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<シリア攻撃>米、法的根拠示さず 「安保上の利益」強調

4/14(土) 20:22配信

毎日新聞

 米英仏3カ国がシリアのアサド政権に対する軍事攻撃を実施した13日、トランプ米大統領は演説で、今回の攻撃の意義を化学兵器に対する「抑止力の確立」で「米国の安全保障上の利益に不可欠だ」と強調した。攻撃理由として自衛権の発動を示唆した発言とも受け取れるが、法的根拠は明確にしておらず、攻撃の正当性について議論を呼ぶ可能性もある。

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 化学兵器を使用したのがアサド政権だとすれば、シリアも加盟する化学兵器禁止条約(1997年発効)に違反する。条約違反国については、化学兵器禁止機関(OPCW)が国連総会と国連安全保障理事会(安保理)に注意喚起をするが、それによって軍事行動が容認されるわけではない。

 国連憲章が他国への武力行使を認めるのは二つの場合に限られる。安保理の決議を得た場合と、他国から武力攻撃を受けるなどして自衛権を発動する場合だ。安保理の決議に関しては、ロシアがシリア関連について拒否権を行使し続けており、決議を得るのは事実上不可能な状態だ。

 自衛権の発動については、マティス米国防長官は攻撃前日の12日の米下院公聴会で、シリアに2000人の米兵を展開していることを挙げ、攻撃について「自衛権の行使として正当化される」と主張した。オバマ前米大統領が2014年に決定したシリア領内での過激派組織「イスラム国」(IS)に対する空爆の際には自衛権を根拠とした。ISが米国民2人を殺害したことを米国への攻撃と見なすという論法だった。

 一方、アサド政権が猛毒神経ガス・サリンを使用したとして米軍が昨年4月にシリア西部シャイラット空軍基地を攻撃した際、米国は法的根拠を明確にしなかった。トランプ氏は「米国の死活的な安全保障上の利益にかなう」などと説明するにとどめ、安保理決議のないまま単独軍事行動に踏み切った米国の姿勢に一部の国連加盟国からは懸念も表明された。

 一方で、安保理決議を伴わなくとも、深刻な人道危機を防ぐための「人道的介入」が必要との主張もある。国連の政務官を25年間務めた川端清隆・福岡女学院大教授(国連外交論)は「安保理が機能不全のなか、(化学兵器攻撃を受けたとされる)反体制側の住民を誰が守るのかという問題がある」と現状の問題点を指摘したうえで「法的根拠があいまいだからといって、それが直接的に米国への国際的非難につながるとは言えない。今回の軍事行動についても前回と同様、米国は法的根拠を明確にしないのではないか」と話している。【鈴木一生】

最終更新:4/14(土) 22:27
毎日新聞