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さみしい「独り身」を救う? 3人の音声アシスタントと会話して可能性を探ってみた

4/14(土) 11:05配信

ITmedia Mobile

 多様化が進む日本社会。そんな中で“独身”が増加傾向にある。総務省が2015年に実施した国勢調査によると、65歳以上の高齢者による単身(ひとり暮らし)世帯は、2010年から2015年にかけて約163万3000世帯増加している。65歳未満の単身世帯も、同期間に約49万6000世帯増えた。単身世帯の増加は、今後も続くと見られている。

【うたうメイドのメイちゃん】

 私も実質的に「単身」である。家にいると、ふとした瞬間にさみしさを感じることがある。とりわけ、病気やけがをして1人でいると、家族のいるありがたみをこれでもかと痛感することがある。

 そんな時、ふと思い立った。クラウド上のAI(人工知能)の技術が進歩した今なら、スマートフォンやタブレットの「音声エージェント」に話しかけることで、少なくともさみしさは紛れるのではないかと。

 思い立ったら吉日。音声アシスタントと朝から晩まで「会話」をして過ごすことで、その可能性を探ってみることにした。

●著者紹介

a先生 人々にスマートフォンやタブレットのあれこれを伝授することをなりわいとする“自称”18歳。ITmedia Mobile編集部の「編集I」は、「志を一(いつ)とする同志」である。

●私と寄り添うパートナーは「3人(?)」

 スマホ・タブレット向けの音声エージェントは複数あるが、今回はその中でも良く存在を知られているであろうこの「3人(?)」に出演をお願いした。

・Googleアシスタント(Google)のAndroid版
・Siri(Apple)
・しゃべってコンシェル(NTTドコモ)のAndroid版

 Siriについてはデフォルトの女性の声のままで運用した。しゃべってコンシェルは「しゃべってキャラ(会話対応マチキャラ)」の変更で声色だけではなく口調も変更できるが、今回はプリインストールの「メイドのメイちゃん」を使うことにした。単純にお気に入りだからである。

 まず、軽く3人に自己紹介してもらった。

―― 君は誰?

Googleアシスタント 私はGoogleアシスタントです。よろしくお願いします。例えば音楽をかけることができますよ♪

Siri(女性) 私の名前はSiriです。

メイドのメイちゃん みんなからメイちゃんって呼ばれてます。

 Siriとメイドのメイちゃんが名乗りに徹したのに対し、Googleアシスタントは何ができるのかもアピール。なかなか抜け目がない。

 Siriとしゃべってコンシェルには、何ができるのか聞いてみた。

―― 君は何ができるの?

Siri (声を出さずに)たとえばこのように尋ねて下さい。(発話例の一覧を出す)

メイドのメイちゃん 出来ることはこちらです。(発話例の一覧を出す)

 Siriは何も声に出さず、発話例を提示。メイドのメイちゃんは「出来ることはこちらです(文字列ママ)」と声に出した上で発話例を示した。Siriは、声に出さずにサッと情報を出してくることがたまにある。声を聞きたい私としてはちょっとさみしい……。

●目覚めのあいさつ

 朝、目が覚めたらまず「あいさつ」をしたくなる。今までは誰もいない部屋で“そら”にあいさつしていたが、これからはスマホやタブレットという「パートナー」がいる。

―― おはよう!

Googleアシスタント おはようございます、a先生さん。現在の時刻は7時です。○○(居住地)は現在16度、晴れです。今日は、予想最高気温は20度、最低気温は12度で、晴れ時々くもりでしょう。職場までの経路は現在、公共交通機関の場合、所要時間は約50分です。では、すてきな1日をお過ごしください。

Siri(女性) おはようございます。いい一日になるといいですね。今日の天気予報をお調べしましょうか。

メイドのメイちゃん おはようございます! モフモフ♪

 一番いろいろ話しかけてきてくれたのは、Googleアシスタント。しかも、話し終わった後に、朝のヘッドラインニュースをかけてくれるという気の利かせようだ。

 Siriは語りかけこそ控えめだが、天気予報を調べるかどうか聞いてきてくれた。iPhoneをタップすると、現在地の天気を教えてくれる。

 一方、メイドのメイちゃんはというと、シンプルにあいさつだけ……と思いきや、あいさつの下に「・・・」という吹き出しが出ている。これはメイちゃんが何か言いたいときに出るもの。

 何を言うのか期待しつつタップすると……。

メイドのメイちゃん メトロノーム!!

