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<マタハラ>育休明け「違法降格」に怒れ母親たち

4/14(土) 9:30配信

毎日新聞

 妊娠時だけでなく、「育休明け」でも、子育てを理由に、女性が嫌がらせや不利益を受けるケースが後を絶ちません。そんな会社のマタハラの実態を、明治大商学部教授の藤田結子さんが報告します。【毎日新聞経済プレミア】

 新年度が始まり、育児休業明けの親たちも仕事に復帰しました。慣らし保育中の早いお迎えに駆けつけたり、初めての集団生活で風邪をもらった子どもが発熱し、保育園に呼び出されたりといった事態に直面していることでしょう。これから仕事と育児の両立という、大変な日々が始まったときに、嫌がらせや不利益に直面するのです。

 ◇「降格されたのに仕事は同じ」の理不尽

 田中愛さん(30代女性、仮名)はサービス職に就いています。出産前、マネジャーとして計画立案や管理業務を任され、忙しい日々を送っていました。

 愛さんは昨年第1子を出産し、10カ月ほど育児休業を取得しました。運よく保育園に入れることができたので、仕事に復帰しました。

 ところが職場に戻ると、愛さんはマネジャー職から一般職に降格されていました。妊娠、出産、育休取得などを理由とする解雇、配置転換、降格、減給などの「不利益な取り扱い」は、育児・介護休業法で禁じられているにもかかわらず、です。

 女性上司は子育てに理解がなく、育休から復帰した愛さんに嫌がらせをします。「ママのマネジャーはいらない」「子どもが急に病気になったりするし、夜間は何かあってもすぐ来られないよね。お客さまに迷惑をかけるでしょう?」と言うのです。

 そこまで言われたのに、いざフタを開けてみると愛さんの仕事は育休取得前とほぼ同じ。降格、減給されたにもかかわらず、管理業務などの仕事内容は変わっていませんでした。愛さんもさすがに「これはおかしい」と思いました。

 しかし、赤ちゃんの世話をしながら働くだけで手いっぱいなのに、ここで上司と対立しては今後どんな不利益を被るか分かりません。転職も頭をよぎりますが、子育てをしながら新しい人間関係や会社の仕組みに慣れるのも大変です。今はがまんしながら働き続けています。

 ◇女性の出産、育休に罰を与える会社

 佐藤美穂さん(30代女性、仮名)は有名な大企業の社員としてバリバリ働いていました。出産後、約1年の育休を取得し、この4月に復帰したばかりです。ところが、男性上司に「残業しないで周囲に迷惑をかけている」と言われ、不安です。

 さらに衝撃の事実がありました。女性が育休を取得すると同期の昇進・昇給から遅れてしまい、今後その遅れを取り戻せない仕組みであることが分かったのです。会社が女性の出産、育休に事実上のペナルティーを与えていたことに、ショックを受けました。勤務先は、子育てサポート企業として、厚生労働省から「くるみんマーク」認定されているのです。

 ※くるみんマーク 従業員の子育て支援など一定の取り組みをした企業・法人を認定する制度。認定されると、くるみんマークを広告や宣伝、従業員採用活動に使って「子育て支援に積極的な企業であること」をアピールできる。

 さらに、ショックを通り越して怒りがわく事実もありました。女性の出産、育休に冷たい制度を採っているのに、男性社員には「奥さんが出産するなら、1日ぐらい育児休業を取得するように」と勧めていたのです。理由はただ一つ。「社として男性社員の育休取得実績を上げたい」でした。

 男性の育休取得実績は「くるみん認定」の要件ですが、会社は社員が大切なのではなく、企業イメージ向上が大切だったのです。美穂さんはこんな会社で働くことが無意味に思えてきました。

 愛さんや美穂さんのように、妊娠、出産、育休取得を理由に降格、減給される▽同じく昇給、昇格を抑制される▽職場で嫌がらせを受ける--ケースは後を絶ちません。これらはすべて「マタニティーハラスメント」です。

 厚生労働省によると、2016年度「育児休業」に関する相談は2万1933件、「育児休業に係る不利益取扱い」に関する相談が5256件、「育児休業に関するハラスメントの防止措置」に関する相談は1968件もありました。

 ◇ハラスメントに泣き寝入りせず、すぐ相談を

 17年1月1日、改正男女雇用機会均等法と改正育児・介護休業法が施行されました。事業者に、出産や育休に関わるマタニティーハラスメント防止措置を講じることが義務付けられたのです。

 育休が明け、子育てを理由に時短勤務で働く女性も多いでしょう。上司や同僚の心ない言葉や態度に傷つき、心折れる人もいるはずです。しかし、そのような行為はすべて違法行為です。会社や職場は防止する義務を負っています。

 泣き寝入りせず、周囲の信頼できる人、労働組合、地方労働局などに相談しましょう。自分がハラスメントをしていることを自覚していない人も少なくありません。ハラスメントの現場を目撃したら、被害者に声をかけて話を聞いてあげましょう。私たち一人一人の行動が、この問題を解決する一歩になります。

最終更新:4/14(土) 9:30
毎日新聞