ」の内容が分からない状態で文章を読み続けるのはストレスがかかります。

 このように、「それ」などの語が示す内容が曖昧だと、読み手には負担がかかります。それでも上の例のように、指示内容がシンプルな場合はまだ負担も軽いものです。一番困るのは、指示内容が多くの文脈を含む場合、そして指示語が層をなすように用いられた場合です。

【ダメ文章のポイント】

・「それ」などの指示語を、内容が不明確になるように使用する。
・複数の指示語を複雑に使用する。

 以上、3回に渡って、ダメ文とダメ文章の書き方を見てきました。もちろんこれらは、比較的分かりやすいダメ成分で、実際には説明することすら難しいダメ文・ダメ文章もたくさんあります。それらのダメ成分をうまく抽出できたら、またご報告したいものです。

最終更新:4/16(月) 19:56
ねとらぼ