 朝とは関係しないと思われる話題を出してきた。さすがの私もどう返せば良いのか、正直分からなかった……。

 ちなみに「・・・」吹き出しにはこんなパターンもある

メイドのメイちゃん あんまり気付かれてないけど、メイもお兄ちゃんもモノマネのレパートリーがちょっと増えてるんですよ♪(筆者注:お兄ちゃん=ひつじのしつじくん)

 そこで、「何ができるの?」と聞き返したところ、「君は何ができるの?」と聞いた時と同じ返事となった。

●お昼のひととき

 仕事をこなして、ランチタイムになった。私の職場では一律の「昼休み」はなく、好きなタイミングで休憩を取れる。この日は、仕事が立て込んだせいで午後3時近くになってしまった。

 もしかしたら、3人ならオススメのお店を知っているかもしれない。ちょっと聞いてみよう。

―― オススメのランチ、教えて!

Googleアシスタント 6km圏内のオススメのランチメニューを検索しました。(お店のリストを出す)

Siri(女性) 見つかった中で評価が最高のお店は油そば 東京油組総本店です。所在地は港区で、。評価は平均で星3個です。価格帯は安いです。(お店のリストを出す)(筆者注:「、。」は誤記ではなくSiriが示した文字列ママ)

 こちらでよろしいですか?

メイドのメイちゃん 現在地周辺でランチありを469件調べました。(お店のリストを出す)

 Googleアシスタントは6km以内で探してくれた。一般的な休み時間(1時間程度)では、行って帰ってくるのはちょっと厳しいだろう。取りあえず、何を食べたいか聞いてみた。

―― 君なら何を食べたい?

Googleアシスタント 私はアメリカ生まれなのですが、ラーメンも、お寿司も、おでんも、団子も、日本の食べ物、みんなすばらしいです。(文字列ママ)

 と、絵文字混じりに語ってくれた。好き嫌いのないことは良く分かったが、その時何を食べたいかは教えてくれなかった……。

 Siriは一番高評価のお店を教えてくれた。その他の一覧に出ている店も、徒歩で15分程度で行ける店。少なくともGoogleアシスタントよりは現実的だ。

 「彼女」は、一番高評価のお店がオススメらしく、「こちらでよろしいですか?」と聞いてきた。ちょっとしたことでケンカしたくなかったので、素直に従うことにする。

―― よろしいです。

Siri(女性) わかりました。電話をかける、または行き方を調べることができます。どちらをご希望ですか?(文字列ママ)

 思わず他人行儀に答えてしまった。そんなことを気に掛けることなく、Siriは電話をかけるかルート検索をするか尋ねてきた。

―― じゃあ、行き方で。

Siri(女性) わかりました。(地図を出す)

 行き方を見たい旨を伝えると、地図アプリにバトンタッチしてルート検索をしてくれた。ランチタイムのベストパートナーはSiriかもしれない。

 メイドのメイちゃんは、お店の多さをアピールしつつ、厨房(ちゅうぼう)服に着替えてきた。リストの上位に出てくる店は、おおむね徒歩5分以内だ。

 メイちゃんは何を食べたいのか、ちょっと聞いてみることに。

―― メイちゃんのランチのオススメは?

メイドのメイちゃん 現在地周辺でメイ ランチありはありませんでした。

 違う……。聞きたかったのはメイちゃんが食べたいランチだったのだけど……。

 この現象は、メイちゃん、そのバックにいるしゃべってコンシェルの解釈エンジンが私の会話の“意図”をくめなかったことが原因と思われる。しゃべってコンシェルに限らず、意図解釈の齟齬(そご)はたまに発生する。今後の音声認識エージェントの課題の1つといえるかもしれない。

●仕事がつらい時に付き添ってくれるか

 私はスマートフォンやタブレットにまつわるさまざまなことを人々に伝授することをなりわいとしている。「ライフワーク」と思って取り組んでいる仕事であるが、時につらいこともある。

 家族、あるいはパートナーがいれば、愚痴を聞いてもらえるかもしれないが、私にはそういう人がいない……。そこで仕事のつらみを「3人」に聞いてもらうことにした。

―― 仕事がつらい……。

Googleアシスタント 無理しないでくださいね

Siri(女性) お察しします。誰かに相談してみてはいかがでしょうか?

