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<医療>「体がさびる」酸化ストレスから身を守る方法

4/15(日) 10:00配信

毎日新聞

 鉄がさびるのと同じように体も「さび」ます。これが酸化ストレスによる体の変化といわれるものです。酸化ストレスは、がんの発症や動脈硬化、老化など体にさまざまな悪影響を及ぼすと考えられています。酸化ストレスのことを知り、身を守る方法を、抗加齢医学研究の第一人者である同志社大学の米井嘉一教授が解説します。【毎日新聞医療プレミア】

 ◇酸化ストレスとは

 酸化ストレスとは「フリーラジカル」や「活性酸素」と呼ばれる不安定な物質が、体内の他の物質から電子を奪って酸化させることです。

 全ての物質は原子からできており、原子は原子核とその周りをぐるぐる回る電子で構成されます。通常は二つの電子がペア(対電子)になって安定状態を保っています。しかし、電子が一つ欠けてしまう(不対電子)ことがあります。こうなると物質は非常に不安定な状態になり、周囲の分子から電子を奪って安定化しようとするのです。フリーラジカルとは不対電子を持つ原子や分子の総称です。

 そして、活性酸素は反応性の高い酸素のことで、一部はフリーラジカルです。

 ◇酸化ストレスの原因

 日常生活の中で生じる酸化ストレスの原因として一番に挙げられるのは、たばこの影響です。喫煙者だけでなく、他人のたばこの煙(副流煙)でも同様の健康被害があります。

 太陽光の紫外線も酸化ストレスを起こします。肌の老化は7割ぐらいが紫外線による酸化ストレスが原因だといわれています。大量の飲酒や大気汚染物質、食品添加物や残留農薬も酸化ストレスの原因になります。

 ◇無呼吸や心身ストレスも原因になる

 あまり知られていませんが、睡眠時無呼吸症候群や心身ストレスによっても酸化ストレスは生じます。睡眠中に無呼吸になると、血中の酸素濃度が低下して低酸素状態に陥ります。呼吸が復活して血中に酸素が急激に戻ってくると、フリーラジカルが爆発的に発生します。

 心身ストレスが過剰な時は、体のさまざまな働きを調整する自律神経の活動に乱れが生じ、血液の流れが不規則になります。血液が流れない虚血状態とそこに血液が流れ込む再還流が繰り返されると、フリーラジカルが大量発生するのです。

 また、一般的に運動は健康にいいといわれていますが、これはあくまでも適度な運動の場合です。過激な運動はフリーラジカルが大量に発生して、酸化ストレスによって重篤な病気を起こすことがあります。何事も適度が一番です。

 ◇酸化ストレスにより起こる病気

 酸化ストレスはがんを起こしやすくするといわれています。DNAは酸化ストレスによって傷つけられます。細胞の分裂・増殖に重要な役割を果たすDNAには、傷が付くとがん化しやすくなる領域が存在します。酸化ストレスが強いとDNAのあちこちに傷が生じ、その領域を傷つける確率が高まります。

 また、LDLコレステロールが酸化すると酸化LDLとなり、動脈硬化の原因となります。アルツハイマー病やパーキンソン病など高齢者に多い脳の病気では、酸化したたんぱく質や脂質が脳内にたまっています。

 前述しましたが、たばこは酸化ストレスの大きな発生源です。喫煙者は非喫煙者に比べて卵子や精子のダメージが大きくなることを覚えておきましょう。

 ◇適度な運動が作り出す抗酸化酵素

 酸化ストレスはヒトに大きな害を及ぼします。ですから、ヒトは酸化ストレス防御機構がよく発達しています。ここからは、その防御機構について説明しましょう。

 防御機構は3段階に分けられます。

 第1段階は過度な活性酸素やフリーラジカルの発生を抑える「抗酸化酵素」による分解・除去です。適度な運動で活性化させることができます。

 適度な運動というのは、15分~1時間の散歩、1~5kmのジョギング、15~30分程度の水泳です。運動初心者は15分余分に歩くことから始めましょう。

 ◇抗酸化物質を食べ物から取る

 第2段階は活性酸素やフリーラジカルが発生し、細胞などが攻撃を受けた際の抗酸化物質による消去です。抗酸化物質は食べ物から取ることができます。

 ナッツや植物油に多く含まれるビタミンEは代表的な抗酸化物質です。また、色とりどりの野菜などにはさまざまな抗酸化物質が含まれています。例えば、トマトのリコピン、緑茶のカテキン、緑黄色野菜のβカロテン、小豆やブドウのアントシアニン、サケのアスタキサンチンなどです。

 しかし、一つの成分を大量に取るのは禁物です。抗酸化物質が酸化された物質が大量に発生すると、今度はその物質が体に害を与えてしまうからです。

 ◇酸化ストレスの原因を取り除く

 第3段階は、組織や細胞(DNAを含む)が活性酸素やフリーラジカルによってダメージを受けた際の修復機能です。酸化たんぱく分解酵素やDNA修復酵素がダメージを受けた所を修復してくれます。

 ただし、これにも限度がありますので、酸化ストレスの原因を取り除くことがとにかく大切です。

最終更新:4/15(日) 10:00
毎日新聞