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地方人口の激減 「1県1自治体」の発想必要

4/15(日) 14:35配信

産経新聞

 ■秋田県は41%の大幅減

 「地方消滅」が、切実な問題となってきたようだ。

 国立社会保障・人口問題研究所の「日本の地域別将来推計人口」によれば、2045年の秋田県は、15年に比べて41・2%の大幅減となる。青森県は37・0%減、山形、高知の両県も31・6%減だ。

 一方で、東京都は0・7%増、沖縄県は0・4%減とほぼ横ばいである。地域ごとの差が極めて大きい。

 市区町村別でみると、状況はさらに深刻だ。奈良県川上村は79・4%減となる。北海道歌志内市(77・3%減)、群馬県南牧村(77・0%減)などが続く。これら以外にも下落率が7割以上という自治体は少なくない。

 これに対し、東京の都心部の中央区(34・9%増)、港区(34・4%増)、千代田区(32・8%増)は3割以上の大幅増となる。

 同じ東京都でも福生市(39・7%減)、羽村市(26・4%減)、青梅市(21・9%減)など、郊外の人口減少が激しい。23区でも足立区や江戸川区などでは減少の見込みとなっている。

 今回の推計で人口が大きく減る予測となった自治体は、若者の都会流出が続き、高齢化が進んできた。人口減少が進んだことによって食品など日用品を扱う店舗や診療所、ガソリンスタンドなどが撤退し、さらに生活が難しくなる悪循環が加速するということであろう。

 ■東京は地域で大きな差

 東京の都心部が人口増予測となったのは、沿岸部でのタワーマンションの建設ラッシュにみられるように、オフィス街近くに住宅が増えてきたためだが、背景には夫婦共働き世帯の増加という社会要因の変化がある。

 専業主婦が多かった時代、サラリーマンたちは広い間取りを求めて郊外に自宅を構えた。だが、女性の社会進出によって、長い通勤時間は家事や子育てと仕事の両立を困難にする。子供を保育所に預けるにしても送迎が難しい。

 推計は、夫婦共働き世帯がますます増え、「職住隣接」を求める人が増大すると予測しているのであろう。

 その裏返しとなっているのが、都心のオフィス街から遠い福生市や羽村市などだ。広い間取りを求めてこうしたエリアに移り住んだ“かつての若者”たちは高齢化しているが、彼らが亡くなると人口が激減するという予測だ。

 こうした数字に一喜一憂する自治体関係者には、財政力を無視して子育て対策予算を確保したり、タワーマンションなどの建設を加速させるべく大型開発計画に力を入れたりする「自治体間の人口綱引き」に乗り出しているケースが少なくない。

 だが、今後は出産可能な女性が少なくなり、日本全体で人口が減る。無理な政策は保育所や小学校の一時的な不足を生むだけでなく、それらが整備された頃には再び子供数が減って“負の遺産”となる状況すら招きかねない。

 ■不毛な住民の奪い合い

 すでに地方議員のなり手不足に悩む町村が出始めたが、やがて職員の確保さえ難しくなるところも出てこよう。行政サービスが滞り、自治体として成り立たなくなる。

 いま取り組むべきは、日本全体として人口が激減する状況に、社会全体で協力し合う態勢の構築だ。自治体が定住者を綱引きする“不毛な競争”など、一刻も早く止めなければならない。

 近隣市町村が合併しても問題は解決しない。むしろ、既存自治体の線引きにとらわれず、地域づくりを考えていく新たな発想が求められる。

 人口が50万人を割るような県では、「1県1自治体」、「1県2自治体」とするぐらいの大胆さが必要だ。さらに減るようならば、都道府県同士の合併、再編も視野に入ってくる。

 政府は既存自治体を維持、延命させる方策ばかりでなく、将来を展望して「自治体を畳む」ための手順の検討を始めるときであろう。

 現行の自治体に代わる地方自治の在り方も考えなければならない。

 例えば、各地域の「にぎわい」を核とし、その地域の人々が集まり暮らす拠点を建設する。これを新たな受け皿として、広域化した自治体と連携しながら、住民たちが拠点内の生活ルールをある程度は自分たちで決められるようにすることを考えてもよい。

 既存の自治体が立ちゆかなくなってからでは遅い。日本社会を根本部分から作り替えないかぎり、人口減少時代は乗り越えられない。(論説委員・河合雅司)

最終更新:4/15(日) 14:35
産経新聞