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ごみや産廃が化学製品の主原料「エタノール」に変身!?

4/15(日) 16:15配信

産経新聞

 積水化学工業は、都市ごみや産業廃棄物を化学製品の主原料の一つであるエタノールに変える技術を開発した。2000度の高温によって丸ごと溶かすことでガス化し、微生物により熱・圧力を用いることなくエタノールに変換する仕組みで、循環型のリサイクルシステムを構築できる点が売り物だ。現在はオリックス資源循環の寄居工場(埼玉県寄居町)で実証を繰り返しており、平成31年の本格稼働を目指す。R&Dセンターの岩佐航一郎・BR事業化推進グループ長は「技術屋として後世に残す仕事ができた」と話す。

 --今回の技術を開発した理由は

 「日本で排出される可燃性のごみは年間で約6000万トンに上る。そのエネルギー量は約200兆キロカロリーに達する。国内のプラスチック原料用ナフサ(約3000万トン、約150兆キロカロリー)を大きく上回っており、ごみは重要な資源だといえる。しかし、ほぼ全てが焼却され二酸化炭素(CO2)となって排出されているのが現状。この部分に着目して取り組んだ」

 --ごみを工業原料に変えるに当たっての最大の課題は

 「質の確保だ。化学的組成が単一でなければ、工業製品に転換していくことは極めて難しいのに、ごみは種々雑多で不均質。成分や組成が大きく変動するからだ。この問題に対して挑戦し続け、7年間かけて世界で初めて成功した」

 --具体的にはどういった形でエタノール化を図るのか

 「収集したごみをガス化によって分子レベル(一酸化炭素、水素)にまで分解。ごみが持つ豊富なエネルギーを損なうことなく、特性を均質化する。ただ、このガスには余計な成分が混入している。このためガスに含まれる約400種の不純物質の特定と精製などを行う技術を開発した」

 「その過程を経て、米バイオベンチャーのランザテックが提供する微生物を活用する。天然から抽出されたこの微生物はパン酵母と同様の安全性を備え、原生微生物の10倍以上もの反応速度で、一酸化炭素と水素をエタノールに変えていく。エタノールの生産量は寄居工場の全てのガスを活用した場合、数万キロリットル。工業プラントに資するレベルの量だ」

 --今後の研究の課題は

 「今回開発した技術をどのように広げられるかだ。その一環として考えているのが、タイヤの主原料であるブタジエンの生産。シェールガスの中に含まれていないので、これから確実に不足することになるからだ」

 --自治体の反応は

 「全国には約1200カ所のごみ焼却施設がある。施設の寿命は約40年だが、老朽化して建て替えるときが導入する契機となる。既に約20の自治体が見学しており、われわれの考え方に賛同するケースが多い」

 --ビジネス面での展開は

 「エンジニアリング会社と協業して、完成させたプラントを納入することなどを検討している。また、全国各地での新たな産業創出にもつながる」

 「ケミカル関連は海外から輸入する石油に頼らなければならないので、海に面したコンビナートで作られていた。しかし今回の技術が普及すれば、従来の大規模集約型に代わり焼却場に隣接した工場が誕生。地方分散型の化学産業が生まれていくことになる。また、雇用創出だけでなく、ブタジエンを作るための新たなプラントを設置するといったように、広がりを見せることに期待を寄せている」(経済本部 伊藤俊祐)

 ■岩佐航一郎氏(いわさ・こういちろう) 慶大院修了。平成8年積水化学工業。環境・ライフラインカンパニー新事業プロジェクト、R&DセンターR&D戦略室などを経て、30年4月から現職。46歳。

 ■積水化学工業 日本最大の化学企業グループを擁し、15大財閥の一つであった「日窒コンツェルン」のプラスチック部門を母体として、昭和22年3月、積水産業として発足。「積水」とは、中国最古の兵法書『孫子』にある言葉に由来し、事業活動をする上で、十分に分析・研究、準備をしてから、万全の状態で積水の勢いをもって勝者の戦いをすることが大切であるという意味。現在は主力商品の戸建て住宅のほか、住宅建材や建材用の化成品などを手がける大手樹脂加工メーカー。平成29年3月期の連結売上高は1兆657億円、従業員は2万3006人。

 ■エタノール アルコール類の一種。酒類の主成分のため「酒精」とも呼ばれる。殺菌・消毒のほか、揮発性が強いため、燃料としても使われる。

最終更新:4/15(日) 16:15
産経新聞