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コラム凡語:19歳の引き金

4/15(日) 14:31配信

京都新聞

 こらえきれずに他人に銃を向けた経験は多くの人にあるのではないか。ただし、心の中で▼ちょうど30年前、若い人たちに支持されたこんな歌もあった。「見えない自由がほしくて 見えない銃を撃ちまくる」(ブルーハーツ「TRAIN-TRAIN」)。貸与された本物の拳銃で、19歳の巡査が同僚を殺害した彦根の事件に大きな衝撃が広がっている▼逮捕された巡査は「後ろから撃った」と容疑を認め、勤務上の指導について上司と折り合いがついていなかったという。理由は何であれ、あってはならない。あまりにも短絡的に見える犯行に言葉を失う▼とはいえ、19歳という年齢はどうしても気になってしまう。わが身を振り返っても、心の中に危うげな引き金がまったくなかったとはいえないからだ▼「ふっとばしてやるからな」-。爆破予告の稚拙ないたずら電話を繰り返す若者を描いたのは、中上健次さんの1973年の小説「十九歳の地図」だった。孤独や鬱屈(うっくつ)と向き合って、人は大人になる。危うさがあれば、コントロールするすべを身につけようとする。時代が変わっても同じだと思いたいが…▼「何であいつがこんなことを」。巡査の元同級生は驚き、仲間の間で騒然となっていると話した。19歳の警官の心に、どんな引き金があったのか。

[京都新聞 2018年04月15日掲載]

最終更新:4/15(日) 14:31
京都新聞