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<静岡>手編みの帽子100点...手芸店の「編み物王子」

4/14(土) 8:52配信

毎日新聞

 静岡県三島市本町で半世紀以上続く手芸店「高橋糸店」の店先に、果物や動物などをモチーフにした手編みの帽子約100点が並んでいる。作ったのは、商店街で“編み物王子”と呼ばれている、この店の高橋宏さん(36)。最近では評判を聞きつけ、「抗がん剤で髪が抜けた友人を笑顔にしたい」と買い求めに来るお客さんもいる。【垂水友里香】

 葉一枚一枚まで本物さながらのハクサイの帽子に、キノコがびっしり生えた帽子--。どれも細部までこだわっている。高橋さんはトウモロコシの帽子を手に説明してくれた。「粒は玉編み、皮は長編み、ヒゲは三つ編みと質感に合わせて編み方を変えています。てっぺんのボタンを外すと、皮が下に垂れ、耳当てにすることもできるんですよ」

 これまで作った帽子はイチゴ、キリン、クリスマスツリーなど約300個。図案はなく、イメージを膨らませながら編み進める。「毛糸を3色以上使い立体感を持たせる」のがこだわりという。

 編み物をする定位置は、大通りに面した帽子の並ぶウインドーの奥の席。編み物をしながら、帽子をのぞき込む客らの表情を見るのが楽しみ。「『こんなのかぶれない』という人もいるが、笑ってくれたら、それだけでうれしい」

 店を継いだのは2007年3月。別の仕事をしていたが、当時の店主だった叔父の昭雄さん(当時56歳)が急逝。跡取りがおらず、昭雄さんの姉、関野美恵子さん(72)と店を開けた。客は編み物とおしゃべりが好きな高齢女性ばかり。しかし、宏さんはほとんど編み物の経験はなかった。棚から客が求める針1本探すのにも苦労し、気持ちは沈んだ。

 暖かくなって客が減る春、店の教本を見たり、客に教えてもらったりし、見よう見まねでマフラーを編み上げた。「編み物をしていると1日が終わるのが早い」と、没頭した。

 実在のものをかたどった帽子を編むようになって2年たったころ、「がんで入院している知人にあげたい」という男性客が来店。髪のない知人のため小さめで、こすれても痛くないよう綿の糸で編んでほしいとの注文を受けた。3回編み直してぴったりのサイズに編み上げたところ、客から「かぶりやすいと喜んでくれた」と聞かされた。その後、闘病中の客も増えた。

 最初は乗り気でなかった手芸店での仕事。今では「一番面白い」と感じている。

最終更新:4/14(土) 9:12
毎日新聞