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大手企業も注目、アプリでニコチン依存症を治療

4/14(土) 13:11配信

ニュースイッチ

キュア・アップ社長「米国の禁煙関連ベンチャーよりも優位」

 スマートフォンのアプリケーション(応用ソフト)で病気を治す―。キュア・アップ(東京都中央区)は、ニコチン依存症治療アプリ「CureApp禁煙」の開発に取り組んでいる。スマホを通じ、個々の患者の治療状況や体調の変化に応じた支援を行うことで、禁煙成功率の向上を図るものだ。効率的な禁煙治療で喫煙者が減れば、医療費抑制につながる可能性も出てくる。医師でもある佐竹晃太社長に起業のきっかけや開発の意義、今後の展望などを聞いた。

 ―起業の経緯は。
 「米国留学時、アプリを活用し糖尿病患者に治療介入をすることで効果が出るとの論文を読み、衝撃を受けた。治療といえば薬か機器によるものが当たり前だった中で、未来の医療であると直感した。これを、医師として世の中に広め、患者さんにお届けしたいと考え、2014年7月に会社を立ち上げた」

 ―禁煙治療にアプリを活用する意義は。
 「ニコチン依存症でたばこをやめたくてもやめられない方が禁煙外来に来て、3カ月かけて薬で治療をする。だが1年後にやめられている人は3割もいない。日々の習慣や考え方がゆがんでいることで出てしまう、心理的な依存は薬では治しきれない。こうした事例で、アプリを使い、患者さんの在宅時も含めてフォローをする。服薬管理や励ましのほか、行動療法と呼ばれる心理療法を行う。例えば、アプリが『ガムをかんで、たばこを吸いたい気持ちを紛らわせましょう』と提案する」

 ―禁煙アプリの臨床試験の状況は。
 「17年10月から、580人の患者さんに対して行っている。禁煙外来だけの群と、アプリを併用する群に分け、禁煙成功率を比較する。19年3月ごろまで実施する予定だ。同年夏くらいに、薬事承認がなされれば良いと思う」

 ―海外での事業展開も検討しているとか。
 「18年前半に、米国に市場調査のための事務所を開きたい。日本とは違って、デジタル療法を手がける会社が数多く出てきており、治療アプリを償還対象とするペイヤー(保険者)もいる。米国の禁煙治療市場は、日本の10倍程度あると思う。当社は製品の完成度や、出せている科学的根拠のレベルから考えると、米国の禁煙関連ベンチャーよりも優位に立つ」

【解説】
 ニコチン依存症患者は、一人でたばこの誘惑に立ち向かわざるを得ない状況が多いと考えられ、スマホアプリによるきめ細かい治療介入が功を奏する可能性がある。多くの企業がキュア・アップを高く評価しており、伊藤忠商事や第一生命保険などが出資。また、日本では18年度の診療報酬改定で遠隔診療を評価する枠組みが設けられる。こうした機運も追い風になりそうだ。

日刊工業新聞第ニ産業部・斎藤弘和

最終更新:4/14(土) 13:11
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