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自宅・農地と離れ・・・続く仮設の日々 熊本地震から2年 益城町は今 希望は捨てない

4/14(土) 7:01配信

日本農業新聞

 震度7の激震に2度見舞われた熊本地震の発生から2年。仮設団地やみなし仮設など自宅以外で暮らす被災者は、3月末時点で3万8112人。ピーク時の昨年5月に比べ約9700人減ったが、まだ家族と離れた生活が続く人、農地を仮設団地用に貸す人など被災の影響は続く。「大変だけど、希望は捨てたくない」。被害が大きかった熊本県益城町の仮設で一歩ずつ進む農家の姿を追った。(木原涼子)

待望の新たな命 “家族一緒” いつ? 永田さん夫妻

 稲作農家の永田忠幸さん(34)、理恵さん(30)夫妻に今年2月、新しい命が誕生した。だが二人は今、別々に暮らす。「地震に遭って、ありふれた日常に今まで以上の幸せを感じる」と、忠幸さんは息子の頭をそっとなでた。「百の幸せに恵まれ、健康に育ってほしい」と願い、「百幸(ももゆき)」と名付けた。

 二人が婚姻届を提出したのは地震から3カ月後の2016年7月13日。その日は理恵さんの誕生日で、忠幸さんは車中泊をしていた。前を向くための新生活だが、忠幸さんは決断を迫られた。高齢の両親と離れるか、妻との同居を諦めるか。

 被災後、親と一緒に住む条件で仮設入居を申し込んでいた。仮設は3人住まいが限界。理恵さんと生活するには、別に家を見つける必要があった。親を見捨てるような心苦しさが胸に広がった。都合良く新居が見つかるかどうかも分からない。忠幸さんが出した答えは、新妻との別居だった。

 忠幸さんは今、両親と県内最大の仮設団地・テクノ団地で、理恵さんは実家で息子と暮らす。町に再度、仮設入居を求める申請をしているが、回答が来るのは5月の大型連休明けだ。

 2・2ヘクタールの水田は2年間米作りができず、別の場所でキャベツを育てる。生活再建は道半ばだ。それでも、忠幸さんは「地震をきっかけに出会えた縁を大事にしたい」と話す。百幸ちゃんを抱いて仮設団地内を歩けば、仮設で暮らすお年寄りたちが集まってくる。

 今年はやっと30アールで田植えができる。「貧乏しても、米があれば何とかなる」と忠幸さん。二人は希望を捨てない。

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最終更新:4/16(月) 11:47
日本農業新聞