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やっと今季初勝利の菅野 復調は本物か

4/14(土) 13:15配信

東スポWeb

 エースが新兵器を封印だ。巨人は13日の広島戦(東京ドーム)に10―2で大勝。連敗をようやく6でストップした。打線の一発攻勢に支えられた先発の菅野智之投手(28)は、8回6安打1失点で今季初勝利。それでも右腕の表情はまだ快晴とはいかない。新球シンカーを投じず手にした白星は、完全復活への兆しと見て良いのか――。

 球界を代表する右腕の修正力が発揮されたマウンドだった。いまだ本調子とは言えないなか、菅野が下した決断は「シンカー封印」。技術と経験をフルに駆使し、3試合目の登板で今季初白星をもぎ取った。

 立ち上がりは不穏だった。菅野は初回、先頭の田中に四球を与え、丸の中前打でいきなり先制点を献上。斎藤投手総合コーチも「またなの」と2戦連続の炎上が頭をよぎったという。ただ、この日は攻撃陣の援護が力強かった。初回からマギーの適時打、岡本と中井の本塁打などで5点を奪取して逆転。苦しむエースをしっかり支えた。

 すると2回以降、イニングを重ねるごとに菅野の“決断”がはっきりとし始める。決め球にはこれまでほとんど使わなかったフォークを多投。直球を左右上下に散らして打者の目線を変え、左打者に対してはカットボールで内角をえぐった。一方で新球のシンカーは1球も投げなかった。

 終わってみれば、8回10奪三振で1失点。お立ち台では「ホッとしました」と素直な感想を漏らしたが、まだ満面の笑みとはいかない。「絶好調ではないですけど、今日やれることは全てやったつもり」。菅野はそう投球を振り返ると、シンカー封印の理由について静かに語りだした。

「ひとつ言っておきたいのは、今はフォークがすごくいい状態。これはシンカーを投げ始めなかったら出なかった感覚ですし、多少遠回りしたかもしれないですが、今のフォークの精度につながっている。シンカーを投げることによって今年は良くないんじゃないかという声もありましたが、(習得が)僕は間違いだったとは思いません」

 そもそも菅野がシンカー習得に取り組んだのは落ち球の必要性を感じながらも、持ち球だったフォークの精度に不満を感じていたから。チームスタッフは「シンカーを覚えたことによって肩の開きが早くなり、他の球種に影響が出ていたのを自覚したのでしょう。ただ球をイメージ通りに落とすという技術も同時に得たのでは。良い感覚は残し、必要ないものは即座に捨てられるのが菅野の強さです」と評する。

 女房役の小林も「(新しい)球種を試してバランスを崩したのではなく、いい方向に行っている」とし、豊田投手コーチもシンカー封印については「フォークが良くなったことにはつながっているでしょう。早めに気付いたのは良かったんじゃないか」と評価した。

 ただ安心するのは早そうだ。「最大の武器のスライダーはまだ抜け球が目立ちます。広島打線は配球の変化に戸惑ったかもしれませんが、シンカーをやめても万全に戻るにはもう少し時間がかかるでしょう。菅野にとっては次からが勝負です」(前出のスタッフ)

 苦しんで得た白星を手に、菅野は「自分の中で一生忘れられない1勝になりました」とも口にした。経験を糧にエースの快進撃は始まるか。

最終更新:4/14(土) 13:15
東スポWeb