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<熊本地震から2年>がれきの山は消えても… 沖縄タイムス記者が歩いた益城町

4/14(土) 13:10配信

沖縄タイムス

 【熊本で山城響】熊本地震で震度7に見舞われた益城町を、1年半ぶりに歩いた。2度の激震で6259棟の住宅が全半壊。町じゅうにあったがれきの山は撤去作業が今年3月でほぼ終わり、町並みの変化に月日の流れを実感する。家を失い仮設住宅での生活を余儀なくされる人、再建に向けて一歩踏み出した人。被災者はいま何を考え、望んでいるのか。益城の現状を取材した。

 12日正午前、「熊本地震から半年」の取材時と同じルートで町内に入った。補修された住宅のほか、新築に向けた重機の作業音が静かな集落に響く。地鎮祭後の宅地も2カ所あった一方で、雑草が生い茂った空き地も目立つ。がれきの山は消えても、復興の速度は同じ集落内でも異なる。

 「益城町の復興なくして熊本県の復興はない」。同日午後、町文化会館で開かれた用地買収に関する住民説明会で、土地区画整理事業の代表者が力を込めた。被害が大きかった市街地の住民ら約90人が集まり、土地の先行買収について行政の説明に耳を傾けていた。

 「区画整理で道幅が広がり家は前より小さくなる。着工できても2、3年は先」。木山地区出身の古田学さん(71)は雑草だらけの自宅跡地を見つめ、こう嘆いた。地震当時、集落内の道は狭く、緊急車両の通行を阻んだため、区画整理で道幅が拡張されたという。

 古田さんは「計画が決まった以上、新築するかは自分たち次第。この年齢で家を建てても、あと何年住めるのか」と吐露する。「このまま仮設住宅に住み続けるの。どうする、お父さん」。妻の妙さん(72)も困った表情を浮かべた。

 説明会を終えた住民の表情はさまざま。笑顔で会場を後にする若い家族や、神妙な面持ちで井戸端会議を始める人たち。その中で、古田さん夫妻はまだ決心がつかない様子だった。

 同地区にある専寿寺の住職、高千穂義静(ぎじょう)さん(72)は、本震で倒壊した築130年の本堂を再建する。20メートルの基礎を打ち込むため、それだけで費用はかさむ。妻の節子さん(69)は「1年が過ぎてやっと今後を考えられるようになった。毎日が大変だった」と明かした。

 再建に向けた動きが本格化する。「いよいよですね」。激励のつもりだったが、節子さんは周囲をおもんぱかった表情で言葉を返した。「失ったものを元に戻すには、いろいろなことを諦めなければならない。踏ん切りがつかないこともある。簡単には決められないんです」。安易な一言を後悔した。

最終更新:4/14(土) 14:05
沖縄タイムス

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