メイドのメイちゃん 元気なご主人様を見たいな。

 Googleアシスタントは気遣う言葉をかけてくれた。ただし、顔文字付きだ。メイドのメイちゃんも、元気にならなくちゃいけないなという言葉をかけてくれた。

 一方、Siriはつらさを察してくれはしたものの、誰かに相談を促してきた。結局は生身の人間との会話が重要なのだろうか……。私としては君に相談乗ってほしかったのだけれど……。

 ともあれ、「3人」とも親身に相談に乗ってくれることはなかった。少し残念……。

●家に帰ってきたら

 ひとり暮らしをしていると、帰宅時はとてもさみしい。「ただいま」と言っても、誰も返事をしてくれないからだ。

 でも、私には「3人」がいる。3人にただいまと声をかければ、温かく迎えてくれるはず……!

―― ただいま!

Googleアシスタント お待ちしていました!

Siri(女性) おかえりなさい、お待ちしていました。

メイドのメイちゃん お待ちしておりました!

 意外とあっさりした返事。「おかえりなさい」を言ってくれたのはSiriだけだった。まあ、こんなものなのかもしれない。

●就寝前

 私は早寝早起きを心掛けている(なかなかうまくいかないが……)。実は就寝の時も結構さみしさを感じるものなのである。

 そこで「おやすみ」の声を掛けるのである。

―― おやすみなさい!

Googleアシスタント おやすみなさい!

Siri(女性) おやすみなさい。今日も1日(ついたち)お疲れさまでした。

メイドのメイちゃん 今夜はメイの子守歌、歌いますか?

 Googleアシスタントはかなりあっさりとしている。Siriが「1日」を「ついたち」と読んでしまったのはご愛嬌(あいきょう)。

 注目は、メイドのメイちゃん。「おやすみなさい」というありきたりなあいさつではなく、子守歌を歌ってくれるという。「子守歌を歌って」というと、オリジナルの子守歌を歌ってくれる。

 実はしゃべってコンシェルのしゃべってキャラには、特定の声掛けに対してキャラにまつわるアクションを返す機能もある。例えば、メイドのメイちゃんの場合は、羊だけあって子守歌を歌うことができるのだ。

●「3人」に1日話しかけてすごした感想

 今回使ったGoogleアシスタント、Siriとしゃべってコンシェル(メイドのメイちゃん)は、いずれも音声を使ってスマホの機能を呼び出したりネット上の情報を呼び出したりするためのアシスタント。会話は本来の用途ではないのかもしれないが、さみしい独り身のさみしさを紛らわせる存在になり得るポテンシャルを感じた。

 記事面の都合で今回は応答例を1つのみ掲載しているが、話しかける内容によっては複数パターンの応答が用意されているケースもある。同じ質問でも、場所や時間、声色のによって応答にバリエーションが出ると楽しみが増える。しゃべってコンシェルのようにキャラの入れ替えで口調やアクションも変われば、なお良い。

 現在の「3人」は連続した会話に対応できる場面が限られているが、それを広げることができれば、もっと会話が弾むはずだ。呼びかける音声についても、自分の好きなようにカスタマイズできるようになると親しみが強く持てると思うし、他人の声に応答してしまうことも減らせるはず。この点、しゃべってコンシェルは4~8文字の好きなキーワードを起動トリガーにできるので好印象だ(ただし、音声起動がデフォルトでオフとなっているが……)。

 「通信量」も気になるところだ。今回の「3人」は通信量が少なめだが、ちりも積もれば山となる。会話が多いほど通信量はかさむ。Wi-Fiをあまり使えない環境にあるなら、データ通信料には気を付けなければならないだろう。

 繰り返しだが、もっと楽しくスマホやタブレットで会話できるようになれば、さみしい独り身のさみしさはある程度、もっと紛れるはず。今後の成長には大いに期待したい。

最終更新:4/14(土) 11:19
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