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訪日外国人にも人気 木製の器にうまさ凝縮 新潟名物「わっぱ飯」の魅力

4/14(土) 9:45配信

産経新聞

 新潟名物の「わっぱ飯」は、食通としても知られた芸術家の北大路魯山人(1883~1959年)の助言を得て、60年ほど前に完成した。昔ながらの日本料理のこだわりが凝縮された味わいは、時を経ても色あせることはない。

 わっぱ飯は、新潟市の繁華街・古町地区にある郷土料理店「田舎家」の主人、吉沢寛治さん(70)の父で、先代の喜一さんが考案した。「わっぱ」と呼ばれる木製の器に、コンブとカツオで取った出汁(だし)で味付けをしたコメを入れ、その上にサケやエビ、イクラなどの魚介類、鶏肉を乗せて蒸したシンプルな料理だ。

 電子レンジなどの家電製品が暮らしの中に行き渡っていなかった当時、おいしくて温かいご飯をどうすれば食べられるかというのがコンセプトだったという。

 先の大戦から本土に引き揚げてきた喜一さんは、東京・銀座のすし屋で修行を積んだ。その際、常連だった魯山人と親しくなったという。その後、喜一さんは故郷に戻り、古町で開業。わっぱ飯の原型を昭和29年ごろまでに完成させた。当初は、鶏ガラのブイヨンをベースに味付けをしたものだった。

 30年ごろ、店を訪れた魯山人が、わっぱ飯を初めて口にする…。魯山人はこう言った。「おいしいが、いずれは飽きられてしまう。もっと自然の方がよいのではないか」

 「当時の日本人にすれば味が濃く、癖を強く感じたらしい」(寛治さん)。魯山人の助言を生かし、日本人になじみやすいように出汁のベースをコンブとカツオに変更。現在のわっぱ飯が出来上がった。

 サケのわっぱ飯が目の前に運ばれてきた。赤いサケと白いご飯、そして香り付けの三つ葉が織りなす色合いの華やさに、まず引き込まれる。わっぱから立ち上るサケと三つ葉のさわやかな匂いは食欲を刺激し、杉の香りもほんのりと感じる。サケは箸を入れると身がすぐにほぐれる柔らかさで、しっかりと出汁がしみこんだご飯と相まって、いくらでも食べられそうだ。

 喜一さんから店を引き継いだ寛治さんは、当時の味をそのまま守り続けている。「本来、仕事というのは前進あるのみだと思うが、味が変わってしまうのはいけない」。コメはコシヒカリ、魚介類も県沿岸で取れたものにこだわる。わっぱの素材は杉で、留め具には桜の木の皮が使われている。長野県松本市から取り寄せているという。

 わっぱ飯を作るとき、寛治さんが最も気をつけるのはコメの炊き方。柔らかくなりすぎないように、やや固めに炊くのがコツだ。「最近は県外だけでなく、海外の若い人たちも店に来てくれる。コメと魚のおいしさは日本の食の原点なので、ぜひ味わってもらいたい」と笑顔をみせる。

 日本の食文化と魯山人のアイデアが融合して生まれたわっぱ飯は日々、多くの人の舌と胃袋を楽しませている。

 (新潟支局 太田泰、写真も)

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 ■「田舎家」 新潟市中央区古町通9番町1457。わっぱ飯はもちろん、地酒や「のっ平」などの郷土料理も味わえる。営業は午前11時半~午後2時、午後5~10時(日曜・祝日は同9時まで)。年末年始は休み。問い合わせは同店(電)025・223・1266。

最終更新:4/14(土) 9:45
産経新聞