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<シリア攻撃>化学兵器査察に限界 安保理機能不全も要因

4/14(土) 19:19配信

毎日新聞

 【ワシントン会川晴之、ブリュッセル八田浩輔】シリアでは化学兵器の使用が相次ぐ。シリアも加盟する化学兵器禁止機関(OPCW、本部・オランダ)の査察に限界があるだけでなく、米国とロシアが対立する国連安全保障理事会が機能不全状態であることも、その要因となっている。

 シリアでは2013年8月、反体制派支配地域で猛毒の神経ガス・サリンが使用され、多数が死傷した。米国のオバマ政権(当時)がシリア攻撃の構えを見せたことを受け、アサド政権の後ろ盾であるロシアが動き、シリアは13年9月に化学兵器禁止条約を批准。保有する約1300トンの化学兵器をOPCWに引き渡すと表明し、OPCWはサリンやマスタードガスなどの処理に着手。16年1月に終了したと発表した。

 だが、国連とOPCWがまとめた16年8月の報告書は、塩素ガスを詰めた「たる爆弾」の使用が確認されたとした他、「サリンやVXガスの使用情報も寄せられている」と明記。17年4月には、北西部イドリブ県でサリンが使用され、約90人が死亡した。これを受け、トランプ米政権が巡航ミサイルでシリアを攻撃した。

 トランプ政権の今回のシリア攻撃に先立つ今月4日、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(本部・米ニューヨーク)は、13年8月から今年2月までに確認できたシリア国内の85件の化学兵器による攻撃のうち、アサド政権が50件以上に関与したと発表した。

 OPCWは13年、シリアでの査察と化学兵器廃棄活動を後押しする狙いもあり、ノーベル平和賞を受賞した。だが、化学兵器の保有実態は各国の自主的な申告に頼るしかなく、シリアのように内戦が続く地域では、査察可能な場所や期間にも限界がある。

 昨年4月のイドリブ県のケースに関し、OPCWと国連との合同調査は使われたサリンの量が25リットル程度だったと推計した。新たに製造されたものか、隠されていたのかは不明だが、サリンは製造に大規模な施設は必要なく、25リットルは隠すのも容易な量だ。化学兵器を保有する意思がある国家やテロ組織が存在する限り、「全廃」を実現することは不可能というのが実情だ。

 また、国連とOPCWの合同調査活動は昨年11月、シリア情勢をめぐって米国と対立するロシアが国連安保理で拒否権を行使して期限切れになり、化学兵器使用者まで特定できない可能性もある。

最終更新:4/14(土) 22:25
毎日新聞