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社説[訪日客の医療対策]通訳生かし未払い防げ

4/14(土) 10:15配信

沖縄タイムス

 日本を訪れる外国人観光客が増加するのに伴い、けがや病気で治療を受けたにもかかわらず、医療費を支払わないまま帰国するケースが目立っている。

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 外国人観光客の医療対策は新たに直面する課題だ。

 政府は外国人観光客に対応するため、内閣官房など関係6省庁と日本医師会など6団体で構成するワーキンググループを設置した。

 外国人患者の診察時における統一マニュアルの整備、未収金の相談窓口の創設、医療機関に対する支援など、医療体制の構築を5月までにまとめることにしている。

 厚生労働省が2016年に実施した実態調査によると、回答した1378医療機関の35・3%が外国人患者の医療費の未払いを経験している。

 県医師会の17年の調査でも、医療費の支払いに応じない外国人観光客は5病院で21件、計827万円に上った。急性大動脈解離の患者からは512万円が未回収である。

 昨年の訪日外国人観光客は過去最多の2869万人。政府は東京五輪・パラリンピックが開催される20年に4千万人の目標を掲げる。

 「観光立国」を掲げ、外国人観光客が日本の医療機関で安心して受診してもらうための整備は待ったなしである。

 医療機関は人道的見地から外国人患者の受診を断るわけにはいかないのはいうまでもない。だが未払いと通常診療が妨げられている現状があり、そのはざまで医療機関は苦悩している。医療機関だけで解決するには限界がある。

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 厚労省の先の実態調査では日本語で十分なコミュニケーションがとれない患者を65・7%の900医療機関が受け入れたと回答している。

 県が16年に実施した観光関連業者の実態調査でも、948事業所のうち、外国人観光客の受け入れの課題(複数回答)として、外国語対応ができない(67・4%)とともに、けがや急病への対応(25・1%)を挙げている。

 県が一括交付金を活用して今月開設した「医療通訳コールセンター」に注目したい。医療通訳オペレーターが電話で医師や消防士などに患者の症状を通訳する。英語や中国語、韓国語など6カ国語に対応するものだ。

 治療を受ける際に前払いの国もある。医療通訳によってどんな医療を実施するかの事前相談や説明、医療習慣の違いなど意思疎通がうまくいけば、未払いなどのトラブルも減少していくだろう。

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 外国人観光客が病気やけがをして病院で手当てを受けた場合、医療費は原則、全額自己負担である。

 未払いの要因の一つに外国人観光客の旅行保険加入率が約30%と低いことが挙げられる。高額で患者が支払うことができないため、しわ寄せが病院に及ぶ構図である。

 旅行保険の加入を入国の条件とする国もある。日本入国時に申し込むことができる旅行保険も出始めている。

 観光客の送り先である国・地域での観光キャンペーンでは、旅行保険に加入するなどの啓発活動も積極的に盛り込んでもらいたい。

最終更新:4/14(土) 11:00
沖縄タイムス